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BTS【花様年華】①~⑨関連作品まとめ-MV他


前回の記事はこちら


※当記事は考察や個人の見解を含みます。ご了承下さい。※


BTS(防弾少年団)のコンセプトの一つである【花様年華】のストーリーの前半部分、7人が出会う前の過去〜学生時代を経て、再び思い出の海へ行く日までを9つの記事に分けて整理してきました。

個人的にはここまでのストーリーが【花様年華】の"第一章"であると感じています。"第二章"の出来事をまとめる前に、ここまでのストーリーを扱う関連作品を整理してみようと思います。

最初にざっくりお伝えすると、花様年華~WINGSシリーズの作品がメインになります。花様年華シリーズに関しては、これまでの時系列まとめの記事で拾えている部分が多いのでサクサク進みますが、後半のWINGSシリーズに関する項目は、このnoteでは初めて言及するので情報量多めです。


また、これまでに投稿したBTS【花様年華】①〜⑨の記事を頭に入れて読んでいただくとより分かりやすいかと思いますので、まだの方はそちらもお時間ある時にぜひ目を通してみてください。

今回の記事、まとめと言いながらかなりのボリュームになってます。(ごめんなさい)この記事の最後に「特に見て欲しいもの」をまとめた項目を作っておくので、お忙しい方はそちらだけでも見てみてください。



YouTube(MV他)

まずは手を出しやすい公式YouTubeにアップされているMVやTeaserから整理します。全て一気に見ると半端じゃなく時間が溶けるので、このnoteの拙い紹介で気になったものから徐々に攻めていく感じでお願いします。

より詳細な関連事項は各記事にある年表の下記の部分に記載があります。

参考

※重要度・関連度関係なく公開順に列挙していきます。


■2015 BTS LIVE TRILOGY:EPISODE Ⅰ.BTS BEGINS Official Teaser

【花様年華】コンセプト始動前のためBU contentのクレジットはないものの、これでもかというほどリンクした映像です。日付に若干の相違はありますが、7人の出会いのきっかけになった日の出来事や、抑圧の象徴である大人の存在などが描かれていてます。(関連記事【②7人の出会いと花様年華】)

2015年以降、【花様年華】コンセプトが発表されて色々とストーリーが明かされていく過程で「これってBEGINSのVCRと話繋がってるんじゃない?!」みたいになった当時のアーミーが羨ましすぎます。タイムリープしたい。

公式YouTubeにはTeaserのみがアップされてますが、ライブの本編で流れたVCRはもっと内容が厚いです(当たり前)おすすめして良いのか分かりませんが、円盤を持ってない方はこっそり検索してみてください。

ちなみにこのVCRの中で突然壁の向こうから現れるキャビネット、今後の展開で再登場しますので覚えておいてください。


■'I NEED U' Official MV (Original ver.)

7人の【花様年華】であるとされる学生時代、そしてソクジンがタイムリープを開始する以前の本当の現実で起きた出来事がごちゃ混ぜで描かれています。(関連記事【②7人の出会いと花様年華】【④本当の現実と最初のタイムリープ】【⑥ホソク・ジミンとの再会】)

これはどのMVにも言えることなんですが、一つのMV内で描かれる過去・現在・未来のシーンの撮影時期が同じなのでぱっと見のメンバーのビジュアルでいつの出来事なのかを判断するのはかなり難しいです。けど、出来事を時系列で整理していると結構分かりやすく見えてくると思います。このMVの場合、7人が一緒に過ごしているシーンは学生時代、それぞれがひとりで映るシーンはタイムリープ開始以前の本当の現実を描いています。

「7人で海に行くのはソクジンが救済したあとじゃなくて?prologueとかRUNと何が違うの?」って思うかもですが、救済後はソクジンが運転する車で海に行く描写があるのに対して、学生時代には”お金がなくてバスに乗れず、何時間も歩いた””リゾート建設中の海に向かって夢を叫んだ”というエピソードがあり、合致します。ファーストフード店や街中で遊んでるシーンではソクジンの純粋に楽しんでそうな表情に注目して欲しくて、タイムリープ開始後を描いたMVではなんだか不安そうな心配顔(かわいい)が多いです。

7人の遊び場として線路沿いのコンテナが出てくるので、一見ナムジュンがソンジュに戻ってきてからの話かなと解釈しがちなんですが、このI NEED Uではコンテナの室内の描写がなくて登ったり線路の上を歩いたりして遊んでいるだけ(小学生?)なんです。そう考えると、身一つで田舎から戻ってきて行く当てもない中、馴染みのあるかつての遊び場に居を構えたナムジュンが一層愛おしくなりませんか……

そして、I NEED Uで最も重要なのはタイムリープ開始以前のyear22.04.11~05.22に起きた本当の現実のシーンです。衝撃的で辛いシーンが連続し、MV全体の雰囲気も薄暗い感じ。この部分も、7人それぞれの生い立ちを知っていると急に?とならずに納得感があると思います。


■화양연화(花様年華) on stage : prologue

主にソクジンがテヒョン以外の5人を救済したあと、思い出の海に行く日の出来事を描いたMVです。テヒョン以外と言いつつ、ソクジン的にはテヒョンも救済したつもりでいるので終始楽しそう。(関連記事【⑦叶わないテヒョンの救済】)

