「若者が地元に戻って就職しないワケ」は、翻訳者が不在だから。
先日、日テレニュース24「The SOCIAL」にゲストとして出演させていただきました!
「ニュースにコメントをする」ということを、仕事として初めてやらせていただいて、コメントをするって奥が深いんだな~と体感しました。
いざ、ニュースを目の前にすると、何を言えば良いんだろう…って思ってしまったのですが「専門的なコメントではなく、自身の活動背景からのコメントをしてください」という指示をいただいて、なるほどなと。
1つのニュースに対して、いろんな方向からコメントを想定できるけれど、自分がコメントする理由や価値をどうつくっていくか工夫が必要。今は実践から語るしかない!
でもすごく難しい。最近、言語化することが重要だと痛感しているので、この技術は絶対に身につけたい。
若者が地元に戻って就職しない
私がコメントしたテーマは、「若者が地元に戻って就職しないワケ」でした。
2020年卒業予定の大学生を対象におこなったマイナビ調査で「地元で就職したい」と答えた人は全国で49.8%。しかし、地元に帰りたいと思っている人たちが地元企業とマッチングしていない現実があり……それについてコメントしました。
私のミッションど真ん中な内容だったので、もっとしゃべりたかったのですが初めてのコメンテーターで、お恥ずかしながらあがりたおしてしまい……!しゃべり足りないのでまとめようと思います。
簡単に、私の背景を…
■永井彩華のこれまで
・栃木県出身
・自分が就職のため上京したことがキッカケで「仕事のために地元を出ること」に違和感を覚える。
・2015年から都内で栃木出身者を集めたイベント(飲み会)「栃木ゆかりのみ」をはじめる。数カ月に1回ペースで開催。毎月1~2回、土日に帰って栃木のさまざまな場所に足を運び、自分は何ができるのかを考える。
・2017年、株式会社kaettara(かえったら)を創業。関係人口づくりや移住関連のプロジェクトに携わる。
The SOCIALでつくっていただいた紹介動画がこちら!(うれしい)
”やりたい仕事がない”
テーマのもとになった元データはこちら。
2020年卒 マイナビ大学生 Uターン・地元就職に関する調査
全58ページのアンケートデータです。前提として女性が多め。特に母数の45.9%が文系の女性です。WebのDMでとったデータで、住んでる場所も出身地もそれぞればらばらなので、一概に言えない!のが正直なところですが、なかでもこのデータをクローズアップしました。
Q:地元を出て進学した人に、地元企業への就職活動で最も障害に感じていること(1つ選ぶ)
1.地元までの交通費 26.0%
2.地元までの距離・時間 14.4%
3.やりたい仕事が無い 13.3%
4.地元企業の数が少ない 10.8%
5.地元企業の情報不足 6.2%
学生ですから、お金の問題は切実ですよね……お金で諦めている人が多いのも由々しい問題、とも感じるのですが、もし交通費や宿泊費の負担がなくなったとしても3位が、そもそも「やりたい仕事がない」という声でした。
ちなみにマイナビさんは毎年このデータを出しているのですが、今回はじめてこの「やりたい仕事が無い」という項目をつくったそうです。
新卒でマッチングしなければ、ハードルがさらに上がる
私が編集長をしている「MIKIRO(ミキロ)」では、「かえれる地元をつくる」をミッションに掲げ、誰もが大切な人のそばで挑戦できる環境をつくるための情報発信しています。
栃木県内の企業に取材を行い、主に首都圏で働いている20~30代向けにこれまで語られてこなかった地元企業のユニークなポイントを企画化し発信しています。
そこで各社に必ず伺っているのが、「過去に首都圏で働いてた30代くらいまでの社員さんはいますか?」です。MIKIROの読者に近い方をイメージして聞いてました。
私たちが聞いた中では、「まさにそんなひと!」という、ぴったりな方はいませんでした。
※※私たちが取材したなかでの話です。もし心当たりの企業さんいればぜひ教えてください。いろいろな情報が欲しいです※※
一方で、新卒で採用されている人たちは多くいらっしゃいました。地元の学校出身者が多かったですけれど、Uターンしてきた方もいらっしゃいました。
都内で働いていた30代くらいまでで地元企業にマッチングしている方に出会えなかったという事実と、新卒としてならマッチングしてる方には出会えた、という事実があります。
ということは、新卒でも難しいのに、中途採用になるとさらに地元企業とのマッチングが難しくなる、ことが仮説として言えると思います。
「地元の仕事」と言って、想い浮かぶこと
特殊鋼の販売・加工を行う製造業の小山鋼材さんを紹介した記事のリード文に、こう書きました。
“地元で仕事をするとしたら”、あなたはどんな仕事が思い浮かびますか?
