双極性障害の私が司法試験に合格する話(356)話をする、聞く。
同じ熱量で見てほしい。
桃井かおりさんが、とある映画の舞台挨拶で口にした言葉。映画の中にも似たようなセリフが出てくる。
人は、自分の熱量を受け取ってもらいたい。感じてもらいたい。私の思う欲望は、間違っていなかったのだと、桃井さんの言葉で知った。
私の発言を、上から赤ペンで添削するように聞く人、尊敬の眼差しの顔だけ作って話は右から左の人、忙しそうに相槌を被せてくるだけの人、全部、その人たちは私の話なんて聞いていなくって。その度に私は傷ついた。だけど、それでいいのだ、社会はそういうものなのだと、私はその人たちのマネをできるようになり、いつのまにか、私は人の話を真剣に聞かなくなった。
私は何を欲していたのか、何が欲しくてこんなに苦しんでいるのか、わからなかったのだけれど。
今日、知らない人と雑談をした。雑談を全力でするという勉強会で、全力で雑談について学んだ。
楽しかった。
人と話をするって楽しいのだ。
正解を言わなければならない、自分の話をし過ぎてはいけない、あれはだめこれはだめ、どっかで学んだ知識で頭がいっぱいで、人と話すことから離れていた。
それを、取っ払ってくれて、私は、私を久しぶりに取り戻したようだった。
震えるくらいに楽しかった。
自分の話を思いっきりしたら、すごく気持ちがいい、すると、相手の話もしっかり聞きたくなる。相手が気持ちいいのがわかるから。自分がこんなに気持ちよくなっているのを相手にも感じてもらいたい。自然とそんな気持ちになった。すごく楽しかった。
私は人と話したかったんだ。話を聞いて欲しかったんだ。ただそれだけのようで、人は仮面をかぶると脱ぐのが難しい。今日は私、素っ裸で初対面の人と話ができた。
鬱は、どっかへ行った。
解放された。