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ONE PIECEアニメ特別編FAN LETTERから学ぶ人生を変えるヒント


今回紹介する作品はONE PIECEの番外編。"ワンピースを追い求めない人々" の物語。

主役としてフォーカスされるキャラクターたちはONE PIECEでは名もない者たち

  • シャボンディ諸島で生まれ育ったオレンジ髪の少女。

  • 頂上戦争に参加した、要領の悪い兄と要領の良い弟の兄弟海兵。

  • 酒場で世界一の剣豪は誰なのかを語り合うおじさんたち。

  • ソウルキングのファンで裏口の鍵を挿しっぱなしにする本屋のバイトの子。

  • チョッパーが大好きなイカつめのギャップ将校。

そんな彼らがキャラとして良い味を出しながらテンポよく、そして何より1本の映画を見たかのような満足感にひたれる特別編『FAN LETTER』。


この記事ではアニメONE PIECE特別編『FAN LETTER』を通して学べる、
人生を変えるヒントについてお話していきたいと思います。


アニメの内容のネタバレがガッツリ入っているので、まだ未視聴の方はご注意ください!






ナミに似た見た目の少女


この物語の中心はシャボンディ諸島で麦わらの一味 "泥棒猫” ナミに憧れる1人の少女です。

この少女の特徴はなんといっても、ナミに似た外見!!

…と言いたいところですが、実は少女とナミが共通しているのはオレンジ色の髪の毛だけ。


「憧れのナミのようになりたい!」という想いから
腰辺りまであった長い髪の毛を切り、手配書の写真のように前髪を分けてピンでとめ、
少女の日常生活に必要なメガネを外して、配達には向いていないであろうヒールを履き、
さらにはオレンジを持ち歩く徹底ぶり。

もちろん手配書のポーズの練習もしっかりやっています笑

着ている洋服まで似たようなデザインで、よほど熱心にナミのことを調べたのだろうと伝わってきます。

偽物のナミのクオリティに怒っちゃうのも納得です。



少女はナミに憧れ、彼女のように力がすべてのこの大海賊時代でも、自由に生きたいと願っています。


あなたは私の希望です!』と手紙に綴るほどナミが与えた影響は大きく、

力がなければ、力がある者に屈服し逆らわずに下を向いて、路傍の石のように生きるしかない。

そう思っていた少女にとっては、まばゆいくらいの一筋の希望の光で、
少女の人生を変える出会いでした。


実際に後半でナミに対しての想いを語るシーンがあり、そこでは、

『力がすべてのこの時代で、力のない私は一生自由には生きられないとずっと思ってた。
ナミはそんな私にも冒険ができるかもって、可能性を見せてくれる大切な人
だから応援したい

と話しています。


悪魔の実を食べているわけでもなく、飛び抜けた身体能力があるわけでもなく、超人的な腕力をもっているわけでもない ”力なき者” でも、

(海賊としてだが)自由に生きて冒険している。


自分の人生観を180度大きく変えてくれたナミを「特別な海賊」とどこまでも慕って憧れているのです。



そんな少女は憧れのナミに封筒にオレンジのシールを貼ったファンレターの手紙を渡そうと大冒険へ出ます。

もちろんそんな上手くはいかず、ハプニングだらけで四苦八苦。

(ここらへんは少女のリアクションや表情、セリフなどがとても元気で自然と笑ってしまう可愛さでした。

イチオシはやっぱり、ウソップが教えてくれた必殺の呪文が見事に砕け散る「とりあえず水❤」のシーンです笑)