廃プールで遊ぶ7人は、何の問題もない普通の若い男の子たちのようです。再びこの時間を手に入れるためにソクジンがどれだけの絶望を味わったのか、6人が知る由もないところが儚い。ソクジンの車で海に行くんですが、問答無用で兄たちが車内、子供は荷台なのが良いし、干潟でカニを捕まえるナムジュンも良い。Ma Cityがかかるイケイケなガソリンスタンドもいい感じ。そして本当にホソクはいつも食料を調達してる。この時7人はウキウキで写真を撮るんですが、この写真が今後の展開でもいい仕事をします。

そして、印象的な展望台のシーンへと続きます

父親を刺し殺して逮捕される現実と、友人たちの目の前で自ら命を絶つ結末。命の重さに違いはないですが、ソクジンが現実を変えなければ少なくともテヒョンが若くしてその生涯を終えることはありませんでした。


■'RUN' Official MV

I NEED Uではコンテナに登るだけで楽しかったのに、いきなり反社会的な遊び方をしてる7人です。このMVは楽曲コンセプトの色が強く、ビジュアル面では【花様年華】独特の儚い雰囲気は薄いですが、エピソードとしてはソクジンの帰国後徐々に再会していく7人と、テヒョンが事件を起こすまでの再び7人で一緒に過ごした時期の出来事を描いています。(関連記事【③離れて過ごした時間】【⑥ホソク・ジミンとの再会】)

コンテナでパーティをしているシーンが印象的で、ソクジンが変える前の世界線ではジミンが自らの命を絶つ道具として使われた浴槽に、6人がジミンを引き込んで大はしゃぎしている描写が感慨深いです。この思いはきっとソクジンが一番感じていると思います。

そして、このMVでは互いに助け合うことになるそれぞれの組み合わせが顕著に描かれています。また、ソクジンが組み立てた完成間近のトランプタワーがテヒョンの手によって崩されてしまう描写も偶然ではないはず。

公開順とは異なり、時系列としてはI NEED U→RUN→prologueとストーリーが続いています。


■'I NEED U (Japanese Ver.)' Official MV

日本語版のMVも余力があれば見ておきましょう。抽象的なカットが続くので考察班は楽しめそうで、唯一具体的なエピソードとして拾えるのはホソクが薬を服用するシーン、そしてナムジュンが鏡に書かれた「生き残らなければ」の文字を打ち消すシーンくらいです。

そしてOriginal ver.と同様、百合の花が何かを象徴するように登場しますが、百合の花弁と共に描かれている人とそうでない人がいることに気が付くでしょうか。タイムリープを繰り返すソクジンはたくさんの百合の花に囲まれるようにベッドに腰掛け、いくつかの花弁はソクジンの手の中にあります。そしてテヒョン(百合を投げる)、ジミン(百合が沈む)、ジョングク(百合を燃やす)、ユンギ(百合が燃える)はまるでそれぞれの結末を表しているかのようです。一方、ホソクとナムジュンには百合の花弁と共に描かれるカットはありません。この二人の共通点は、ここまでに整理した【花様年華】のストーリーの中で命を落とす展開がないことです。この辺りから、百合の花が一体何を象徴しているのかがわかって来るかと思います。

鮮やかな花に囲まれたセットが美しく、7人の愁いを帯びた表情に心が揺れます。ダンスシーンがメインなので、難しいことを抜きにして見てもめちゃめちゃかっこいい!


■'RUN -Japanese Ver.-' Official MV

こちらも意味深なカットが盛り沢山で、がっつり考察班向けのMVです。

ダンスシーン以外に7人が一緒にいるシーンはなく、全てのカットがどこかにひとりで閉じ込められているような印象です。ナムジュンは電話ボックスに、テヒョンは壁中にグラフィティのある部屋、ユンギは割れた鏡の散らばる部屋、ジョングクは鏡の破片こそ映らないもののユンギの部屋と同じように光が乱反射する部屋、ジミンの部屋には大きな水槽があり、そのジミンと同じ壁に囲まれた羽の散らばる部屋にホソクがいます。そしてソクジンのいる部屋の壁はテヒョンのいる部屋と同じ壁のようです。

壁に書かれた文字の一つひとつにも意味があるようですが、専門外なので割愛します。調べてみると面白いので、意欲の湧いた方はぜひ熱いうちに。


■'EPILOGUE : Young Forever' Official MV

こちらも概念MV。ひたすらに曲が良いです。回想シーンが多めで、このMVから新たに拾える具体的なエピソードはなさそうです。

終わりのない壮大な迷路。交差することのないそれぞれの道。掴んでは離れていくもの。それでも走り出す少年たち。夢、希望、前進。一緒なら笑うことが出来る。永遠に少年のままで。

本当に曲が良い。大好きです。

完全に蛇足なんですが、Stay Goldって曲あるじゃないですか。『アウトサイダー』っていう古い青春映画(環境に恵まれない7人の少年たちの話。バンタンは花様年華はここから影響受けてるのかな?と薄っすら考えてます)があるんですけど、ある少年が亡くなるシーンで「stay gold.」っていう台詞が出て来るんです。青春のままで、少年のままで。黄金の青春を永遠に、もうYoung Foreverですよね。Stay GoldはBU contentには含まれませんが、共通の想いとしてこのYoung Foreverはあるんだなって勝手に思ってます。

Young ForeverとStay GoldはMVの構成も似てる気がします。勘違い?


