栃木県小山市で実践した「女性の活躍×DX」事業のご報告
3月に実施してから間が空いてしまいましたが、栃木県小山市で2年間実践してきた「女性活躍×DXを推進するまち・小山市関係人口創出事業」の成果報告フォーラムで発表したことをシェアしたいと思います。
私から事業報告のプレゼンを30分ほどしました。たくさんのご感想や講演、表敬訪問のお声かけなど反響をいただいて、さらに「娘に見せたい」というお母さんからのコメントももらったりして、とても嬉しかったです。
アーカイブ動画もありますが、文章の方が届きやすい方もいるのかなと思うので、当日の話を文章でも残したいと思います。長文ですが、お付き合いください。
▼アーカイブ動画はこちらです!
成果報告
みなさん、こんにちは。女性活躍×DXを推進するまち・小山市関係人口創出事業の企画推進を行っています、株式会社kaettaraの永井彩華と申します。
この事業では、全国的に課題である女性たちの地方流出を解決することを目的に、女性たちが暮らし続けたいと思う持続可能なまちづくりを目指して、実践を重ねてきました。本日は下記の流れでお話していきます。
自己紹介
「地方からの女性の流出」の解決に取り組むうえでの課題
小山市の可能性
まちづくりにおける女性活躍3つのポイント
女性活躍×DXが推進された未来
その前にみなさんにお見せしたい資料があります。こちら、ご覧になったことありますか?
国が推進しているデジタル田園都市国家構想のイメージ図です。デジタル庁が昨年立ち上がって、2021年12月にこの概念が生まれました。
今回、よくよく私たちがやってきたことを整理していったら、本事業の「女性活躍」と「DX」が間違いなく重要なんだと思いました。
今回、私たちが2年間、実践してきたことの共有を通じて、小山市での一層の加速と、皆さんのまちで活かしていただけるものになればと思い、成果報告とさせていただきます。
まずは企画の経緯と、私の自己紹介をさせてください。
自己紹介
私の出身地は、今回の事業の舞台となった栃木県小山市です。父は消防士、母は地元の工場で働いていました。高校は宇都宮女子高校を出て、東京の大学へ進学しました。大学時代は東京まで片道2時間かけて通っていました。
地元で暮らしていても何も知らず、地元で働くとしたら、公務員か工場か銀行しかイメージが湧かなくて。当たり前のように東京で就職先を探して上京しました。そこで初めて、ふと、思ったんです。
地方出身者って、やりたいことをやろうと思ったら地元を出ないといけないんだろうかと。それはとても悲しいことだなと思いました。
本当は地元でも私が挑戦できる環境があるのではないかと、もっと地元のことを知りたいという想いで2015年から栃木県出身者たちを集めた場づくりを「栃木ゆかりのみ」という名前ではじめました。
これまでにイベントに来てくださった方々は延べ1200人。皆さんとお話して、いただいた情報をもとに、会社に勤めながら、土日を使って栃木県内各地に足を運び、またたくさんの方とお話をしていきました。
そこで出会いたかったのが同世代で何かに挑戦している女性たちだったのですが、本当に少ない。なぜこうなっているのだろう。なぜ私たちは地元に帰ることができないのだろう。ずっと違和感を覚えてきました。
そんな地方の現状を変えたいと思って、私は2017年から、私たち女性たちが、「帰れる地元をつくる」ということをビジョンに据えて、株式会社kaettaraを創業して事業に取り組んできました。
「地方からの女性の流出」の解決に取り組むうえでの課題
現在、女性たちの地方からの流出が課題だと、世の中では多くのニュースで取り上げられています。そもそも、なぜ「女性の流出」は問題なのでしょうか。
日本で地方創生の取り組みが始まったのが2014年。今から8年前です。そのきっかけとなったのは2014年に発表された「消滅可能性都市」に関するレポートでした。
消滅可能性都市の定義がまさに「20代から30代の女性の人口が2040年までに、当時の半分以下になる自治体」でした。
若い女性の減少は、地域の持続可能性を脅かすんだ。これは世間に大きな衝撃を与えました。女性たちの人口減少が、地域の消滅を招くということが、理論上、8年前に明らかになっています。
では、現在の人の動きはどうなっているのでしょうか。
2020年の人口動態によると、転出よりも転入が多かったのは47都道府県中8エリア。転出が多かったのは39エリアでした。
転出が多かった39のエリアのうち、35のエリアでは女性の方が多く転出していました。流出した男女の差は平均1.4倍、最大で4倍まで差が開いています。
女性たちの流出は止まりません。
私は改めて、これはとんでもない数字だなと思いました。初めて知る方もいるかと思いますが、改めてこの事実を見て、皆さんどう感じますか?
