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フランスから、食関連ニュース 2021.04.07

今週のひとこと

2021年もすでに4月に入って、驚くばかりです。イースターのお休みはこの週末から月曜日にかけて。今年は多くのレストランがイースターのためのスペシャルメニューをテイクアウトで用意して、ショコラティエ、パティシエだけでなく、食業界が力を入れていたように感じました。

復活祭といえば「卵」。1つ星「La Scène Thélème」のシェフ、高柳好孝さんが、「ルカ・カルトン」のスーシェフだったジョヴァンニ・ラビチーノさんと一緒に、オムライスの店「OMURICE」をオープンしたと聞いていたので、足を運んできました。「La Scène Thélème」のある、もとギー・サヴォワの敷地で、メインレストランの向かいにある場所。チキンかベジタブルのトマトフュメ風味ライスに、ふわふわの卵のオムレツを乗せ、ソースはデミグラスか牛肉のハヤシライスソース、チキンカレー、あるいはトマトフュメを選べる。1ヶ月前にオープンして、毎日多ければ80食は出るということでした。お客様の80%は中国人で、あとはフランス人と日本人が2分するそう。中国のソーシャルメディア「RED」に、たまたま掲載されたということです。@omurice.paris

「RED」は、2013年にリリースされた、投稿というソーシャルメディアの形式を持つInstagramと、評価やEコマースの側面を持つAmazonをミックスしたアプリケーションです。中国では知られていない海外の製品へのアクセスが簡単にできるということがREDの特徴で、コンテンツはコスメが中心だそうですが、ファッションはもちろん、旅行や食事についてを網羅しています。月間のユーザー数はなんと8000万人。KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーが集まる場所にもなっているようで、このプラットホームに魅力を感じて参加をする、ヨーロッパのグループやブランドも少なくないようです。例えばルイ・ヴィトン社は、中国向けのバッグを生産するのに、ユーザーのコメントを的確に拾い上げることに成功して、大きさやショルダーの長さを的確に調整することができたということも話題になっていました。日本のブランドとしては資生堂がネットワークに参加しているようです。

REDで一気に広がったOMURICEの評判。パリに住む中国人コミュニティ、華僑の強さを今更ながら感じざるをえません。コミュニティを個別に持ち、共有する、拡散するというソーシャルネットワークと華僑の性格の類似点が、REDの成功につながり、国際的なマーケットも動かしています。REDは自身のネットワークを「都市の中の都市」であると例えているのも、あながち誇大表現ではないようです。こうしたネットワークが、国境を超えた、広がりのあるポジティブなフィールドをも生み出していけることも期待しつつ。

高柳さんは、この大変な1年を経て、「働けてお客様の対応ができるという毎日がとても楽しい」と。働くという活路を見出していける料理人さんばかりではないとは思いますが、こういう時だからこそ、小さなことでも積極的な姿勢が、未来には轍として残っていくと信じています。たまたま高柳さんのお店で、やはりオムライスを購入しにきた3つ星シェフ、ヤニック・アレノのセカンドシェフを務める廻神大地さんと鉢合わせになりました。廻神さんは、Youtubeで、日本でフランス料理を学ぶ学生さん向けに「基礎フランス料理」講座を始めたばかりということでした。

https://www.youtube.com/channel/UCQRaD_gWPDEGMLI3SUq0cOQ


今週のトピックスは今週のひとことの後に掲載しています。【A】「アストランス」、初のテイクアウトに挑戦。【B】アンヌ・ソフィ・ピック、初の自社ジン発表。【C】3つ星シェフ、ゴードン・ラムゼイ、4月12日、新店オープン。【D】「世界自閉症啓発デー」、韓国出身ピエール・サンの活動。【E】クリック&コレクトサイトに、ストウブ社の上手なパブリシティ。

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