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接客クレームを初めてもらった時の話



発端

当時、私は初めての就職から2年目に入ったところで、少しだけ業務や接客にも慣れてきた頃でした。とは言ってもまだまだ知識として知らないことや販売員のサービスとして「足りない」ことが多かったと思います。
週末の百貨店は遠方からのお客様も多く、女性が目立つ化粧品売り場も、フレグランスは男女関係なく香りを試しにいらっしゃいます。

そんな時に一人の男性のお客様から声をかけられました。
「〇〇(有名ミュージシャン)がつけてるのってどれ?」
当時、大変有名な話だったので、すぐに「皆様いらっしゃるのは、こちらのようです」とボトルを見せながら香りをお出しして試していただきました。

ちなみにネット情報などに関しては、「有名人の〇〇がつけてますよー!有名ですよー!」とメーカー販売員の方からは売り込みはしません。聞かれた時に「そのようですね♩」とお答えできるように情報として押さえておく程度に留めておきます。
あくまでも噂であり、確証のないことに対して責任を持てないので…。(とは言ってもやってる人もいるかもしれませんし、今の状況は分かりませんが)

そうするとその男性のお客様が「これかなぁ。なんか違う気がするんだけど」と仰るのです。
いや、今思えば、どの香水かも分かってない状態なのになぜ違うと分かるのかは疑問ですけどね?まぁ、そこは一旦置いておきましょう。

私は困りました。
今だったら、その方のお好みの香り探しにスイッチしちゃうんですけど、当時の無垢で大真面目な私は「え、これだって聞いてるのにどうしよ。」と思っちゃったんですね。結局お目当てを見つけ出せず、男性もそのまま帰られました。

でも、
「香水を探しに来た人が香水を試して帰る」
そんなことは日常なので、特に気に留めてもいませんでした。

呼び出し

数日後、勤務中にフロア担当長(化粧品売り場をまとめる百貨店の方)から別室へ呼ばれました。

「数日前に男性のお客様が香水を探してきたの覚えてる?」と。
「…?はい、思い当たる方はいます。」
「当時の状況を聞かせてくれる?」
と言うのです。
私の頭の中は???に埋まりつつも、説明をしました。
「そうか、分かりました。実はそのお客様からお叱りの電話が入ったんですよ。」
「…!?はい。」
「その時の接客した若い女性の店員(当時は若いです)が、迷惑そうな顔をした」と。
「…はい。」
「そんなはずはないのは分かっているんですが、受け取り方は人それぞれだから、そんなリスクも回避していけるように切り替えて頑張りましょう、ただ、お客様に一度お詫びの電話を入れて欲しいんだ」
と言われ、謝罪のアドバイスもいただきました。

「かしこまりました。ありがとうございました。」
(若さゆえ、気の利いたことも言えません。なんかもっと言うことあるでしょー!)

お名前と電話番号が載ったメモを渡され売り場へ戻りました。

憂鬱

ほんの1〜2年前まで学生で、赤の他人から責められるということも受けずに来た無垢な私は、内心ショックでした。(発端は私なのですが)
私のことが嫌だと言った人に向かっていかなければならない。
わざわざ、電話をしてくるほど、私のことが嫌なのです。
この気の重いことと言ったらないですね。
ダイヤルボタン1つ1つも重かったですね。


謝罪

電話は一度ですぐ繋がりました。(繋がっちゃいました。)
名前を名乗り、私の接客でご不快な思いをさせたこと、もしもう一度チャンスをいただけるなら一緒にまた香水を探したいこと、などをお伝えしました。
数日経っていたこともあり、相手の声色は穏やかでした。
「いや俺もさ、どれがどれだか訳わかんないで行ったからさ。」
と言っていただけました。

さらに

「いやさ、最初お姉さんがさ、少し下向いた時に俺のこと田舎者だからって馬鹿にしたように見えたんだよ」と。
(ちなみに当時、出身の話はしていません。)

「独身だからさ、モテる匂いが良くてさ。お姉さんはどんな香水つけてる男がタイプなの?」
「俺の家って間取りが〜〜みたいな感じなんだけど、部屋に香水置いてる男ってかっこいいかな?」と。
私は、全て肯定も否定もせず早々に話を切り上げ、電話を終了しました。

もう、全然怒ってないという事でいいですか?^U^

報告

謝罪の電話を入れたこと、話した内容を全て、フロア長に報告しました。

「あ、なんか、大丈夫そうだね(苦笑い)」
「いろんな方がいるから、勉強になったと思います。これからも引き続きよろしくね」みたいな感じで、なんだかんだこの件はふわっと終わったと思います。


クレームって、受けた事がない人の方がもちろん素晴らしいです。
攻撃力があるものだから受けた方は滅入るんですが、人生で経験しておいた方がいいもの…とまではいきませんが、いつか受けるなら早めに受けておいた方がいいのかな、と思います。
接客経験として、というよりは、人間という生き物をより知れる機会になるという感じでしょうか。


読んでいただきありがとうございます。

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