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なぜ働く女性が増えたのか

先日夫とテレビを見ていると、ジェンダーギャップ指数の話が流れてきました。そういえば、母世代は専業主婦が多数はだったけど、私の大卒時は性別を問わず働くのが当たり前だった。

女性活躍推進なんてよく聞いたけれど、そもそもなんでそんな話になってるんだっけ。色々と疑問が湧いてきて、本を頼ることにしました。


私はざっくり以下のように理解しました。



女性の社会進出は必然だった

労働の形の変遷を見ると、女性の社会進出は必然だったことがわかる。

かつては男女を問わず、家族全員が働いていた。それが産業革命によって工場労働が普及。職場が自宅ではなくなったことにより、男は外・女は中の役割分担が発生した。その後経済発展とともに労働需要が増加。人手不足を補うために女性も働きに出るようになった。

農業・自営業(家族全員働く)
家族全員が働く。家事と仕事の境目が無い。

工場労働(専業主婦)

家の外で働くことになり、通勤が発生。当初は家族全員が働いていたが、家事が回らなくなることや労働環境の劣悪さが問題になり、夫だけが働き、女性と子どもは自宅にとどまるようになった。

サービス業(女性も働く)

経済発展とともに労働需要が増大。不足分を補うために女性も働きに出るようになった。


先進国はいずれもこの流れを経験してきた。

日本の場合、サービス業の成長は戦後に訪れた。ところがちょうどベビーブームにより農家の男手が余っていたため、労働需要を女性が埋めるには至らなかった。

高齢化が進み、さらに人手が足りなくなったところで女性も駆り出すことになったのが第二次安倍内閣の女性活躍推進

大きな流れを見ると、遅かれ早かれこうなっていたことがわかる。



なぜ日本での「共働き」が難しいのか

本書は「本当の意味での共働き」とは、稼ぎに極端な偏りの無い状態を指している。例えば夫がフルタイム正社員、妻がパートは含まない。

日本は、育児休業など女性の労働をサポートする制度は整っている。しかしなぜ女性の方が圧倒的に非正規雇用が多く、管理職も少ないのか。


それは、従来の男性の働き方を女性にも適用しようとしているからだ。従来の男性の働き方とは、すなわち「家に専業主婦がいる男性」である。

そうした従来の働き方の特徴は、3つの無限定性である。

時間の無限定性:残業、長時間労働
職務の無限定性:メンバーシップ型雇用(NOT ジョブ型雇用)
勤務地の無限定性:転勤

これらを受け入れなければ、日本の大企業では昇進できない。しかし、夫婦が二人ともこれを受け入れると家庭生活が成り立たない。よってどちらか(もっぱら女性)が限定性のある(= 給料の低い)仕事にとどまらざるを得ない。


本当の意味での共働きを可能にするには、こうした働き方を変えていく必要がある。


Q. 女性が働くと少子化が進むのでは?
A. YESであり、NO。

一定の条件(働きやすい制度など)が整うまでは、働く女性が増えると出生率も下がる。しかしその後は上がる。


Q. 「女性の社会進出」とは何か?
A. 「雇用される女性」の増加。

「女性の社会進出」とは、「働く女性」が増えてきたというよりも、「家業ではない会社に雇用される女性」が増加してきたことを意味する。



感想

素晴らしいです。読んでよかった。ごちゃごちゃいしていた頭の中がかなり整理されました。

あと、「構造上そうなったもの(意図的ではない)」と「制度の結果そうなったもの(意図的)」とを区別する話もよかった。なにかと恣意的に意味づけしてしまいがちだけど、「なぜそうなったのか」「なぜそうしたのか」にもっと意識を向けようと思いました。

で、「本当の共働き」を広めるにはどうすればよいのか。まだ読み終わっていないので、これから提案があると期待しております。読了後追記しよう。

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