■WINGS Short Film #1 BEGIN

花様年華シリーズに留まらず、WINGSシリーズの映像作品にもBU contentのクレジットがあります。個人的には花様年華シリーズで描かれているエピソードとおおよそ同時期の7人の精神世界を表現しているような印象です。

WINGSシリーズ自体のコンセプトは、RMも愛読するヘルマン・ヘッセ著『デミアン』という小説がベースとなっていることは公式で明言されています。ヘッセはこの後展開されるコンセプトに大きく関わるユング心理学で知られるユングとも深い交流がある人物です。ユング心理学に関して今回の記事では深く触れませんが、理解を深める上ではある程度必要な知識かと思います。

WINGS Short FilmはComeback Trailerを含む8つの作品が公開されていて、冒頭には『デミアン』を引用したRMのナレーションが入ります。

#1 BEGINはジョングクがメインとなるShort Filmです。誘い込むような口笛が鳴り、ベッドで魘されているジョングクが見ているのは燃えたピアノ。ここまでのストーリーを一緒に見てきた皆様であれば、この燃えたピアノが表す人物が誰であるかは明確ですよね。その後、ブレーキ音が響いてジョングクが目を覚まします。

映像の中で引用されている文章は

日が昇る前の夜明けが 一番暗いから

『Tomorrow』より

ハイタカが現れ、ジョングクの影が翼を持つと、まるで孵化する卵のような一つ目のロゴマークが映し出されます。


■WINGS Short Film #2 LIE

#2 LIEはジミンがメインとなるShort Filmです。記事の中でさらっと触れたyear20.09.28のNOTESに「lie(嘘)」というキーワードとかなり関連深い内容のものがあります。(関連記事【③離れて過ごした時間】)

ジミン year20.09.28
入院して何日目なのかを数えるのはやめた。そんなことは退院したいとか退院できる希望がある時にやることだ。(中略)それでも今日は特別な日であった。日記をつけるのなら必ず書き残さないといけない日。しかし僕は日記を書いていないし、そういう事を書き残して問題を起こしたくなかった。今日、僕は初めて嘘をついた。医者の目を見ながら落ち込んだフリをして話した。「何も思い出せません」

ジミンは病院や家族に、そして自分に嘘を吐き続けていました。

精神鑑定を受けているような真っ白な室内でビデオカメラを向けられているジミンは、#1 BEGINで登場したジョングクのロゴマークに対して、何も知らないというような素振りを見せます。一見強気な表情のようですが、床に映る影はまるで膝を抱えて縮こまっているようにも見えますよね。

病室に残るのはジミンと、もうひとつの無人のベッド。偶然同室になったホソクの「ここから出よう」という提案に一歩踏み出すことが出来ず、退院していくホソクの背中を見送った出来事が思い出されます。そして、印象的な色の反転したプルコッ樹木園の看板。ジミンはリンゴを手に取り齧ります。

映像の中で引用されている文章は

道を教えて 僕を止めて 僕を休ませて

『RUN』より

自分の中に閉じ込められ 僕は死んだ

『Save ME』より

ジミンがビデオカメラを森へ向けると、リンゴを齧ったような二つ目のロゴマークが映し出されます。


■WINGS Short Film #3 STIGMA

#3 STIGMAはテヒョンがメインとなるShort Filmです。具体的なシーンが多くセリフや字幕も入ります。

冒頭で壁の絵と向き合うテヒョンはグラフィティではなく、ドライバーのようなもので絵を傷つけています。その絵は、信仰の対象でもあるアプラクサス。取り調べで「両親は、」と問われ「そんなのはいません」。そして水を飲む警察官に、酒に溺れる父親の姿が重なって顔を背けます。この日はテヒョンが父親を刺し殺してしまうとされているyear22.05.20の前日、ホソクが補導されたテヒョンを迎えに行く世界線の出来事です。(関連記事【⑧互いに助け合う7人】)

回想シーンで映る白いダッフルコートを着たテヒョンは、一番初めに紹介したⅠ.BTS BEGINSのVCRに登場していることから、学生時代(=過去、幼少期)のテヒョンであるとわかります。殴られ、怪我を負い、檻に閉じ込められると、怯えるテヒョンを置いて白い犬がどこかへ去ってしまいます。この白い犬はいなくなった飼い犬のトウフであり、自分と姉を置き去った母親でもあると思います。

映像の中で引用されている文章は

ここは違う言葉を話すクジラばかりだ

『Whalien52』より

「電話をかけさせてください」そうテヒョンが訴えると、鋭く切り裂かれた三つ目のロゴマークが映し出されます。


■WINGS Short Film #4 FIRST LOVE

#4 FIRST LOVEはユンギがメインとなるShort Filmです。ユンギとジョングクが2年ぶりに再会したyear22.04.07の出来事を描いていると思われる描写が登場します。(関連記事【③離れて過ごした時間】)

出来事としては”どこからか聞こえるピアノの旋律に誘われて酩酊状態のユンギが楽器屋へと赴き、ジョングクを見つける”のに対して、このShort Filmでは楽器屋でピアノを弾いているのはユンギ自身です。そして聞こえる口笛は#1 BEGIN。口笛に誘われて楽器屋を出ると、突然急ブレーキ音が響き、路上には血痕が残されます。ユンギが楽器屋へと走ると、そこにはユンギが先ほどまで弾いていたピアノに突っ込む車の姿がありました。このことが意味しているのは一体何でしょうか。

