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ワインにピンチョス──スペインの「おいしい」穴場スポットはここ!

スペインのワイン地域といえば、ラ・リオハ。その州都であるログローニョへ行ってきました。
 
サンティアゴ巡礼をする人々のルートにあるこの都市にきたのは初めてだったのですが、もっと早く訪れるべきでした。美食の街としてバスク地方のサン・セバスチャンは世界的に知られていますが、ログローニョも侮れません。むしろ、サン・セバスチャンがあまりにも知られてしまった現在では、ログローニョは穴場かもしれません。
 
旧市街にある「カジェ・デル・ラウレル(Calle del Laurel)」は、まさに天国。狭い道の両側にバルが密集しているのです。そしてワインが信じられないくらい安い! 私が見たなかで一番安いものでは、グラス1杯1.20ユーロほど。“高い”もので、5、6ユーロ程度です。そしてタパスも安い! バスク地方のすぐ下に位置しているログローニョは、ピンチョス文化とワインという最高のコラボレーションを果たしていたわけです。



 
なかでも一番感動したのは、このマッシュルーム専門バル「バル・ソリアーノ」。メニューは一択。マッシュルームのピンチョスのみ。ソリアというのは街の名前で、マッシュルームが有名な街(毎年、街をあげてマッシュルーム祭りが開催される)ところなのです。
 
ログローニョじゃないじゃん、という話なのですが、香ばしいにんにくの香りに肉厚のマッシュルームからしたたるオイル──もう、びっくりするほどおいしいんです。それに白ワインを一杯。たまりません。ほかのきのこ系のバルも行きましたが、ここはダントツで翌日の朝にもここへ戻ってきました。



 
そして、もう一軒が「バル・フベラ(Bar Jubera)」。ここは、パタタス・ブラバス(揚げたジャガイモにソースがかかったもの)しかださないお店です。ブラバスはスペインのどこへ行ってもあるタパスですが(気になって発祥の地を調べたら、「はっきりはしていないがマドリッド」とのこと)、おいしいブラバスはジャガイモが甘くてほくほくしている。そして、からっと揚がっていてべちゃべちゃしていない。さらに大切なのが、ソース。ケチャップとマヨネーズを出してくるところもありますが、やはりソースにもこだわってほしいところ。ここのソースはちょっとピリ辛なソースとマヨネーズを混ぜたもので、残ったソースもパンですくって食べたほどやみつきに。ここでも白ワインを一杯。



 
と、飲んで食べて至福の時間を過ごしたわけですが、ここにきてワイナリーに行かないわけにはいきません。大手のワイナリーもあったのですが、せっかくならもう少しニッチなところに行ってみたいと思って選んだのが、「アリスクレン(Arizcuren)」。普通、街の中心地から外れたところに畑と醸造所がありますが、アリスクレンの場合、醸造所は街の中心地にあり、また別の場所のある畑からわざわざここまで運んでくるそうです。
 
現在、ラ・リオハで造られている赤ワインのほとんどがテンプラニージョというブドウの品種ですが、昔はマスエロというブトウが主流だったそうです。テンプラニージョのほうが栽培しやすくなったことから、マスエロやガルナッチャの畑はどんどん減っていってしまいましたが、アリスクレンではこの2品種も守っていこうとワイン造りに力をいれているのだとか。



 
普段はただ飲んでおいしい、あまり好きじゃないという、あまりにも低レベルな感想しか抱いていませんでしたが、せめてブドウの品種くらい意識しようと反省しました。
 
サン・セバスチャンと比べると、たしかにピンチョスのバリエーションは少ないかもしれないし、洗練さに欠けるかもしれませんが、それがまた、世界的に観光地化されていない(国内観光客はたくさんいたけど)ログローニョの良さ(だからこそ安いし)なのだと思います。
 

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