ナイルパーチの女子会(本の感想)
とても久しぶりに心を動かされる本に出合った。
確か中学性の時に読んだ辻村深月さんの『オーダーメイド殺人クラブ』に匹敵するくらいの衝撃だった。あの時は読んでいてくらくらするような感覚があった。今回のはひりひりだ。
柚木麻子『ナイルパーチの女子会』という本だ。この作家さんに対して私が持つ印象は、『ランチのアッコちゃん』でよくあるタイプで面白くない、『奥様はクレイジーフルーツ』で性をあっけらかんと扱うことにびっくりして見直した。その後『伊藤くんA to E』は映画化された時点で面白くなさそうと思っていて、実際そんなにだった。余談だが、この作者の名前が好きだ。可愛らしいし、今どきな感じもある。ちょっと抜けているようなもいい。私は少し名前フェチ(?)というか、名前への好き嫌いが強いところがあるのだ。
『ナイルパーチの女子会』は二人のヒロインがいて視点が交互に変わる。片方は栄華から転落、もう片方は普通から栄華、そして転落だろうか。二人の立場が入れ替わり、また二人で旅行にいってもそれぞれの見方が全く違うことが興味深かった。読んでいて、何度も心がひりつく感覚を味わった。
栄利子は大手商社に勤める30歳のOLだ。東京生まれ東京育ちで今も実家暮らし、お嬢様といっていいだろう。そして彼女には友達がいない。この本のテーマは、友達、それも女友達についてだ。栄利子が友達が欲しいと渇望する気持ちはよくわかった。私もうまく友達の輪に入ることができず、苦しんだ経験はある。高校を卒業するまで私は友達が少ないとずっと気に病んでいたが、大学に入ってからそれまでの友人や先輩、後輩と出かける機会もぼちぼちあり、そんなに卑屈になる必要はないかなと思えるようになった。確かに友人は多くはないが、それでもいい。数ではなく質、関係性の面でとても満たされていると思うからだ。
この小説では人間のどろどろした部分を抉り出しているが、同時に温かみも感じられる。気持ちに救われる。やっぱり言葉というものは救いにもなり、凶器にもなる。気をつけたい。
タイムリーなことに、昨日は大学の友人二人と遊んだ。宅飲みだけのつもりが、結局カラオケになだれ込み夜中の3時になってやっと解散した。このメンバーにしか話せないようなことで非常に盛り上がり、至福のひとときだった、なんだか感慨深くすらあった。やっぱり女友達はいいなと思う。今までの経験からいえば、特に異性との色恋で悩んでいるときに、女友達のありがたみは身にしみる。
私は慎重な性格なので一番書きたいことは残念ながらまだ書けない。そのうち有料にして書くかもしれない。時がきたら普通に公開すると思う。
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