フランスから食関連ニュース 2020.08.12
今週のひとこと
フランスはコロナ禍下といえどもバカンスの真っ只中。バカンス客を見込めないパリのレストランは、7月下旬から、あるいは今週から数週間閉まるところが大半です。そんな休暇の前に、さまざまなレストランのシェフたちが我々の事務所atelier DOMAに立ち寄って、庖丁を預けて下さいました。共同経営者のマリナ・メニニは庖丁専門家で、庖丁のとぎも生業にしています。オープンの際にはしっかりと切れるようになった包丁でキッチンに入りたい。使い込まれた庖丁たちをテーブルに並べると圧巻。それぞれのシェフたちの料理の癖や仕事の様子が、その庖丁の佇まいから見て取れるのが、なんとも言えず味わい深いものでした。出来るだけシェフたちの仕事をリスペクトしながら、もともとあった用途の形に戻してあげる。庖丁にとっても、いわばシェフたちにとっても、リセットの機会にもなる。自身でといで直すよりも、客観的にといでもらうことで、新しく見えてくることがあるなと感じています。
人も生き方の癖のようなものがあって、どうしても、こうしてしまうという行動の積み重ねが、今の自分を作っていると常日頃感じます。今年ミシュランの3つ星を獲得した料理人、小林圭さんが、今までの人生において、一日足りとも無駄にしたことはないと言い、イヴ・カンドボルドシェフが、今日1日が未来に繋がるという。あるいは、19世紀フランス文学の専門で執筆家である知己のアトランさやかさんは、筆の力を信じながらも、腕一本で、目の前にいる人を癒す力があるかもしれぬ指圧師の勉強をし始めたという。人生を切り拓いてきたそんな友人たちの小さなつぶやきが、私にとっての気づきとなり、リセットの機会をいただいています。
庖丁は、基本、刃がなくなるまで使い込むことができる。一生寄り添ってくれる大切な道具の命の大切さを感じています。最近、友人たちの子供たちに囲まれることが多い今日この頃。自分自身を生かす力がないと、人は助けられないでしょうが、人のためになる職業に就いてほしいなと思う今日この頃です。
今週のトピックス【A】人気のパリ1つ星シェフが、プライベートレストラン開始。【B】新ビジネス、山小屋風のスパホテルが人気。【C】「ル・フーケッツ」の新星スターシェフ・パティシエが、パリにパティスリーをオープン。【D】トリップアドバイザーの人気高級レストラン25発表、フランスのレストランが1位。【E】ブザンソン市のTGV発着駅に、チーズの自動販売機登場。
今週のトピックス
【A】人気のパリ1つ星シェフが、プライベートレストラン開始。
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