ユンギのNOTESは非常に抽象的な文章で書かれていて、出来事の詳細を読み解きづらいものが多いです。【花様年華】の中のユンギは自己肯定感が低く、精神的に不安定な描写が多くあります。しかし、ユンギが比較的穏やかに過ごしている期間、そこには必ずピアノ(音楽)とジョングクの存在がありました。今後の展開でもユンギが酒に溺れ荒れた生活を送る描写があるのですが、その時もユンギは音楽、そしてジョングクと距離を取っています。

映像の中で引用されている文章は

僕は変わったのだろうか 他の道を選んだのなら 立ち止まって振り返ったのなら

『길(道)』より

再び口笛の音が鳴りユンギが振り返ると、まるでピアノの鍵盤のような四つ目のロゴマークが映し出されます。そしてそのマークは#2で現れたジミンのロゴマークと重なり合い、タイヤ痕ようなマークへと姿を変えました。


■WINGS Short Film #5 REFLECTION

#5 REFLECTIONはナムジュンがメインとなるShort Filmです。コンテナにいるナムジュンは#1 BEGINにも登場したハイタカの絵を自らの左腕に刻んで燃やし、それを飲み込んだあとその場に崩れ落ちます。

鏡に映る文字は「生き残らなければいけない」。この言葉は【花様年華】の中で何度も登場する言葉です。ナムジュンが静かに学校を去る日、6人に宛てた手紙に記したこの言葉は結局誰にも渡されずにナムジュンの手によって捨てられました。そして二度目はナムジュンが再びソンジュへ戻ってくるバスの窓に指で書いた落書き。ナムジュンは父親に言われた「お前だけでも生きるんだ」という言葉をきっかけに、家族を置いてソンジュへ戻りました。そして三度目は7人で再び思い出の海へ行く日、廃プールの汚れたガラスに指で書き残したシーンがprologueの中に描かれています。そして、具体的な日付のあるエピソードではありませんが、前述したI NEED U (Japanese Ver.)のMVの中にもその文字を黒く塗り潰す描写がありましたよね。

電話の音が鳴ってナムジュンが電話ボックスに駆け寄りますが、鎖で閉ざされていて電話に出ることが出来ません。テヒョンが事件を起こしたあと縋るように掛けた電話に、ナムジュンが出ることが出来なかった出来事を彷彿とさせます。これはただ事実として”電話に出れなかった”というだけではなく、”自分を頼る人と向き合えない”という状況を表しているようにも感じ取れます。

映像の中で引用されている文章は

今 鏡の中には誰が見えてるんだ

『NO MORE DREAM』より

電話BOXに「LIAR」の文字が浮かび上がると、ひび割れた鏡のような五つ目のロゴマークが映し出されます。そしてそのマークは#1で現れたジョングクのロゴマークと重なり合い、また別の孵化する卵のようなマークへと姿を変えました。


■WINGS Short Film #6 MAMA

#6 MAMAはホソクがメインとなるShort Filmです。ホソクには”ナルコレプシーという睡眠障害を患っている”という公式の設定がありましたが、カルテに書き込まれる病名はミュンヒハウゼン症候群。時計が1時を指すと、壁から薬が降り注ぎ、ホソクが薬を服用すると一気にサイケデリックな映像へと変わります。

個人的な解釈になりますが、ナルコレプシーを患っていること自体が完全な嘘だったというわけではなく、克服するための正しい治療を怠り、ナルコレプシーを発症させて周囲の関心を引くために睡眠薬を服用していたのだと考えています。その根拠となり得るNOTESがあります。

ホソク year22.05.16
(中略)「ウソをついていたことがある」ジミンにだけでなく、誰にも話していなかった。僕のナルコレプシーがウソだという事実を。もしかしたら、だから誰にも何も聞けなかったのかもしれない。(中略)僕のせいでジミンが慌てふためいたのは1回や2回では足りなかった。たぶん、初めて目撃した時は泣き出したことだろう。「わざとそうしたわけじゃない。よくなる方法があるという事実を知っていながら、顔をそむけたと言うべきか。どういう意味か、よく分からないだろ?実は僕もうまく説明できない」
「じゃあ、もう大丈夫なんですか?」黙って聞いていたジミンが僕の方に顔を向けて聞いた。もう大丈夫なんだろうか。自分に問いかけてみた。ジミンはまだ僕を見ていた。顔には非難も同情もにじんでいなかった。(中略)

目を覚ましたホソクが外をのぞくと、ジミンが見ていたのと同じ森。閉ざされていたはずの扉を開けて、ホソクはその森を見つめます。そしてポケットからスニッカーズを取り出して食べ出します。スニッカーズはホソクが母に置き去りにされたときに一緒に渡されていたもので、Ⅰ.BTS BEGINSのVCRにもスニッカーズを食べながら登校するホソクが登場していることから、幼い頃からの好物であったことがわかります。

映像の中で引用されている文章は

空が青く 日差しが輝いて

『I NEED U』より

ホソクが微笑み、子供を抱いた母の姿が浮かび上がると、eva(旧聖書における”最初の女性”。ここでは”母”を意味すると考えます)と書かれたロゴマークが映し出されます。そしてそのマークは#3で現れたテヒョンのロゴマークと重なり合い、雨に濡れる深い森ようなマークへと姿を変えました。