手紙を落とし勘違いで拾われるなどの紆余曲折のなかピンチに陥りながら、
(結局手紙は手元にないままですが)ようやく目線の先に麦わらの一味の船が見える。

やっとあの憧れのナミに会える!と少女が走り出します。





立ちふさがる壁



――――その時。そこには大きな壁が現れます。


少女は麦わらの一味を倒そうと裏でコソコソと準備をしていた海軍により、 "邪魔者" として呆気なくその場で捕まり抑え込まれてしまう。

そして同時にはじまる、大好きなナミが乗っている麦わらの一味の船に向けられる砲撃。

ただ地面に押さえつけられて見ているだけしかできない少女は心の中で次のようにこぼします。


会いに行くこともできなくて、船が沈むのを見ているだけで、

たった一通の手紙すら渡せない


ナミのように生きるのだと。

そう決めて踏み出したはずの大冒険は、力なき少女を理不尽にねじ伏せる "” によってその自由を奪われる。

これまで胸に抱いてきた希望が砕かれ、
あと1ピースで完成だったパズルを目の前で壊されるようにバラバラに崩れていきます。


ここに至るまで、少女の中ではたくさんの悩みや葛藤があったと思います。

親に「八百屋のところ兄弟は、」と比べられ、

坊っちゃん海兵に2度も「路傍の石」だと言われ、

あまつさえ渡すはずだった手紙すらも今は手元にない。


自分もナミのように生きるんだと必死になっていた心にパリンと入っていたヒビは、少しずつ大きくなっていたでしょう。


結局、力のないわたしはダメなんだ。わたしは変われない。
路傍の石のまま、力がないから押さえつけられて、そうやって自由になんて生きれないままなんだ。


部屋にたくさん飾ってあるポスターがなくなってもとの自分の部屋に戻るように、
ナミに出会ってからもらった希望が消えていく。






奇跡と最後の1ピースとファンレター


でも、その瞬間。

すべてのピースが砕け散ったと思った瞬間。


少女が置いた1つのピースにみんなのピースがどんどんハマっていき、

それまでバラバラだった ”ワンピースを追い求めない者たち” の物語が一つに重なり噛み合い出す。

これまでの出来事すべてが「この瞬間のためにあったのではないか」と思うほど別々だった彼ら彼女らの物語がつながっていき、

少女は麦わらの一味に降り注ぐはずだった危機を見事に回避させます。



しかし、そのためには、少女はナミへ書いた手紙を自分の手で破らなければいけませんでした。

ファンレターを渡すための大冒険だったのに、
そのファンレターを渡せないどころか、自ら真っ二つに破ります



その際、少女は心の中で想い、綴ります。


ナミさん、あなたはわたしの希望です。

力がすべてのこの世界で傷つけられ、踏みいじられて、

それでももがいて走って、精一杯自由に生きたいって。

そう思えるようになったのはあなたのおかげです。

どうかこれからも、素敵な冒険を続けてください



手紙を破ると最後のピースがカチリとハマる音がする。

静まり返る周りに、少女の中では「やった。やってしまった」と2つになったファンレターを両手に考えたかもしれません。

これで良かったのかと言う不安があったことでしょう。




でもその直後に、



出航だ〜〜〜!!!!


おーー!!!!



と、少女の心の声に応えるように、ルフィと麦わらの一味の声が聞こえ、

少女の目には笑顔で冒険を続けるナミの姿が鮮明に映ります。

そのナミの笑顔だけで、少女の中にあった今までの葛藤や、悩みや、苦しみなどのいろんな感情が全て浄化された。



だから、ファンレターを破ったあとも、

むしろ破ったあとの方が強く自身に満ち溢れた笑顔だったのだと思います。


憧れであり自分の人生を変えてくれたナミの、 ”シャボンディ諸島出航” という出来事に降り注ぐはずだった危機を、少女は回避させた。


つまり自分を救ってくれたナミを、今度は少女が救ったのです。

もちろん少女1人の力ではないですが、

どんな形であれ麦わらの一味に想いを馳せる ”ワンピースを追い求めない者たち” の物語が、
奇跡が偶然たくさん積み重なったことにより、ようやく麦わらの一味の出航という1シーンになる。

そうやって麦わらの一味の物語の1ピースになった。




そして少女は最後にこう言います。


わたしは奪われた自分の手紙を取り戻しただけ。大切な人へのファンレターを


少女はナミに出会ったことで私でも自由に生きれるかもしれないと可能性を見つけて、
「ナミのように自由に生きたい!冒険したい!」と思っていました。

でもそれは初めはただのマネっ子で、
外見という "外側" だけをナミに寄せることで自由になれるのだと考えていた。

ただそれじゃダメで、行き詰まったり、結局は変えられない、路傍の石のような自分に挫けそうになる。


だけど、ナミにしかない冒険があるのように、少女にしかない冒険がある。

ありのままの自分で自由に生きるために、
踏みなじられながらも一生懸命に走って駆け抜け、少女は自由に冒険をした。

ナミからもらった生き方を、本当の意味で体現して受け入れることができた。

その変化として、少女はナミを救けようと無我夢中で走っているときは
外していたはずのメガネをかけて、ヒールを脱いで裸足で駆けています。

ありのままの自分で自由に生きて冒険する。そんななりたい姿に近づいたのです。


少女が取り戻したファンレターは、

ナミへの応援であり、希望であり、憧れであり、誓いであり、方向を示す指針であるとわたしは思います。


「ナミのように生きる」と最初は言葉上でナミの真似事だけをして外側だけの変化だったけれど、
最後は "ありのままの自分" で「ナミのように生きる」と内側で変化が起こった。

その冒険を『取り戻した "だけ" 』と表現していて、
これはあくまで第一歩で、少女はまだまだこれからいくつもの冒険をしていくことを表しているのでしょう。

そこに外見をナミに似せた少女はおらず、ありのままの少女がいる。

だからエンディング後の少女はナミのような格好ではなく、自分の格好でメガネもかけて、

また一歩、冒険へと踏み出すしていきます。




この作品を通して、少女は本当の光を手に入れたでしょう。

この物語は少女の冒険物語でありながら、大きな成長物語にもなっている。

たった25分程度でそれを綺麗に描ききっているから、まるで映画を見たかのような満足感があるのだと思います。






見つめ直す


SNSの発展と普及にともない、わたし達は場所や時間を気にせずに多くの人とつながり情報を共有することが増えてきました。


その中で

「あの人のように生きてみたい」「ああいう風な生き様に憧れる」

というように自分を感化してくれる出会いに巡り会える機会が増えたかもしれません。


しかし、機会が増えたとしても、自分に影響を与えて「この人のような生き方をしてみたい」と
リアルでもオンラインでも、自分の人生を変え得る出会いはものすごい確率の上で起こるものだと思います。