今、地域で暮らしている女の子たちは、地元から出ていく可能が非常に高い。それ自体は悪いことではありませんが、暮らし続けたいと思っていても出る選択をするしかない場合は、どうでしょう。
多くの地域がこの事実を認識していても、取り組んだことのない課題に対してどうしたらいいのかわからない。本質的な課題を解決する政策ができていません。
女性が少なくなることの何が問題なの?という問い
このテーマを私が地域で向き合って、感じる難しさは、地域から少しずつ女性がいなくなっているということは体感しづらい課題だからこそ、推進することが難しい。さらに言うと、データが足りないことです。
本事業に取り組むうえで、まちから投げかけられたのが「女性が少なくなることの何が悪いんだ?」という声でした。
女性たちがいなくなっている、などの「結果」のデータは存在していても、その状態になっている「理由」を説明するためのデータが不足しています。
また、女性たちが暮らしやすいまちを目指したとして、そうなったときにどんな世界になるのか、のイメージも湧きづらい。取り組みづらい。そんな現状があると思います。
じゃあどんなデータを可視化すればいいのか……。重要ヒントになるであろうと考えられているのが、女性たちが日々の生活で担っている「無償で行っているケア労働」です。
家庭内に閉じている「無償労働の可視化」が鍵になる
男女共同参画白書の令和2年度版より、男女別に見た生活時間における、有償労働と無償労働の国際比較を見てみましょう。こちらは有名なデータですが今回、注目したいのは、有償労働と無償労働の定義です。
有償労働は、仕事や学業に関わる時間です。移動時間や準備などの時間もすべて含まれます。職種や会社、学校が特定できればイメージが湧きやすいです。
無償労働の項目もご覧ください。家庭の事情、家族構成、地域性などによってオープンな情報が少なくイメージしづらい項目が並んでいます。
有償労働に関しては、経済に紐づいているので可視化し、解決しようとしている人が多いですが、無償労働に関しては経済合理性が無い場合もあり、課題解決のメスが入っていないというのが現状です。
また、同居の家族でさえ、家事にコミットしている女性たちが何をしているのかを正確に把握できていないというデータもあります。
ここを明らかにしたことで、行政においてインパクトを出した事例があります。スウェーデンの事例です。
行政におけるインパクトのひとつは、財政への影響です。収入を上げるか、支出を下げるか。収入を大幅に上げること容易ではありません。人口が増え、住民税が上がる。法人税が上がる、これは短期的にできることではできません。
スウェーデンは、とあることをしたら、めちゃくちゃコストが下がったんです。
スウェーデンでは、雪の時期にケガをする人たちは、女性たちが非常に多いということが分かりました。
それまでは産業に従事している人たち(結果的に男性たちが多い)の移動を最優先にしていました。車で移動する人が多かったので、幹線道路を優先して除雪を行っていたのです。
データを取っていくと、歩道を通っている人たち(女性たちが多かった)が圧倒的に怪我をしていて病院に駆け込んでいたことがわかりました。それによって、病院がマヒする、医療費がかかる、という悪循環がありました。
それを突き止めた行政が、順番を変えました。まずは歩道から除雪をすることで、ケガ人が減りました。幹線道路については優先順位を下げたとしても変化はなかったそうです。
大雪の日に怪我をするのは女性に多いということに気付き、その理由を突き止め、除雪の優先順位を変えました。その結果、医療費が下がったそうです。
データを取る、活用する、これこそがDXなのです。日々の生活の中にいたるところに、特に現状では、女性たちの生活の中にこういったイノベーションのヒントがあるのです。
もう一度、こちらの図を見てみましょう。
可能性の宝庫に見えてきませんか?