■WINGS Short Film #7 AWAKE

#7 AWAKEはソクジンがメインとなるShort Filmです。【花様年華】の中で起こるタイムリープは、常にその世界線でソクジンが「awake(目覚める)」ことから始まります。食卓に座るソクジンの前には百合の花とリンゴ。そして険しい表情を浮かべるソクジンはインカムを身に着けています。

インカムはⅠ.BTS BEGINSのVCRの中でソクジンと校長が通じていたことを表す道具として登場していたことから、6人への裏切りや6人を俯瞰して操る行為を表しているように受け取れます。インカムを外したソクジンはリンゴを手に取って口に運びますが、齧ることなく直前で床に落とし、百合の花にカメラを向けます。これはprologueに登場したものと同じカメラです。

I NEED U (Japanese Ver.)の紹介の中で百合の花弁が表すものについて触れましたが、覚えていますか?ソクジンが歌うこのAWAKEには「それでも六輪の花を手にしっかりと握りしめ、僕は歩むだけだ」という歌詞があり、I NEED Uに登場するソクジンの胸に百合の花が咲く演出が思い起こされます。

リンゴに導かれて入った部屋には6人を彷彿とさせる様々な要素が散りばめられています。百合の花弁を燃やし、世界が揺れ、目を覚ましたソクジンが部屋を出ると壁一面に描かれるのは#3 STIGMAにも登場したアプラクサス。長い廊下を進んだ先にあるのは#1 BEGIN、#5 REFLECTIONにも登場したハイタカ。

映像の中の文章は 夢がなかった
そして引用されている文章は

泣いたり笑ったりたくさんしたけど 全部すごく美しかった

『이사 (引っ越し)』より

床に残された#1~#6のShort Filmに関連したポラロイドが鮮明になると、フェンスのような格子状のロゴマークが映し出されます。そしてそのマークはこれまでに現れた三つのロゴマークと重なり合い、黒く混沌としたマークへと姿を変え、配置されることでWINGSのロゴマークを完成させました

画像3
VBstudio instagramより画像引用)


■WINGS 'Boy Meets Evil' Comeback Trailer

WINGS Short Film#1~7と併せて公開されたComeback Trailerです。

#1 BEGINが公開される約4か月も前に公開されていた'Save ME' Official MV(BUcontentのクレジットがないため詳細は割愛)の最後に映し出される「BOY MEETS _ _ _ 」という意味深なメッセージがこのBoy Meets Evilの伏線となっていました。

また、補足程度になりますが、同様にBUcontentのクレジットのない'불타오르네 (FIRE)' Official MVの最後に映し出される「BOY MEETS WHAT」も、WINGSシリーズの伏線になっていたようです。

J-hopeの魅せる激しいダンスに目を奪われて思考停止しがちですが、もがき苦しむような表情、床に走る亀裂、翼を持つ影など細部にも注目して欲しいです。そしてこの”Boy Meets Evil”というタイトル、結構無視することが出来ない要素が多いので、後述するWINGSコンセプトのくだりでもう一度触れたいと思います。


■'피땀눈물 (Blood Sweat & Tears)' Official MV

全体的にWINGSコンセプトを視覚的に表現した映像になっています。このMVから具体的な日付を拾えるエピソードはありません。

注目したいのは【花様年華】の中でソクジンがお互いを助け合わせるために組んだペア(ナムジュン/テヒョン、ユンギ/ジョングク、ホソク/ジミン)が、WINGSシリーズではまた違う組み合わせ(ナムジュン/ジョングク、ユンギ/ジミン、ホソク/テヒョン)になっている点です。この新たな組み合わせは、Short Filmのロゴマークの重なりと同じ構成です。

ソクジンが見つめるのはブリューゲル作『叛逆天使の墜落』、神に逆らう堕天使を描いた絵画です。テヒョンの背景には同じくブリューゲル作『イカロスの墜落のある風景』、苦しむ者への人々の無関心を描いた絵画です。ホソクの背後にはピエタ像(聖母マリア)がそびえます。

ユンギがジミンの目を塞ぐシーンは【花様年華】の中で”プルコッ樹木園からジミンを遠ざけるユンギ”を彷彿とさせます。本来ジミンが向き合わなければいけなかった問題から目を背けさせるという行為は、例えユンギの善意であってもジミンにとっては誘惑=悪でした。7人はリンゴの置かれた食卓を囲みます。

挿入されるナレーションはお馴染みの『デミアン』からの引用です。

彼も誘惑者だった。彼も私を第二の悪い劣等な世界に結びつけた。いまはもう私は、その世界のことには永久に関知するまいと思った。

新潮文庫版『デミアン』より引用)

ここで指される誘惑者はテヒョンだと考えられます。印象的なMAMAでのパフォーマンスも、もちろん無意味にテヒョンが抜擢されたわけではないと思います。ここまでの【花様年華】の中で、ソクジンのタイムリープという事実に最も近付いているのはテヒョンでした。それは次回以降の記事で整理する展開でも同じです。


■2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR Trailer

7人がどんな時も一緒にいることが重要であった花様年華シリーズに対して、WINGSシリーズではそれぞれの孤独に焦点が当たっています。

何も理解できていなくても、何も考えずに一度根気よく下記の文章に目を通してください。で、どういう意味?って感じになりますが今はそれで大丈夫です。

どれほど多くの道を歩めば少年は男になるのか
学校と家、路地と海
壊れた机の引き出しに、幼年の空を閉めて
行き止まりは迷路の入口
手のひらには焼き印のような血痕
背中に沿って感じられる痛みは、飛び上がろうとする夢
見えない海を探して、少年は歩む

