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「さみしい」のは「好き」だから。〜映画ファーストキス 1ST KISSを観て〜

恋愛感情と靴下の片方はいつかなくなります。

 いつものようにXを巡回していたときに、ふと目に入ったこの言葉。

あらすじだけで泣きそうになった。今年のやりたいことリスト100にも「アニメ以外の映画を観る」を書いたことだし、ちょうどいい。これを観に行こう!と決めた。

さっそく夫を誘った。
月曜日が安いので、なんとか夫が早く帰って来れそうな月曜日に観に行こうと思っていた。
でも、久しぶりに夫が土日両日休みということで、せっかくならどこかに出かけたくなった。少しだけ高くなるが、予定を前倒しして観に行くことにした。

飲み物とキャラメルポップコーンを買って、いざ4番スクリーンへ。久しぶりの映画にワクワクしながら着席。



〜ここからはネタバレを含む感想になります。〜








(映画を見終わってから気付いたんですが、脚本家さんがドラマ『カルテット』と同じ方なんですね!当時めちゃくちゃ真剣に見ていたことを思い出します。
素敵なセリフがたくさんあって、でも映画館ではメモ取れないし、もどかしかったです。
たぶん、この方の脚本が好きなので、他の作品も見られるものは見ようかな〜)



「時間は直線的には進んでいない。過去、現在、未来は同時に存在している。」という考え方は、最近どこかで読んだところだった気がする。
たぶん、恩田陸の『小説以外』の中の、SFについてのエッセイか何かだったかな…
偶然同じ時期に、似たようなテーマに接することってありますよね。不思議だけど、おもしろい。


わたしの泣きポイントは、「家族を悲しませるとわかっていても、誰かを助けるために自分を犠牲にするのか」というところ。
なぜなら、わたしの夫は、カケルと同じ状況なら、きっと同じように自分を犠牲にしてでも助けると思うから。
そうなったらどうしよう、と想像して怖かった。
そうなってほしくないけど、もし、仮に、そうなったとき、わたしは自分を置いていった夫を許せるだろうか。


好きなシーンはいくつかあるが、柿ピーの柿だけ残っている皿のカットで、二人のすれ違いを表しているのがいいな、と思った。
普段本ばかり読むので、言葉による説明がほとんどなく、状況で説明していく映画が新鮮だった。
たとえば、離婚すると決めて、離婚届を出す日にカケルは死んだわけだが、そんな相手を「やっぱり好きだ」と思って、生存ルートを確立するために、何度も過去に戻ってやり直すカンナ。彼女は一度もそれをセリフとしては言っていない。でも、見ている側にはそれが伝わるのだ。


あとやっぱり、最後のカケルのカンナへのラブレターがいい。
まず、正確ではないけれど、この記事のタイトルにもした言葉が素敵だ。「さみしい」という感情のはじまりには、「好き」という感情がある。そう思うと、「さみしい」という感情も愛しく思えてくる。
そして、カケルは日常の些細な出来事をひとつひとつ思い出して手紙を書いている。決して特別なイベントとかじゃなくて、日常の些細なことだというのがいい。「愛している」とは言葉にしていないのに、伝わってくる。しびれる。


カケルは自分が2024年に死ぬことを知っていたから、15年間の結婚生活を悔いのないように、一瞬一瞬を大切に過ごせたのだと思う。終わりがわかっていたからこそ、大事に生きられた。
でも、本来は私たちも同じはずだ。
みんないつか死ぬ。必ず終わりが来る。それがいつなのかはわからない、というだけだ。
だから、きっとわたしたちも、一瞬一瞬を大事に生きられるはずだ。


隣にいる人を大事にしたい。
好きだと思ったらそう言って、
愛しさがあふれたら抱きしめて、
与えられたときには感謝を伝えて、
言いすぎたなと思ったら謝って、
この一瞬は今しかないのだと噛みしめながら、たいせつに、過ごしたい。

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