役所、銀行、学校の先生……それらに続いて私が思い浮かんだのが「製造業」でした。それもそのはず。栃木県には4,210の製造業の事業所があり20万6,152人もの人が働いている、全国でも有数の“製造業が経済を支えている”都道府県なのです。
※「栃木県の工業」平成30(2018)年工業統計調査結果報告書より
しかし、その現場の様子は淡々と流れ作業をこなしていくイメージが先行していて、自分の進路の選択肢から外して考えていました。
でも本当にそのイメージは正しいのでしょうか。
これまで知る機会がなかっただけで、私たちの知らない世界が広がっているはず。
私は新卒での就活で、仕事を探すときはまず業界と職種で絞り込んでいました。転職する時もそうです。志望していた業種以外は、検討もしませんでした。
私はかつて「これが一番やりたかった内容の仕事!ド真ん中!」って思える環境で仕事をしたことがあります。それでも、やっぱり違うなと思っちゃったんです。
一方で、飲み会の幹事をしていても「地元に帰りたい人を地元につなぐ場をつくっているんだ!」って思ったら、すごく燃えた。
淡々と記事を編集している毎日も「地方に住む女性たちが在宅でできる仕事をつくっている!」と思えたら、使命感を感じられた。
そんな経験から、私は自分がやりたい仕事は、関心のある社会課題の解決につながる仕事なんだということに気づきました。その手段は、あまり大きな問題ではありませんでした。同じ業務をしても、意味付け次第で変わると思います。
それから地元の企業について興味が湧くようになりました。地元で働くとしたら……公務員や銀行以外に、製造業が思い浮かびました。製造業というだけで敬遠していたけれど、どんな想いで働いている人がいるんだろう。と、かなり率直ベースで取材をしてきました。(この取材での学びはまたの機会にまとめます)
首都圏なら業種業界で絞っても、選択肢が多いです。ただ、地域となるとそうはいかない。自分が譲れない”判断軸”を、各々が見つけるしかないのだと思います。
企業側・求職者側をつなぐ翻訳者が必要
以上のことから、企業側と求職者側がお互いの理解をより深める必要があると考えています。
せっかく、地元に貢献したい!帰りたい!と思っている若手がたくさんいるのに、地元にマッチングしていない現状、すごく勿体ないです。彼らのパワーを存分に活かせる場所がつながれば、お互いハッピーだと思います。
なので企業側は、首都圏で働いていて挑戦意欲のある若手のニーズの把握。これまであまり接点がない場合が多いので、首都圏に住む若手が何を考えているのか、何を望んでいるのか、知ってもらうことから始まります。
求職者側は、自分にとって本当にゆずれない判断軸を見つけること。それは企業のビジョンかもしれないし、給与や休日などの条件かもしれない。もしかしたら本当に業種業界が大切なのかもしれない。ものさしは人それぞれです。
20~30代の求職者のニーズは、時代の変化にともなって目まぐるしく変わってきています。私たちは限りなく求職者たちに近い視点で、双方のコミュニケーションをつなぐ「翻訳者」になりたいです。
翻訳しながら、長期的な視点でお互いの考えが浸透していき「かえれる地元」をつくっていきたい。
お誘い
「かえれる地元をつくるプロジェクトMIKIRO」は、これからも地元に足を運び、多くのニーズを伺い仮説検証を重ねていくことで、世の中に良い提案をし続けていきたいと思います。
そんなプロセスに興味がある!一緒につくりたい!と思ってくださった方はぜひ、月に1~2回開催するMIKIRO編集会議に参加してください。場所はまずは東京をメインに考えていますが、応募してくださった方の様子次第で栃木でもやりそうです。
bosyuに応募していただきましたら、日程が決まり次第ご連絡しますのでエントリーいただけたら嬉しいです。
そんな感じで、頑張ります!
ページの最後まで辿り着いてくださって嬉しいです。「かえれる地元をつくる」挑戦の過程をこれからも発信します!