少年の心臓は7つ
7回の鼓動が、一歩の前進

違う視点から見ると1つは7つ
走ろうとすると必ず倒れる
振り返ると絶壁
揺れる誘惑の世界で
少年は閉じた目で何を探すのか

カーテンを開けて鏡を割ったら
破片の中から道が開かれる
外は内、内は外

絡み合っている世界
すべての交差点
背中合わせの2つの世界
絶え間なく一つになる

7人の少年はその道の上に立っている
7つでありながら1つ
1つの心臓を分け合った7人の少年
7つの心臓を持った1人の少年

1つと7つは水に映ったお互いの影

どれほど多くの道を歩めば少年は男になるのか
道は世界のまたの名
夜と昼、交差点とトンネル

果てしなく分かれる道
選択の瞬間はいつも独り

角を曲がると、幼年の赤い花はまだ咲き残っているか
夢はどこへ向かっているか
恐怖は希望のまたの名
涙は笑みのまたの名

少年は笑う
一緒なら、笑うことができる

少年は、前進する
少年は、成長する

(WINGS TOUR VCR全文(一部意訳含む))

後述するWINGSコンセプトに関する項目を読んだ後、もう一度この文章を読んでみることをおすすめします。

こちらもⅠ.BTS BEGINSと同様、公式YouTubeにはTeaserのみがアップされているので、ライブ本編で流れたVCRをじっくり見てみてください。


■'血、汗、涙 -Japanese Ver.-' Official MV

意外や意外、がっつり時系列に関わる具体的なエピソードが登場します。前回の記事の後半で整理したyear22.05.22に7人で海に行った日の夜、ソクジンとテヒョンがモーテルで口論になるシーン、そしてソクジンがタイムリープをし始めて最初にナムジュンに声を掛けるyear22.04.11のガソリンスタンドのシーンが描かれています。(関連記事【⑨7人でまたあの海へ】【⑤繰り返す”year22.04.11“】)

個人的に、この二つの出来事が同じMVに登場するということには、非常に特別な意味があると思います。ソクジンが6人の悲惨な結末を知ってタイムリープの力を得たことで、「ここが6人を救う始まりだ」と信じているyear22.04.11と、6人を救済し「これで全てが終わったのだ」と安堵したyear22.05.22。モーテルでのテヒョンとの喧嘩は、ソクジンが安堵した矢先の絶望の場面です。しかもタイムリープが起こらない。このyear22.05.22に起こった仲違いは、時を戻してやり直すことの叶わない出来事となってしまいました。

テヒョンの背中に書かれた文字は「LONE WOLF」、一匹狼から転じて「単独のテロリスト」を意味する熟語だそうです。


■'Euphoria : Theme of LOVE YOURSELF 起 Wonder'

ソクジンが全ての出来事を塗り替えて7人全員を救済し、再び思い出の海に行った日のエピソードがメインとなるMVです。(関連記事【⑨7人でまたあの海へ】)

prologueと比較していただけると、この二つのMVがよく似た構成になっていることに気が付くと思います。ソクジンが過去を変え、year22.05.22に7人で集まって海へ行く。どちらも同じ日の同じ出来事を描いたMVですが、結末にタイムリープが待ち構えているかいないかという決定的な違いがあります。映像自体もprologueはどこか薄暗くI NEED Uと近い色合いであるのに対して、その曲名通り「euphoria(多幸感)」を表す色鮮やかな雰囲気になっています。

以下は冒頭の歌詞の翻訳からの引用ですが、

君は僕の人生に再び昇った太陽
幼い頃の夢の再臨
わからなかった この感情が何なのか
もしかしたらここも夢の中なんだろうか

このように「既視感」を表すような表現が繰り返されている点にも注目したいです。ここまででまとめた【花様年華】のストーリーの中では、この「既視感」というキーワードに関連する人物はテヒョンですが、次回以降で整理する今後のストーリーは、Euphoriaに多用される「夢」そしてこの「既視感」というキーワードがジョングクに深く関係する展開になり、その「既視感」は「違和感」となってジョングクを苦しめます。

次回の記事から整理するこの日以後の展開は”起承転(轉)結”になぞらえる形で映像が公開されていくのですが、”起”と題されたこのMVは、起承転(轉)結のストーリー公開後に出されています。わたしたちがストーリーの終わり(区切り)だと思っていたエピソードが、実はその後の展開の始まりでもあったのだということが最後に明かされました。

前記したI NEED U→RUN→prologueの流れから、このEuphoriaへとストーリーが続いています。

エンドロールの最後に映し出される文章は

「兄さん、それだけですか?他にも何か隠してるんじゃないですか?」

モーテルで口論になり、テヒョンがソクジンを追い詰めたときの台詞です。



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①~⑨の記事で整理した出来事に関連した映像作品のまとめは以上です。
以降は映像以外の関連作品をご紹介します。



ウェブ漫画

LINEマンガで無料公開されている〈花樣年華Pt.0<SAVE ME>〉はぜひ読んでみてください。※最近後半が有料になったみたいです。300円くらい。

7人の学生時代、何度も繰り返すyear22.04.11、テヒョンの救済までのストーリーがプロローグを含む全16話で描かれています。タイムリープのきっかけになった場面などがかなり具体的に描かれているので、設定を理解するための基礎知識として無料部分だけでも読んでおいて損はないかと思います。