データがないということは、逆に、これを可視化すれば、まちを良くするヒントがたくさんあるということです。データ化すれば、圧倒的に変化できる可能性があります。
スウェーデンでの事例も、主に女性たちが使う歩道の除雪順を、意図して後にしたわけではないのです。決まりをつくった人たちがイメージしやすかったのが、産業に従事する人たちの行動パターンだったということです。
私たちが推進していきたいのが、その課題の可視化すらも地域に住む女性たちの挑戦として取り組むこと。それをきっかけに、多様な人たちが暮らしやすく、帰ってきたいと思えるまちづくりにつなげることです。
ここで言いたかったのは、地方における女性の流出は体感しづらい。データが少ない、という前提に立ち、データが無いからニーズが無いのではないということです。
可視化することで広がるチャンスが物凄く大きいということです。
そして地元からが出た人たちのためになるだけではなく、地域で暮らす人たちにとっても、さらに安心に暮らしやすいまちづくりにつながるんだということをお伝えしたいと思います。
小山市の可能性
栃木県小山市は人口が約167,000人。栃木県内で2番目に人口が多い自治体です。主力産業は工業。大きな工業団地が複数あること、大企業の支社があること、そして私立大学や高等専門学校があるという背景もあり、毎年1万人が入れ替わるエリアです。
小山市でも例に漏れず、20代から30代の女性の流出が課題となっています。
私が注目している小山市の特徴的なことのひとつが、市として女性たちの活躍の機会づくりに力を入れてきた点です。例えば、市役所内における係長以上の管理監督者に占める女性の割合が令和2年度は31.0%。管理職に占める女性の割合が25.0%です。
挑戦している女性が多いまち
そして市内に目を向けると、女性たちが主体的に起こした地域活動が多数行われてきています。
市民の女性たちの広報チームをつくろうと市が呼びかけたところ、30人ほどの女性たちが集まりました。多様な人たちを受け入れ、女性たちが挑戦したいと手を上げる土壌がある地域です。
さらに、小山市を女性が暮らし続けたい、帰ってきたいという思うまちにするには、こうした女性たちが主体となった、新たな挑戦を生むことが必要なのでは。という考えから
小山市の課題解決に向けた女性たちのチームをつくり、多様なアセットを持った企業と官民が連携した取り組みをつくることを目指しました。
結果的に、中間支援組織としてNPOが立ち上がりました。そして小山市と連携したいという企業たちが集まって、デジタルを活用した課題解決の方法を探っている状態になり、地域での新たな挑戦がはじまる土壌ができてきました。
まちづくりにおける女性活躍3つのポイント
実践したことはこちらの3つです。
キーパーソンを見つける
出番をつくる
仕組みにつなげる
ひとつずつ見ていきましょう。
1.キーパーソンを見つける
まずはじめに行ったのは、小山市のキーパーソンとなる女性を可視化することです。
小山市役所で管理職を担う女性のみなさんや、市内で様々な活動を起こしている市民の女性たちを取材しました。そして地域コミュニティのハブとなっている方と、小山市で必要な挑戦について議論を重ねていきました。
これを他の地域の方に伝えると「うちのまちにはいないよ」「そういう人を知らない」という声が聞こえてくるのですが、探せばまちには必ずいます。
子育て・学校・PTA・学童・塾・自治会・福祉など、生活に根差したご近所コミュニティで中心となっている女性たちに会っていくと、驚くべきキーパーソンに出会えると思います。
実際に私も、本日のゲストであり、中間支援組織として立ち上がったNPO法人おやまワガママLabの代表理事となる荒川さんとの出会いもこの取材でした。
きっかけは、市で行った女性が対象の会議に出席された20人ほどのリストを、個人情報を伏せた形で、肩書のみ見せていただいたところからはじまりました。教育や子育ての取り組みをされていると書いてあり、お会いしたのが荒川さんでした。
「ゆりかごから墓場まで」をモットーに活動していて、地域全体で子育てに取り組む活動をはじめ、公民館の利用者の会の理事、地域の外国籍の方の進学サポート、地域コーディネーター、婚活などなど、多岐にわたる活動を継続的にされていました。
荒川さんのまわりには、「荒川さんがやることなら協力する」という老若男女が、地域にたくさんいるのですが、これって、とてもすごいことだと思いませんか?
