一人暮らし男の金曜日の楽しみ
仕事で埋め尽くされる日々なんて、僕には耐えられない。楽しみがないとやっていられない。
平日の5連勤を終えた金曜日の夜の過ごし方にこそ、サラリーマンの幸福がかかっている。
サラリーマンの金夜といえば、居酒屋でわちゃわちゃ飲んでストレス解放という過ごし方がメジャーかもしれない。ネクタイを緩めてぐびっとビールを飲んで、仕事や上司の愚痴に花を咲かせる。
しかし僕は酒が弱く、飲み会自体があまり好きではないので、酒を飲んでもあまり解放感がなくむしろ少し辛い。さらに言えば私服通勤なので緩めるべきネクタイもない。一人で過ごすほうがはるかに気楽である。
そんな自分がどのように金夜を過ごしているかをざっくり書く。
CoCo壱で夕飯
せっかくの金曜日なのに直接家に帰るのはなんだか勿体無い気がする。明日は休みなのだからもう少し帰りを遅らせてもいいじゃないか。ちょっとした贅沢をしたい。かと言って肩肘張らずに過ごせる場所がいい。そんなことを考えた結果、僕はCoCo壱に辿り着いた。
CoCo壱にはたまに無性に食べたくなる中毒性がある。ちょっと値段が高いので頻繁には行けないが、たまの金曜日なら行ってもいいよねと自分を説き伏せている。
注文するカレーの種類はチキン煮込みカレーにしたりチキンカツカレーにしたり毎回変えているが、トッピングやライスの量、辛さは常に同じにしている。その黄金ルートとは、ハーフほうれん草トッピングとライス400g、3辛である。
ほうれん草を食べることで栄養を取れた気になるし、ライスの400gは気持ちよく満腹になれる絶妙な量だし、3辛はほどよい辛さでじんわりと体が温まりストレスが緩和するのである。酒なんかよりよっぽど気持ちいい。
radikoで芸人のラジオを聴きながら食べるカレーの美味しさたるや。今日はオードリーのANNを聴いてニヤけながら食べていた。辛さで鼻水をすすりながら幸せを噛み締めていた。
家までの散歩
CoCo壱を出たあとは、駅前の喫煙所で一服を挟み、家まで歩いて帰る。職場の最寄駅から家までは徒歩約1時間の道のりなので、腹ごなしにはちょうど良い距離である。
何より、仕事から解き放たれた後の夜の散歩ほど気持ち良いものはない。すれ違う人もまばらに、自分だけの時間が、道が広がっている。
一人で夜の道を歩くと、様々な過去の記憶や将来への空想が頭の中をぐるぐる駆け巡る。思考の自由時間である。幼い頃の恥ずかしい記憶や知人の発言、あと5分で通るコンビニでの買い物、今後の仕事の進め方、遠い未来の生活。思考の旅は時空を超えて複雑に交差する。
しばらく歩くと足元の疲れとともに思考は次第に緩和する。心地の良い疲れである。後もう少し歩けば家なのだという安心感も出てくる。何より、明日は仕事に行かなくていいのだという嬉しさがそれを助長する。
仕事が終わってから家に帰るまでのこの過ごし方が、僕にとって最もふさわしい金夜なのである。
今週の自分に、お疲れさま。