一部、過激な描写を含みますので苦手な方は注意して下さい。



書籍


■花様年華 THE NOTES

わたしの拙いnote(NOTESとnoteが出てきてややこしいな)をこんなところまでじっくり読んでくださってる方は、きっともう【花様年華】の虜になっているはず。そんな方には是非!花様年華 THE NOTESを読んでいただきたいです。

とにかく細かくて繊細な描写で、日記形式ではありますが小説のように読み進めていけます。ただ、繰り返し起こっているはずのタイムリープに関しての言及はなく、同じ日付や前後の時間軸で矛盾した出来事が発生します。その矛盾をなんとか解消したくて、わたしはこのnoteを書くきっかけになった時系列まとめを始めたので………

そしてとにかく情報量が多いです。例えば、わたしが記事の中で「ジョングクはソクジンの誘導によってユンギの元を訪れていました。」と一行でまとめたこの部分、花様年華 THE NOTESでは、

ソクジン year22.05.02
(中略)ジョングクをユンギのところに行かせるのは難しくなかった。ジョングクは学校でも家でも1人だった。学校が終わると、行き場がなかった。ホソクの店に行ったり、ナムジュンのコンテナの近くをうろついたりしていた。僕はコンテナのドアに鍵をかけ、ジョングクがホソクの店に行くと思われる時間に合わせ、ホソクが持ち場を離れるように誘導した。ジョングクはしばらくほっつき歩いていたが、結局、ユンギの作業室に向かった。複雑な表情だった。本当に入っていいだろうか。僕を煩わしいと思わないだろうか。そんな期待と不安がジョングクの表情に渦巻いていた。その日以来、ジョングクは毎日、ユンギに会いに行った。ユンギは気乗りしない表情で、面倒だから帰れと言ったが、本当に追い返すわけではなかった。(中略)

こうです。すごくないですか?

全編に渡ってこんな感じです。わたしの書く時系列まとめ記事は、いま世に出ている【花様年華】の出来事をほぼ10分の1以下まで要約しているので、これしか読んでないみなさんはまだ【花様年華】の10分の1しか知れてないと思ってください。(暴論)

読んでください。花様年華 THE NOTES。2冊出てます。



■WINGS CONCEPT PHOTO BOOK

これは本気の人はどうにかして手に入れてください。

実は私も現物を手にしたことはなくて、アレやコレやしてなんとか翻訳された文章だけに目を通してる状態です。なので申し訳ないんですが、どの程度中身をご紹介していいのか判断が難しいです。けど、すごいですこれ。

WINGSシリーズの前提から前記した『デミアン』の解釈、WINGSコンセプトに至るまでの経緯、Short Filmの解説など垂涎ものの情報がてんこ盛りです。推奨して良いのか微妙ですが、気になる方は調べてみてください。

以下、WINGSシリーズの前提知識としてこれだけはという部分のみ引用します。この部分は『デミアン』第一章”二つの世界”の知識があるとより理解が深まる内容かと思います。

昼【少年/youth】平和的、依存的、理想、道徳
   ↑
悪【誘惑者】夢、秘められた誘惑、本能
   ↓
夜【現実の悪魔】敵意に満ちている、自立している、個人

英訳記事より引用)

話が前後して申し訳ないのですが、このタイミングで前述したWINGS 'Boy Meets Evil' Comeback Trailerの話をもう一度させてください。

WINGSシリーズは”Boy Meets Evil”と銘打つ通り「evil(悪)=誘惑」と出会う少年の葛藤と成長を描く物語です。『デミアン』の中で、「明るい(公認された)世界=昼」にいる主人公=少年を「暗い(公認されていない)世界=夜」に誘惑する悪(evil)が二つの世界を繋ぎます。この昼と夜の二つの世界は非常に近く常に隣り合っていて、これらの存在を認識し行き来することで少年は真の自己を探求していくことになります。

WINGSシリーズの映像作品の中で、この「evil(悪)=誘惑」を象徴する表現はいくつも登場しますが、最も分かりやすく描かれているのは「リンゴ」ではないかと思います。#2 LIEではジミンがリンゴを齧り、嘘を吐く。一方で#7 AWAKEではソクジンがインカムを外してリンゴを床に落とす描写がありました。Blood Sweat & Tearsではリンゴだけが置かれた食卓を7人が囲んでいましたよね。これはそれぞれに誘惑と向き合っている表現だと考えられます。

一旦この程度のことが頭に入っていれば、正直十分楽しめるのでこのくらいにしときます。こういう話を永遠にしたい人、飲みに行きましょう。DMください。

フォトブックは見たことないですが、MVの絵コンテや非公開のコンセプトフォトを眺めるだけでも元が取れるシロモノという噂。ぶ厚すぎて護身用に一家に一冊あってもいいという情報も入ってきてます。いつか絶対にゲットしたい。いらない人いたら売ってください。DMください。



■BTS GRAPHIC LYRICS

先に謝ります、これも持ってないです。(2万はちょっと高いよね……)

適当なことは言えないので、JAPAN OFFICIAL SHOPの非常に魅力的な商品紹介文をそのまま載せときます。

“音楽”、特に“歌詞”から生まれる感動の伝え方のひとつとして、歌詞をイラストで描き、そのストーリーから読み解いてゆくGRAPHIC LYRICS(グラフィックリリックス)シリーズが公開されます。