でもこれらの情報は、何度も何度も話をして、やっと私も引き出せたことでした。ご本人にとっては特別なことだと思っていなくて、なかなか話をしてくれないのです。
たくさんの女性たちとお話してきましたが、ものすごく謙虚な方が多いなあと感じます。こんなことしてるんだ、と自分から言ってくれる人が少ないので、お話を聞いたり、実際に取り組まれていることに足を運んで参加して、皆さんの活動の奥行きや、本当の価値を見逃さないようにするのが、可視化をするときのポイントです。
そこから対話を重ねて、荒川さんと同じく本日のゲストの佐藤さんのおふたりと、これからやっていきたいことと、この事業のビジョンが合ったので一緒に取り組んでいこうという話になりました。
私たちは「NPO法人おやまワガママLab」という世界観と理念を一緒につくり、現在30人ほどの組織となりました。
NPOの名前にも入っている「ワガママ」というキーワード。私たちはワガママの定義を「普段の生活の中であきらめていることや我慢していること」としています。
地域の人たちのワガママの裏には、地域の課題が隠れています。私たちはワガママを集めて、それを新たな挑戦の種にして、暮らし続けたいまちづくりに貢献していくことを掲げています。
地域を良くしたいという想い1つで、どこまでも動いてきた女性が地域に必ずいます。
そういった方に全力で出会いに行き、一緒に新たな挑戦ができる仲間にしていくことが本質的な取り組みの一歩目に必要です。
2.出番をつくる
次に、「出番をつくる」です。荒川さんや佐藤さんをはじめ、連携する小山市の皆さんには、様々なイベントにご登壇いただいたり、連携する企業の調査にご協力いただきました。
具体的には、令和3年1月から現在にかけて、小山市の課題解決に挑戦したい企業を関係人口として募るイベントを企画してきました。
テーマを「小山市をフィールドにSDGsの推進を考える」と据えました。企業はSDGsを推進する事業を創出することを求められてきていますが、それには、実践するフィールドとなる地域と協力者が必要です。それに苦戦している企業が多いのが現状です。
特別なアセットのある企業でも、地域に受け入れられる形でなければ地域にとって良い形で成果が出ません。
小山市の課題解決につながるまちを共につくりたい企業を募集したところ、結果的に20社ほど手が上がりました。なかでも本事業に共感いただき、本日ゲストにお越しいただいているModis株式会社には小山市でのフィールドワークにご参画いただきました。
Modis社は未経験者をエンジニアに育成することなどに強みを持たれている企業なので、デジタル人材が不足していく世の中、「女性デジタル人材育成の推進」をテーマに検討を進めています。それにおやまワガママLabのメンバーたちに伴走していただいています。
ただカリキュラムを提供するのではなく、小山市の現状や住んでいる人たちのことを知り、関係を作っていただくことを大切にしています。どうしたら、女性たちが無理なくリスキリングができて且つ、学んだことを活かすことができるか。その仕組みづくりを継続的に議論しています。
新たなスキルを身に付けることは、家庭の調整、時間の捻出、モチベーションの維持など。簡単なことではありません。地域で支え合い、学び合い、就業もサポートする仕組みを小山市で作れるのではないかと。おやまワガママLabと連携して検討を進めています。
こうした、官民が連携する機会こそ、まちの受け入れ側として女性たちの活躍の場となるのです。
3.仕組みにつなげる
そして最後は、地域で活動をする女性たちを「仕組みにつなげる」です。現在、これが日本において、非常にハードルであると感じています。
様々な地域ネットワークを持っていて、コツコツと行動し、信頼を積み上げ続けている女性たちですが、課題となりがちなのが、その活動を持続可能にすること、事業として発展させることです。
それができていない理由は、暮らしや産業における意思決定に参加したり、アドバイスをもらえるコミュニティに女性たちが入っていけていないこと、意見を伝える言葉を持っていないことだと感じています。
そして、これが難しいことを私は身をもって知っています。
例えば。私自身も、首都圏に出た栃木県出身者たちを集めたイベント「栃木ゆかりのみ」を継続的に開催してきて、たくさんの地元を出た出身者たちとつながり、みなさんの想いを聞いてきました。「良い活動だね」とたくさんの声をいただいてきていても、「移住イベント主催」以上の活動にならなかったことが長年の悩みでした。
本当は、地域でこんな取り組みをすれば、みんな帰ることができるのではないか。という、実体験からのアイディアがあるものの、それを実践するための機会をつくれませんでした。そんな状況でしたが、私が行っている取り組みの価値を言葉にするサポートや、仕組みにつなげてくださった方々に出会い、私もこうして地域に対して行動を起こすことができるようになりました。
方法が分からない。私もすごく理解できます。だからこそ、そんな女性たちがもっと活躍の場を社会に広げることに可能性を感じています。
おやまワガママLabがNPOになったのもそんな背景がありました。旗を立て、NPOという箱をつくったことで共感する人たちが集まってきやすく、活動を広げやすくなりました。
また、おやまワガママLabでは独自の取り組みとして、毎月3日に「ワガママ会議」と銘打ったイベントを開催しています。毎回、多様な人たちが集まってきて、日常の中で気付いたワガママを共有し合っています。「こんなことに困っている人がいる」と感覚的に知っていたとしても、それを活かした提案をすることまでは難しいものです。
