普通
人と違うことを好み、人気のないベースを弾き、それをそれとなく匂わせる。
「普通」を嫌い、自分が何者であるかを考えることが好き。
解散したバンドを聞いたり、誰も知らないマイナーバンドのグッズを買ってみたり。
きっとこの中には承認欲求と「普通」を嫌う魂胆が含まれていて、心から人に「好き!」と誇れる何かは少ない。
「こんな変なものが好きなんだ」
私は「変」が好きなのである。
知らない古着、知らないアーティスト、敢えてレコードを選ぶとこ。
そんな自分に酔っていて、これは思春期ならではの特別意識なのかもしれない。
お金が無いから、スーパーで働いている。
働いている自分は揃った制服を着てテンプレートを話す「普通の店員」であり、それは人に見られたくないもので。
普通に紛れる自分がすごく恥ずかしいと思う。
変な眼鏡をかけて知らない音楽を高いイヤホンで聞いている、変な自分が好きなのであって。
そんな「自分」が好きだから、別に「変な音楽」や「変な服」が好きな訳では無いのだ。
そんな私にも、人からどう思われたいかどうかなんて関係の無いほど好きなものが現れた。
誰になんと言われようと好きであり、それを好きだということで別に印象が変わるわけでもないのに、人に「好き」だと伝えたくなる人。
そんな私にとっての「特別」が、
北香那さんなのである。
自分が人からどう見えるか、とかそんなもの関係なしに人に誇りたい素敵な人。
なんとなく、ほんとに何となくだけど、人生がかわったんじゃないかなって気もした。
気のせいだけど。