その第一作目として、BTSの5つの楽曲の歌詞を5冊のイラスト集に詰め込みました。2017年発売のアルバム『YOU NEVER WALK ALONE』の収録曲「A Supplementary Story : You Never Walk Alone」、2016年発売のスペシャルアルバム『花様年華 Young Forever』の収録曲「Save ME」「House Of Cards」、そして、2015年発売のミニアルバム『花様年華 pt.2』他の収録曲 「RUN」「Butterfly」が、同タイトルの本として誕生。

「一緒なら笑える」7人の少年がお互いに渡す、励ましと希望

「一緒なら笑える」を主題にしたこのシリーズでは、7名の少年が似たような経験を共有し、心を共有する姿を見せてくれる。
これは、これまで知られてきたBTSのいくつものMVはもちろん、小説『花樣華 THE NOTES 1』、Web漫画「花様年華 Pt.0 <SAVE ME>」等で引き続き繋がってきた、BTSの世界観(BU)の再解釈及び拡大とも言える。

ここで、Vol.1~5のストーリーは別途存在しながら、お互いと通じ続ける。
(中略)
まさに楽譜のリピートマークを直面した時のように、じっと戻り覗いてみると改めて押し寄せるインスピレーションがある。5つの曲の歌詞、5つのイラスト、5つの制作方式で紙本ならではの感受性をそっくり詰め込んだGRAPHIC LYRICS。これを通し、今日の私たちが音楽を享有する、もう一つの方式を提案しようとする。

やばいめっちゃ欲しくなってきた。
買いました!いつか内容に触れる記事を書ければ…と思ってます。



■ヘルマン・ヘッセ著『デミアン』

WINGSコンセプトの根本の部分をきちんと理解しておきたいと思う方は、いつかは必ず読まなきゃいけないです。各MVに使われている絵画や楽曲、モチーフを解釈する上で、正直『デミアン』の知識がなければ想像レベルの話しか出来ないんじゃないかとすら思います。もちろん、想像レベルでも十分楽しめるコンテンツではありますが……

この世界を卵に例え、自己をその内側から殻を破って飛び立とうとする鳥になぞらえる描写が印象的です。ここでいう「世界」とは社会や世の中のような外的なものから、自己が形成した内的なものまでも含んでいるようです。

鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという。

新潮文庫版『デミアン』より引用)

この部分はShort Film #7 AWAKEの冒頭のナレーションでもあります。

そして、この辺りで今一度、前述したWINGS TOURのVCRに登場した文章をじっくりと読み返してみてください。きっと、最初に読んだ時とはまた違った印象を受けるはずです。何の気なしに何度も見ていた(なんなら早送りしてた)VCRでしたが、その意味を深く考えたとき、わたしは思わず泣いちゃいました。

本著は教養として読んでおいて損はないかと思います。ヘッセの作品に触れるのは学生時代に読んだ『車輪の下』以来でしたが、わたし自身基本的に読み物好きなので普通に面白かったです。(雑)そういえば、Blood Sweat & Tearsのジョングクは車輪柄のシャツを着てましたね。『車輪の下』は車輪=社会・大人の存在に物理的に抑圧される少年の物語だったはず。関係ないかな。



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①~⑨の記事で整理した出来事に関連した映像以外の作品のまとめは以上です。

尚、ウェブ漫画とNOTESのより詳細な関連事項は各記事にある年表の下記の部分に記載があります。

出典



特に見てほしいもの

忙しい方向けに一言でまとめます。

上記でご紹介したBUコンテンツ作品の中で、必見と言っても過言ではないものは、やはり【'I NEED U' Official MV (Original ver.)です。

個人的には【화양연화(花様年華) on stage : prologue】【'Euphoria : Theme of LOVE YOURSELF 起 Wonder'辺りが扱う日付的にもかなり重要なのかなと思います。

そしてなんと言っても【花様年華 THE NOTESを是非読んでいただきたいです。

考察をガンガンやっていきたい方は小説『デミアン』を読んで、WINGSシリーズにも手を出してみてください。



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Twitter(@aya_hyyh)のDMにご要望をいただいて急ピッチで書いてみた今回のまとめ記事でしたが、いかがでしたでしょうか?まとめと題しながら言いたいことが多く(これでも削ったほう)だらだらと長い内容になってしまいました。

わたし自身まだまだ知識が及ばず、【考察】【解説】と謳えないチキンなので、意図的に終始読んでいただいた皆さまに考えていただく余白を残すような書き方にしてみました。

参考になった!という方が少しでもいらっしゃれば、今後も切りのいいところでこういった関連作品の紹介記事を書いてみようと思います。かなり私見を含んだ内容になってしまうので怖いですが…… 

今後の参考にさせていただきたいので、感想やご意見をいただけると嬉しいです。何か気になることや伝わりづらい所があれば、DM等でご質問いただければ出来る範囲でお答えしたいと思います。ここもうちょっと詳しく聞きたい!とかも大歓迎です。


さて、次回の記事からはまた本筋に戻り、海で口論になり再び疎遠になってしまった7人それぞれに起こる新たな出会い、そして海での帰りに起きてしまったジョングクの事故に関する出来事をまとめていきます。



〈次回〉

※更新はTwitter(@aya_hyyh)でもお知らせします。


※関連作品まとめの第二弾はこちら

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ありがとうございます💘