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フリーランスを決めて1年

「フリーランスになる」

そう決断して1年が経とうとしている。

日頃は曜日感覚さえあやふやになりそうな仕事の仕方をしているけれど、大学の後輩たちに卒論の添削を頼まれ、コツコツとこなしていたら、ふとそんな日付を意識した。

昨年の今頃、卒論の試問に向けて準備する中で不安感情が抑えられなくなっていたことを思い出す。

卒業するよりも1年前から、「フリーランスで生きよう」という気持ちはあったのだけれど、明確に「フリーランスとして仕事をしよう」と決意したのはこの頃だった。

精神状態がバランスを崩している時の決断は大抵が間違いだというけれど、この決断だけは大正解だったと、1年経った今、身にしみて感じている。

1年前、大学時代に住み慣れた街でも、生まれ育った街でもない、その土地での知り合いは恋人とその家族のみという街で「フリーランス」として生きることを決めた。

そうしてこの約1年、特に9月以降にたくさんの人と出会ってきた。感性で共鳴したり、心震える出逢いが多かった。

その出逢いの中で、よくこの土地に移り住んだことと、フリーランスとして仕事することを決めたことに関して質問された。

でも、なぜこの土地かと言われて、彼氏がいるからなのかと聞かれても、自然が多い土地が良かったからなどの煮え切らない答えを返してきた。

なぜ企業に勤めなかったのかと聞かれても、企業勤めは合わないと感じたからと、返すのはそれとない返事。

そんな歯切れの悪い返事の本音は、「なんとなく」で、実際に自分でも言語化していない気持ちだった。

だから「彼氏がいるから」と言われても否定はできなくて困った。彼がいるという事実は紛れもなくこの土地を選ぶきっかけなのだけれど、その理由だけではないから、なんとも答えづらかった。

でも、最近なんだかその気持ちの輪郭が見えた気がした。

多分私は「息苦しさ」という感覚を嗅ぎとっていた。

フリーランスを決めたのも、ひとつの場所でひとつの範囲の人間関係で長期間仕事をするという環境が「息苦しかった」からだ。
私にとって呼吸をしやすい環境がフリーランスという仕事の仕方だった。

土地もそうだ。挑戦をする場所として過去の記憶の濃い場所は私にとって少々「息苦しかった」。

たまに呼吸がしづらい時も、呼吸が浅くて思う存分空気を吸えていない時もあるけれど、それでも私は今の生き方が、今の私にとって一番呼吸がしやすい。

1年経って、フリーランスという生き方を選んでくれて有難うと、過去の自分と、今の自分を支えてくれる全てに感謝したい。

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かみつれ

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