フランスから、食関連ニュース 2020.07.29
今週のひとこと
野草摘みや薬草専門家であるクリストフ・ドゥ・オディさんが主宰する研修に登録して学び始めました。先日、クリストフさんが企画するヴァンセンヌの森の野草摘み散策にも参加して、都会においても身近に生息する野草の豊かなことに気づかされたばかり。
パリ市長の再選を果たしたアンヌ・イダルゴ氏が、2024年までに、現在パリの車の動脈である環状線道路に10万本の木を植え、歩行者道を作り、自動車の走行スピードは50キロに制限にすると発表して、パリジャンを驚かせていましたが、パリの緑化はますます進んでいくでしょう。イダルゴ氏の影響力の強い14区に住む友人に誘われて周辺を散歩したのですが、あちこちに公園が整備され、小さな公共菜園、菜園内にカフェテラスが設置され、昔の鉄道が敷かれていた電車道は長い散歩道として解放されていたりなど、都会における憩いの場所は、ますます必要とされているのを感じています。
野草の研修で、一番初めに学ぶことの一つが、環境に優しい野草摘みを知るということです。例えば、植物の土に近い部分ではなく、上を摘むことで、株には手をつけない。根から繁殖する植物を知り、根から掘りおこす場合は、一部を土に戻す。摘んだ草が近くに種をつけていたら、種を周りに蒔いてあげる。また、庭を作るのに、前面を刈り取り芝生にしてしまう家庭が多が、できるだけ、一部を刈り残して、生態系を守る。つまり、全てを刈り取ってしまうと、植物相、昆虫も含めた動物相を壊してしまうばかりか、大地にも影響が出てしまう。そこに生きる生物だけでなく、土地の湿度や温度、日射量、栄養なども考えた上での生態系であるという、考えてみれば当たり前のことを、思い起こさせてくれる。クリストフさんは、土地が空き地にされ、建物ができると聞くと、その土地に生息している植物をできるだけ掘り起こして、近くに植え替えるそうです。
サステナブルという言葉は、近年良く使われる言葉となりました。企業でもサステナブルを重視しない場合、肩身の狭い世の中です。しかし、そうはいっても、サステナブルは、一般の人々にとっては、身近に感じることのできない言葉として受け止められているのではないかと思います。それでも、サステナブル=「人間・社会・地球環境の健康で持続可能な循環と発展」を身近なことに置き換えれば、各人が身近なことから始められる、生活態度なのではないかと思います。例えば、クリストフさんが教えることが代表的なように、植物を摘んだら、その周りを見渡し、自分が命をいただいた植物の種がなっていれば、その種を地面に蒔いてやること。あるいは、分かち合う心も含めた、人間関係のすべて。偉大なるエスコフィエは、ハイクオリティの料理の大量生産化を可能にして、利益を生み出し、20世紀の豊かさを創造しましたが、これからのガストロノミーは、また違うところへ向かうことになるのではないかと、ひしひしと感じる今日この頃です。
今週のトピックス【A】米をテーマにしたレストランをフレンチシェフがオープン。【B】レンヌ市2つ星「ジル」、ビストロに。【C】ガニエール氏がレストランを監修する、ボルドー・ワイン界名士の「ラ・グラン・メゾン」閉館。【D】スター・パティシエ、クリストフ・ミシャラク氏刊行本、売り上げを100%病院財団に寄付。【E】番組「トップシェフ」出身シェフとコラボする、オリーブオイルブランド「カリオス」展開レストラン、3軒目をオープン。
今週のトピックス
【A】米をテーマにしたレストランをフレンチシェフがオープン。
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