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人生、こんなはずじゃなかった、で溢れているけれど~ここで唐揚げ弁当を食べないでください(実業之日本社)~

誰かと一緒に暮らすということは、スターバックスでバタースコッチドーナツを頼んだけれど、店員さんがトレーに乗せたのはシュガードーナツで、でも別にシュガードーナツも美味しいので、このままでも良くて、しかしお会計はバタースコッチドーナツの金額になっていて、でもこれは友達がくれたスターバックスのフードチケットで買ったものなのでお会計金額はそんなに関係なくて……みたいなほんとうにどうでもいいことを、別にいいんだけど一応誰かに話しておきたいことを、家に帰ってすぐに話せるということです。

ー出典:ここで唐揚げ弁当を食べないでください (実業之日本社). / 小原晩 [114ページ]より

 最近、家事をするときに、又吉直樹さんのYouTubeを見て(聴いて)いる。『火花(文藝春秋)』で直木賞を受賞された時から尊敬している方である。お笑い芸人なのに、あの直木賞を受賞できるぐらい文才もあるなんてすごいと思ったのだ。当時その『火花』を購入したのだが、実は読まずに手元にある(ついでに『スクラップ・アンド・ビルド(文藝春秋)』も同じ状態)。できるだけ早めに読もうと思っています。すみません。あと、今のEIGHT-JAM、当時の関ジャムで、又吉さんがあいみょんの「愛を伝えたいだとか」の歌詞を解説されている回をたまたま見た。当時、あいみょんの名前をメディアでよく聞くようになっていたので気にはなっていたのだが、なんとなく名前からサブカル臭と痛い女な感じがして避けていた(今となっては謝罪案件)。でも、尊敬する又吉さんが好意的に解説していたこと、その解説を聞いて良い歌詞だと私も思ったことから、よく聴くようになって大好きになった。カラオケでは「マリーゴールド」と「裸の心」、「ハルノヒ」は絶対歌う。わりと最近の「双葉」は初めて聞いた時泣いたし、「さよならの今日に」も好きだ。あいみょんへの愛は機会があれば、また別で語ろうと思う。
 それで、又吉さんがYouTubeで最近良いと思った本として紹介されていたのが小原晩さんの『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』だったわけである。一度又吉さんがおすすめする方が私にはまったこともあり、本作にも興味を持ったのだ。

 たくさん心に残る言葉があって、わかるなぁ、と思うところも数多くあった。とても優しくてくすくす笑えて勇気をもらえるエッセイ集だった。実は、近くの本屋にはなさそうだったのもあり、中古で手に入れたのだが、良すぎたので、ちゃんと自分で彼女にお金を払いたいと思い、新品をすぐに注文したほどだ。一編一編が短くて読みやすいところも良い。最初は自費出版されたのだが、自費出版では異例の一万部以上も売れ、今回ついに商業出版されたのだそうだ。それもあって、今でも十分話題の一冊だとは思うが、ぜひより多くの方に手に取っていただきたい本なので、僭越ながら私が良いと思った言葉をいくつか紹介していきたいと思う。


 まずは冒頭で引用させていただいた部分について。一番、めっちゃわかるなぁ、と思ったところである。私がスターバックスで読書をするのが好きで、毎週一回は行くからということもあるし、私も取るに足らないことを家族に一から十まで話すのが好きだから、ということもある。こんな風に、誰かに話すことで発散しなければならないほどの悪いことでもなくて、自分の中で十分消化はできているのだけど、でも聞いてほしいことってありませんか?そういう話ができる人がそばにいるというのは、ほんとうにしあわせなことだな、と改めて感じました。

家を出るときに何を読もうか迷って決めきれず三冊程鞄に入れてしまう癖がある。もちろん外出先では一冊しか読まない。しかし一冊に選んだら選んだで今日はこれじゃないと言う気持ちになることもあるので仕方がないと割り切っている。

ー出典:ここで唐揚げ弁当を食べないでください (実業之日本社). / 小原晩 [123ページ]より

 これもめっちゃわかるぅ、である。私も、読みかけの本がある時はその一冊だけ持っていくが、新しく本を読み始める時は、二冊ぐらい持っておくことが多い。やっぱり、そのときその瞬間「読みたい!」と思った本を読むのが一番しあわせですからね。ささやかなしあわせのために、少し重たい鞄を持ち歩くのです。あと、私の場合、あまりにも積読本が多くなって、積読期間が長くなりすぎると、読みたくて買ったはずの本なのに、あまり読みたくなくなっている時もある。これも似たようなことだろうか。

こんなはずじゃなかったけれど、何度だってやりなおせるね。悲しいことばかりでもあるし、うれしいことばかりでもあるね、きっと一生。

ー出典:ここで唐揚げ弁当を食べないでください (実業之日本社). / 小原晩 [36ページ]より

 この部分を読んだとき、視界がぼやけた。人生上手くいかないことばかりで、こんなはずじゃなかったに溢れている。でも、人生は続いていくし、悪いことばかりでもない。そうだよね、「悲しいことばかりでもあるし、うれいしことばかりでもある」よね。きっと大丈夫だ、と前を向かせてくれる言葉だと思う。この言葉に勇気づけられた。

 このエッセイ集は小原さんの記憶を覗くような感じで進む。等身大だからこそ、綺麗なことばかりではなくて、失敗談も語られていたりする。でも、だからこそ勇気づけられるし、共感できたり、くすくす笑えたりするのだと思う。私のnoteを読んで、一人でも本作を読んでくれる人が増えたら良いな。そして、彼女の次作が出たら絶対買う。


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はやしあやか / 文章修行中
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