こうして収集しているワガママのデータを蓄積して、「女性たちの感覚値」を「使える情報」に変えて「仕組み」につなげていきます。
ワガママをもとにした「こんなものがあればいいのに」というアイディアを、デジタルを活用して具体的に伝える取り組みも実践しました。
本日のゲストである、マサチューセッツ工科大学公認・教育モバイルコンピューティングマストレーナーの石原先生と取り組んでいる、誰でもスマホアプリをつくれるソフトウェア「MIT App Inventor」を活用した取り組みです。
海外ではMIT App Inventorを使って、中高生の女の子たちが地域の課題をアプリで解決している事例が多くできてきています。それを小山市で実践しました。
当日は親子4組が参加し、3時間でゼロから学び、「地域で暮らす一人暮らしのお年寄りの困りごとを解決するアプリ」をそれぞれの視点で企画し、開発まで行いました。
最初は難しいと思っていた操作も、目的を伝えると皆さん粘り強く取り組んでいったのが印象的でした。デジタルを活用することは、誰かの生活の役に立つという体感をしてもらえる機会となり、今後も継続して実施していきたいという声をいただきました。
こうしたほうが良い、漠然と思っていることをデータ化し、アプリという分かりやすいモノにしてしまう。この一連の流れが、女性たちが地域で声を発し、仕組みに紐づけてまちづくりに活かすことになると考えています。
まとめ
これらが、小山市で実践してきた「女性の活躍×DX」事業です。まちづくりにおける女性活躍とは。まとめると・・・
結果的に、小山市では、まちを良くしたい。そのために動きたいという、前向きな市民の女性たちを中心としたチームができて、さらに、共感する企業が集まってきました。これから様々な取り組みが起きていくまちです。
女性活躍×DXが推進された未来
デジタル田園都市国家構想を、もう一度見てみましょう。
赤い点線で囲んだ部分が、人々の生活。暮らしを表しています。
現在、ここを支えているのは、荒川さんたちのような地域で活動する方々です。
ゆりかごから墓場まで。子どもが生まれ、親も子もその家族もそれぞれのライフステージに寄り添った支援を、地域の人たちはこれまでやってきました。
そこにわが国では、サスティナビリティ・ウェルビーング・イノベーションという取り組みが推進されていきます。しかし、地域のみなさんはまだそこに参加できていません。
女性の活躍×DXは、構想している人たちと、地域で活動をしている人たちをつなげる仕組みです。
私はこの事業を推進して、国が掲げている構想にワクワクしました。この構想を実現できる人たちは、既に地域にいるからです。
「暮らしの変革」のカギを握っている地域の女性たちが、この構想を自分事として捉えワクワクすることが、地域の女性たちのエンパワーメントにつながり結果的に、女性たちが暮らし続けたいと思うまちになると考えています。
小山市発のデジタル田園都市国家構想・推進モデル
小山市では、おやまワガママLabという、女性たちが主体的に自走していく中間支援組織ができました。
そして、デジタル人材が求められる世の中において、この分野に圧倒的に強いModis株式会社をはじめとした、心強いパートナー企業が連携してくださっています。
さらに、MIT App Inventorを活用して、地域課題を誰もがデジタルを活用して解決できる一歩目をつくっていきます。
これらは小山市発のモデルとして、日本全体でのデジタル田園都市・国家構想の実現に向けて、展開できると思います。
行政や企業の課題解決の取り組みに、市民のみなさんも関わって、こうしたビジョンを推進していく人たちをどれだけ増やしていくかが日本の未来にとって重要だと思います。
私たちは全国へ、世界へ、こうした取り組みを増やしていきます。
女性たちがかえりたい地元とは
最後に、一連の事業を一緒に伴走してくれた、おやまワガママLabのメンバーからいただいた言葉を共有させていただきたいと思います。
「私は今まで娘に、地元を出ていいんだよ。好きなことをしなよ。と言ってきたけれど、今は、地元もいいよって思えるようになりました」
この言葉を聞いて、私は本当に嬉しかったです。地域に誇りを持った女性たちが「帰っておいで」と、言ってくれる地元。
自分のお母さんをはじめとした地元の女性たちがこう言ってくれたとしたら、地元へのイメージが変わってくると思いませんか?
そんな地域を小山市から全国に増やしていくことを、私はこれから推進していきます。
小山市に関わる皆さんの一層のご協力と、日本全体で推進するため、女性活躍×DXに関わるプロジェクトをわがまちでも推進したいというまちからのお声かけをお待ちしております。
以上で、成果報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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以上がフォーラムでの成果発表となります。第二部では、本事業を一緒に推進した皆さんとのトークセッションを行っています。
もしよろしければ、アーカイブ動画もご覧ください!
▼本事業で行ってきたことの概要をまとめた記事がこちら
盛りだくさんな記事となりましたが、ご覧いただきありがとうございました!
ページの最後まで辿り着いてくださって嬉しいです。「かえれる地元をつくる」挑戦の過程をこれからも発信します!