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フランスから、食関連ニュース  2020.07.22

今週のひとこと

日本でも翻訳された「広告に恋した男」の著作で知られるジャック・セゲラ氏ですが、ポッドキャストGénération Do It Yourself内でインタビューを受けて話した、人生のエピソードが面白く、心に残りました。1934年生まれの86歳とは思えない若々しい声もさることながら、さすが「洗剤から大統領までを売る広告マン」という異名を持つだけの、正直だからこその魅力的なエピソードに溢れていましたし、心を離さない人間らしさを、言葉の端々に感じました。セゲラ氏は愛に満ち溢れていた両親に育てられましたが、躾は厳しく、思春期の頃、家から遠く離れた寄宿舎に入れられていたそうです。両親とは1ヶ月に1度しか会えない。寄宿舎では1番の年少で、ことごとくイジメを受けていたそうです。ある日、愛する母が訪ねてきた。その時に、寄宿生活の辛さを告白すると、母は「考えてみるわ」とひとこと。次の日、家に返してくれるなどの甘い言葉を待っていた母から送られたのは、ボクシングの真っ赤なグローブだったそうです。「これを肩からかけていれば、誰もあなたをいじめることはできないわ」と。その時にセゲラ氏が学んだのは、あるサインによってもたらせるメッセージの強さだ、と言います。たったひと組の真っ赤なグローブが、自分を守ってくれる。母が言ったことは本当で、それからいじめられることはなくなった。肩からかけるだけではなく、実際にボクシングも学んで、趣味にもなり、そのメッセージは受肉された。セゲラ氏にとって、このエピソードは、自身の中で広告の原点にもなった。「落下する人生ではなく、常に飛行機で飛んでいたい」と断言する、逃げることのない人生も、そうした母の態度から学んだことなのではと推測します。

本質の込められたメッセージが持つ強さは、広告の世界では、実用の芸術に位置付けられるかもしれませんが、何気ない言葉の中にも見つけることができて、人生の糧になります。フランスの、ひいては世界の洗練されたチョコレートの世界を切り開いたロベール・ランクス氏。2014年に85歳でなくなりましたが、世界的に知られる「メゾン・デュ・ショコラ」を創業したのは1977年、48歳の時。ランクス氏から、いただいた言葉は、「人生、情熱を持ったことなら、何歳からでも始められる」と、「友人は少なくてもいい。しかし、幸福を分かち合える人を選択する賢さを持つこと」。先週は誕生日を迎えましたが、これからも、さまざまなメッセージを受け取れる、あるいは分かち合える人生を歩みたいと思います。


今週のトピックス【A】パラスホテル「シャングリ・ラ・ホテル・パリ」、メインダイニングを閉める。【B】2ツ星シェフ、佐藤伸一氏、新レストランをオープン予定。【C】初、グルメのプラットホームサイトオープン。【D】名シェフたちのお家レシピ本、慈善出版。【E】スーパーマーケット「モノプリ」、他競争相手の商品でも、返品返金システムを展開。【F】ブルターニュ地方発の'パスティス'誕生。

今週のトピックス

【A】パラスホテル「シャングリ・ラ・ホテル・パリ」、メインダイニングを閉める。

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