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読書メモ The Joy of Living

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チベットの高僧Yongey Mingyur Rinpocheが仏教の瞑想について、仏教の素養の無い人でも実践できるように書いた本の読書メモです。彼自身が10代の頃に瞑想の実践によ…
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読書メモ The Joy of Living 18

Part Two: The Path - Chapter 18 - Moving On 全ての生き物の中で、人間だけが意識的な選択を行うことによって人生の方向性を決めることができる。そしてその選択が一時的な幸福をもたらすのか、あるいはより長続きする幸福をもたらすのかを認識することができる。 仏教の教えの目的は、この宇宙は今ここに存在するということを認識できる能力を開発することだ。宇宙とは、私たちに内在する無限の可能性のことである。しかしこのためには、心を休めることを学ばな

読書メモ The Joy of Living 17

Part Two: The Path - Chapter 17 - The Biology of Happiness チベット仏教寺院で幼少から育つといった環境がなくても、仏教の瞑想の技術を練習することでそこから利益を得られるのだろうか? ブッダは何百、何千もの農民、羊飼い、王族、商人、軍人、乞食、犯罪者にも教え、彼らは生物学的、環境的な条件を超えて継続的な幸福を達成した。 あなたが思うことの全て、あなたが言うことの全て、あなたがすることの全てはあなたに返ってくる。誰かに

読書メモ The Joy of Living 16

Part Two: The Path - Chapter 16 - An Inside Job 遺伝的に、人間は個として生き残るため飲食やセックスなど、一時的な幸福を追い求めるようにプログラムされているようだ。しかしこのような遺伝的な傾向は上書きすることが可能であることが分かっている。より持続する幸福のために、自分を訓練することができる。 最近の研究では、繰り返し経験されたことは脳の構造と機能を変化させることが分かり始めている。 親切心や思いやりを作り出すのは大脳辺縁系

読書メモ The Joy of Living 15

Part Two: The Path - Chapter 15 - Problems and Possibilities 瞑想で心を休めると素晴らしいことが起きる。 多くの人に共通するのは喜び、明瞭さ、そして概念にとらわれなくなること。 概念に囚われないとは心がオープンになるということだ。 一方で、瞑想をしようという志は、瞑想をした結果がどうかより重要だ。 継続することが大切なので、息を吐いて吸う間だけ心を休めることも非常に役に立つ。それを何回も繰り返す。 瞑想をしてい

読書メモ The Joy of Living 14

Part Two: The Path - Chapter 14 - The How, When and Where of the Practice 瞑想にはなぜそんなに多くのやり方があるのか、どれが自分に合っているのかとよく質問される。多くのやり方があるのは人によって何が効果的と感じるかは異なるからで、どれが自分に合っているのかは試行錯誤しないと分からない。 技術的なことは問題ではない。どのように自分の心を休めることができるかが重要だ。心を観察し、心に振り回されないように

読書メモ The Joy of Living 13

Part Two: The Path - Chapter 13 - Compassion: Opening the Heart of the Mind もし私たちがお互いに対する親切心(loving-kindness)と思いやり(compassion)を育くむことができれば、法律や軍隊や警察や拳銃や爆弾は必要ないだろう。広い心を持つことは最上の安全保障だ。 仏教では、親切心によって全ての生き物が同じ喜びと自由を感じられる。知的なコンセプトとしてではなく、親切心の対照を全て

読書メモ The Joy of Living 12

Part Two: The Path - Chapter 12 - Working with Thoughts and Feelings 瞑想中に考えが沸き起こってきたら、それを良くないこととは思わずにそれは空であることを認識し、そのままにしておく。 様々な思考と感情の「狂った猿(crazy monkey)」は神経学的には人類の生き残りへの脅威に対してする反応としてプログラムされている。しかしこれら古代の生き残るためのパターンを離れて自由を発見することは可能だ。 考える

読書メモ The Joy of Living 11

Part Two: The Path - Chapter 11 - Next Steps: Resting on Objects 心をリラックスさせるために感覚を利用する方法がある。人間には五感を心が知る6つ目の感覚がある。人の心の中にいる猿を静かにさせる方法として、一つの感覚に注意を集中する方法がある。対象物を利用した瞑想では感覚を利用して心を静かにする。 肉体的感覚:瞑想中に身体の一部に意識を集中するボディスキャンをするなど。 痛みなど特定の感覚を避けようとしたり、心

読書メモ The Joy of Living 10

Part Two: The Path - Chapter 10 - Simply Resting: The First Step 仏陀の教えた瞑想は分析的、非分析的の2つに分類されるが、分析的な瞑想には教授者が必要となるため、この本では非分析的な瞑想について述べる。 対象物のない非分析的な瞑想は、あたかも仕事の長い1日を終えた後のようにリラックスして行う。思考や感情に曇らされていたとしても、仏性は常に明るく開かれた状態で存在している。あまりに普通のことと思うかもしれないが

読書メモ The Joy of Living 9

Part Two: The Path - Chapter 9 - Finding Your Balance 瞑想には緊張とリラックスのバランスが重要で、結果を求めすぎないこと。 瞑想とは心を使って心を認識すること、と言うのが瞑想の実践的な定義だ。 瞑想とはあるがままの心を自然な状態で休ませるというシンプルな鍛錬である。どのような思いや感覚、感情もありのままに認識する。心に何かが浮かんでくるかに関わらず意識の中で休む。心に何か浮かんできたら心を開いてそれを認識し、そのままに

読書メモ The Joy of Living 8

Part One: The Ground - Chapter 8 - Why Are We Unhappy? 世界を旅して先進国でも貧しい国と同様に心の悩みを抱える人がいると分かった。外的刺激の多い物質文明は人が自分の内面世界との繋がりを感じることを阻害する。最初は満足を感じたことに徐々に満足できなくなり、もっともっとと求めても一時的な満足しか得られない。さらに、多くの人は何が幸せだかはっきりとした考えを持っていない。 人は怖い動物などを見たから走り出すのではなく、怖いも

読書メモ The Joy of Living 7

Part One: The Ground - Chapter 7 - Compassion: Survival of the Kindest 仏教で言うところのcompassionとは他の人に対して可哀想だと感じると言うことにとどまらない。英語では愛(love)と言うのが近いが、執着したり見返りを期待するものではない。全ての生き物との繋がりを感じる自発的な感情である。自分が感じることを相手も感じるという自他を分けない考え方である。 私たちは生き残りの本能として他を攻撃する

読書メモ The Joy of Living 6

Part One: The Ground - Chapter 6 - The Gift of Clarity 仏教の見方では、空(emptiness)と意識(awareness)は切り離すことはできない。この自発的な意識を仏教の用語では明瞭さ(clarity)という。食べなければ、行かなければ、ここに居なければといったはっきりした意識がないと我々は行動したり物事を感じることができない。 明瞭さは筋肉のように育てる物ではなく、そこにあることに気づく必要がある。明瞭さ、あるい

読書メモ The Joy of Living 5

Part One: The Ground - Chapter 5 - The Relativity of Perception 思考、感情、感覚などの経験は、絶対的な物ではなく、脳が作り出す認知に過ぎないことが心理学などで分かっている。訓練によりこの認知を変更して不安や苦痛を軽減し、幸福や平和を感じることができるようになる。主観と対象の二元論を超えると、経験とその知覚は繋がっていることが分かり、するとその繋がりの制限から解放されて自由になれる。 日常的な物の見方を変えると