フランスから、食関連ニュース 2020.08.04
今週のひとこと
フランスは8月に入って、毎年のバカンスの時がやってきました。パリでは多くの店舗が閉まり、先週末には高速道路の渋滞が報じられていました。今週からたくさんのパリジャンたちが地方に出立したため、パリは少し静かになりました。それでもバカンスの間、仕事を辞めず働いているシェフたちもいます。店の規模から考えて、開けていたほうが良い店と、そうではない店と、それぞれの選択を迫られる夏となりましたが。オデオンで4軒の店を営むイヴ・カンドボルドシェフは、夏の間、店のオープンを決めたオーナーの一人。彼から連絡が入り、話したいことがあるというので、昨日は早朝に呼ばれて会ってきました。
日本に息子が留学していたこともあり、日本には特別な愛着を持ってくださっています。私自身が著書「パリ、カウンターでごはん」を出版した時には、愛弟子の篠塚大シェフと一緒に、日本に来てくださり、プロモーションイベントに出向いてくださいました。彼の相談の内容というのが、日本での食の体験を通して、11年前にオープンしたカウンターバーの一つを、日本のすしも提供するコンセプトに変えて再出発したいということ。江戸時代に始まった立ち食いすしの話をして、そのころの浮世絵画を見せると、和気藹々としたカウンターの姿にこだわる彼の心に響いたのか、したり、という顔をして、より一層モチベーションが上がったようでした。今年はバカンスを取らないというイヴシェフ。「今日の仕事は明日、そして1ヶ月後、さらには1年後に響いてくる。だから今日自分はここにいる」と。常に、今日考えていることを、明日につなげ、さらに未来へと紡いできたあり方が、今の彼を作っているのだなと思いました。そして、和気藹々としたカウンターが、また同じ姿に戻ることを祈って。バーやカフェのカウンターでの何気ない人々のやりとりですが、その生き生きとした躍動感が歴史をも動かしてきたパリの文化の一つであり、魅力を作っているのだなと感じます。
今週のトピックス【A】フランス初のビーガンワインバー「レザン・ドゥ・プリュス」オープン。【B】料理教室が、国も支援する、食関係従事希望者コースを設置。【C】予約サイトLa Fourchette、「レストランへ戻ろう」というキャンペーンを開催。【D】「シャングリラ・ホテル・パリ」の新しい挑戦。
今週のトピックス
【A】フランス初のビーガンワインバー「レザン・ドゥ・プリュス」オープン。
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