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鉛筆持ちをいとも簡単に習得した話
前回の公文の続き。我が家のダウン症児たー坊さん、ひょんなことから公文に通うことになった。
体験教室の最後の日、ダウン症の中学生を30歳まで教えていた先生がおっしゃった。「とにかくお母さんが愉しむこと。もっとやらせよう、もっと頑張らせようと親が思った瞬間、その意図は子供に伝わります。そして一気に子供はつまらなく感じます」と言われた。ドキリとした私は、「そうですよね、もちろんそうですね!」とその場を取り繕ったが、内心はただでさえ成長が遅いからガンガンやらせねば、くらいに思っていた。ギクッ。
とにかく「愉しむこと」。習い事は愉しんだもん勝ち、というのが先生の哲学なのだろう。そんな先生に見透かされたように忠告を受けた。
「まずは愉しんでください。ただ、1つだけ鉛筆の持ち方だけは繰り返し繰り返し修正して正しく持つことを教えましょう。初動が大切です」
と。なんでも、一度間違って習得してしまうと、軌道修正がえらく大変らしい。なので、鉛筆の持ち方はいわゆる持ち方くんのようなちょっと矯正ギブスみたいなのを付けて鉛筆を持たせることになった。そもそも絵もかいたりしないし、鉛筆なんて持てっこないでしょ、と思っていた。
話はちょっと変わるが、今通っている保育園の目の前に公文教室があることを別の公文教室に入ってから知った。いままで視界には入っていたはずなのに全く気づかないなんて・・・
毎週火曜日と木曜日、17:20に保育園にお迎えに行った後、保育園前の公文教室を横目にみながら、17:30に自宅近くの公文教室にいく。30分間我が家のアイドルを先生に預け、私は一旦自宅へと退散する。ご飯の準備とお風呂の準備をして30分後に再度お迎えにいく。この公文教室、保育園前にあるお教室とまた全然違う雰囲気だから不思議で仕方ない。
保育園前の公文教室は「ザ・公文」という感じでリュックを背負った公文児たちがわんさかとやってきて小学校のような机といすに座って黙々と何かを解いている。それに対して、自宅近くにある公文教室は個人のご自宅で、先生が自宅で開催しているようだ。ザ公文教室とは異なり、床で何かを解いている子もいれば、歩き回りながら解いている子もいる。自由すぎる。
机といすもザ公文よりだいぶ小さなもので、まずそれが我が家のたー坊先生の身長と体重感にあっている。
健常児の成長曲線の分布図の最低ラインからギリギリはずれている我が家の坊ちゃんは、3歳にして身長94センチ、体重10キロ超と平均より小ぶり。ちなみに、実はダウン症児の成長曲線なるものも存在していて、主治医の先生に毎回見せてもらう。たー坊先生は、ダウン症児界では平均ど真ん中にいる。
で、本題に戻して、公文の何がたー坊先生にフィットしたのかを考えてみると、たぶん何よりも先生との相性、ここに尽きる。そしてお教室の雰囲気、お友達。先生は、比較的寡黙な女の先生で、でもおっしゃることが極めて本質的。決して猫なで声で褒めころすわけではないが、子供のわがままにどっぷり付き合ったりもしない。私から見るに、「受容と突き放し」のバランスが絶妙だ。
褒められることが大好きなたー坊先生だが、そのお褒めのことばがどのくらい芯食っているか(偉そうに!)を微妙に察知しているご様子。最近、適当なあしらいとか適当なお褒めの言葉は彼に全く通用しない。。
何がどうできたか、その公文の先生はかなり具体的に彼に声をかけてくれているようだ。母親の私にさえ、
「たー坊くん、先週より鉛筆をもつ人差し指の力が強くなりましたね!」
とか、
「今日はなかなか集中できない中お歌はしっかりした姿勢で歌えましたよ」
と何がどうであるを具体的に教えてくれる。
そして、自宅のお教室の雰囲気もなにやらゆったりモードで彼の好みなのだろう。絶対無理でしょ、と疑ってやまなかった鉛筆持ちを彼は1か月であっという間に習得した。(幼少期の私より全然優秀なのでは・・汗)
「スプーンを持つのもままならないくせに、鉛筆なんて絶対ムリ!」
と全身全霊で疑っていた私だったが、彼がこの1か月でやすやすと鉛筆持ちをマスターした姿に心底驚愕した。
そして火曜木曜日の朝は、夕方迎えにきたら公文だよーと言って送り出し、
夕方迎えに行って自転車にスポッとはまると彼は即座に、
「公文に行く!」
と言わんばかりに、右手を鉛筆持つ手のように握って空にすらすらと書くしぐさをする。
それで夕方にはHPほぼゼロの私も俄然テンションが上がって、「公文いくもーん!」といって自転車をこぐ。
通い始めて早一か月。そして鉛筆持ちを習得した彼は、食事のときにもその自信があらわれているのか、心なしかスプーンをぎゅっと持つ力も強くなった気がする。
「ダウン症の子は手に軍手をはめているようなもの」
(要はそのくらい細かいことが苦手でぶきっちょ)
ときいてきたが、今やかれは床に落ちた米粒一粒(私がお米を研ぐときにこぼしたらしきもの)さえも目ざとく見つけて、「ハイどうぞ!」と言わんばかりに渡してきてくれる。
心底感動して、
「わーありがとう!すごいねぇ、助かったわ~!」
と何気なく伝えて以来、何かと落ちているものを親指と人差し指でつまんでは「はい」と渡しにきてくれるようになった。
ただ、10回に2回は誘惑に負けて「パクっ」としている(笑)
それもこれも公文の鉛筆特訓の成果だ。鉛筆なんてどうせ持てないでしょ、と斜に構えていた自分を恥じるばかりだ。
子供の可能性は、どうやら我々凝り固まった大人よりはるかに大きくそして無限大なのだ。
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