2つの背中

2つの背中をずっと見ていた
かなしいことにつまずいても
心安らぐ場所があれば
どんなに楽に生きられるだろう
2つの背中を遠く見ながら
ずっとずっと考えてた

もう子どもじゃないから 本当はすぐに追いつけるけど
わざと距離をとって ゆっくりゆっくり歩いていた

ふるさと
あたたかい町にも冬は来て 
散らつく雪の朝
もう 追いすがるだけでは凍えてしまいそう

2つの背中に問いかけてみた
かなしいことは尽きないけど
土台を持たぬこの心じゃ
どこにも行けない気がしてるの
いつまでも満たされない気がしてるの
冬のせいではないのだろう

憎しみ ぶつけてもいいのか
憐れみ 持っていいのか
波の音も強くなったね
壊れてしまいそう

2つの背中がそこにあるのを見られるだけで幸せだと
僕にそっと説く人もあるだろう
だけどまだ大人じゃない

2人のあいだに生まれたことを
何と思えばいいのだろう
かなしいことにつまずきながら 
不安定ないのちを燃やしてゆけるかな
2つの背中が遠ざかるのを
ずっとずっとずっと見ていた

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