双極性障害の私が司法試験に合格する話(303)無理ができる体にする。

「無理ができるようになりなさい。」

 18歳のころ、芸能事務所に入った時、厳しい社長にいつも言われていたことだ。芸能の仕事は、時間は不規則だし、拘束時間が長いこともあるし、寒いところで薄着にさせられることもあるとか、睡眠時間がほとんどないなんてこともあったり、ほんの数分で長台詞を覚えなきゃいけないということもある。芸能界が厳しいことはわかって飛び込んだつもりだったけれど、私は、その事務所から1年半で耐えられなくなって逃げた。

 でも、社長からもらったこの言葉だけは私の体に染みついている。だから、無理をして体を壊したりもしたのかもしれない。でも、よかったと思ってる。一度、体を壊してみないと、自分の許容ラインがわからない。本当に大事な時に体を壊してしまってはいけないし。いつかの勝負の時のために、きっと、今、体を壊したんだと思う。

 ここのところ少し疲れがたまっている。前にぐいぐい進めてた数日前とはちょっと違う。息切れを感じるし、心もそんなに晴れやかじゃない。こういう時にどう行動するかだ。別に休んでしまっても構わない。また鬱をこじらせることを考えたら、休むの一択だ。だけど。私は司法試験に受かりたい。普通の努力では到達できない目標を掲げている。今の自分を少しづつ鍛えていかないといけない。社長の言葉が頭の中でこだまする。難しいことはしなくていい。簡単な問題を1問ずつ解いて、少しずつ進めていこう。歩みを止めると動き出すときにさらなるエネルギーを食う。今は、歩みを止めてしまうほどのエネルギーもない気がする。しんどいときこそ、ちょっとだけ動くのがいいのかもしれない。そうやって、無理だと思っていたラインを少しずつ広げていく。

 また、鬱になるかもしれない。でも、今はいい。人に迷惑をかける環境に今はいない。体を壊すなら、人生のタイミングで今なんだと思う。たくさん、エラーをして自分を知ればいい。

 さ、今日もできる無理を少しずつ。できない無理はしない。できる無理かできない無理かを見極めるのは難しいけれど。でも、まずはやってみよう。がんばれ、わたし。

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