あなたがこの時代を生きていなければ、

自分がいるその環境に身を置いていなければ、

今そこに住んでいなければ、

あなたがその瞬間スマホを触っていなければ、

あなたがそこにいなければ、


なにか1つでも欠けていれば、タイミングがずれていれば、起こらなかった出会い出来事です。



そんな奇跡のような出会いをコンテンツとして消化してしまいやすいのが今の世の中だと感じます。


この作品はエンディング後に
ルフィの『出航だ〜〜!』という声に、一味と一緒に『おー!』と少女が応えて終わります。

少女は麦わらの一味ではないけれど、彼ら彼女らのように
もがきながらも一生懸命 "自分のままで" 自由に生きるという生き方・生き様でつながっているのです。


わたしたちは少女のように憧れを憧れのままで終わらせず、
同じことをしているから、同じ意見を言っているのだから「人とは違う」という優越感に浸って終わらせずに、

本当の意味で、生き方生き様というステージで彼ら彼女らと繋がれているのか。


わたしは自分がそれを出来ているだとか、そう言うことをできる人が偉いだとかを主張したいわけではありません。

むしろこの記事を書きながら、
いかに自分が「他の人と違う」「私はやればできる」というマウントを取って生活していたかを改めて認識し、調子にのって驕っていたことを痛感しました。






受けいれる


自分の生き方を見直す時、

見たくなかった汚い部分も、醜いと思う部分も、認めたくないことも出てくると思います。

いかに非力で、いかにずるく、いかに何もないか。きっと苦しむと思います。

でも、そんなところも全て自分なんです。全てあなたなんです。


そんなあなたが1人でもいなかったら、今目の前にある素敵な出会いも出来事もなかったんです。

ナミにしかない冒険のように、少女にしかない冒険のように、

あなたにしかない冒険、人生があります。

だからどんな自分がいてもいい。

そうやって受け入れることが人生を変えるきっかけになると、わたしは考えています。



少女は人生を変えたいと思って行動してきました。

はじめは外見、外側の見えるところの変化を求めて似たような髪や似たような服を身に着け、
本来の自分には必要なメガネを外して皮を被ってしまいます。

しかし少女がメガネをかけていない時は人生が変わることなく、
どこか「これで変わっていくだろう」という慢心のような気持ちがあるまま。

でも結局は中身が変わっていないから何も変わらない。
自由に生きられず、路傍の石という言葉にすぐ引き戻されてしまう。


少女の人生が変わったのは本来のありのままの自分を受け入れたからでしょう。

力のない弱い自分を「自由に生きて冒険することができない」と否定するのではなく

それこそが自分なのだと受け入れたから知恵と機転をはたらかせてナミたちのピンチを救うことができた。


少女の大冒険が上手くいかなかったのは、彼女に力がないからではありません。

少女に力がなかったからこそ見てきたもの全てが1つに繋がって、機転をはたらかせることができて、最後は大成功として大冒険は幕を閉じる。


力のない自分を受け入れることによってそれまでの経験すべてが意味を持ち、これで良いのだと世界が広がっていく


過去の自分を受け入れることで、今まで囚われていたものや知らない内に苦しめられていた価値観に気づくことが可能になります。

そうすれば今まで見ていた景色がガラリと変わって、

価値があると思っていたことに実は価値がないことに気づいて執着を手放せたり

逆に価値がないと思っていたことに実は価値があることに気づき大切にしたりします。






どうか素敵な冒険を


長年無意識に使っていた価値観なので何度も繰り返し過去の価値観に引き戻されてしまうこともあるかもしれませんが、
それすらも自分です

気づいてあげられたなら、その気持ちを認めてあげながら

大丈夫だよ

と言ってあげてください。


未来を想像するのは自由なので、過去がどうだとか、今がどうだとかは関係ありません。


「こんな風に生きたい!」

と思うなら、これまでの過去を否定してそれを塗りつぶすかのように優越感に浸って寄り道をせずに、

過去を受け入れしがらみや囚われをなくし、クリアな視界で未来をみて、創ってもらえたらなと思います。



あなたにしかない冒険を、歩んでください。








初めてのnoteなので至らぬ点や誤字脱字があったかもしれませんが最後まで書くことができて、
とても楽しかったです!

こうして見ていただけたご縁をきっかけに最後まで読んでくださったあなたの人生がより良いものになるよう願っています!

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました🙌


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