早くてナニが悪いの?
彼は信じていた
スピードこそが最大の武器である
タイムイズマネーとは彼のためにある
目まぐるしいスピードで進むビジネスシーン
それが理由なのかどうかはわからないが
経営者はせっかちな人が多い気がする
だからこそ彼らの期待を超えるのである
彼らがプリウスだったら
私はランボルギーニである
他者よりも早くかつ
経営者の期待を超えるスピード
それを叶えた時に
経営者は想像以上に喜んでくれる
そんなもん誰でもできる
他に仕事がなかったらできる
そう言っている奴ほど
結局できないものである
なぜかってそれは
早ければ良い
そういうことではないからだ
早さだけを求めているのであれば
それはつまり早押しクイズだ
本当に喜ばれるためには
早さと的確さが必要である
彼はそのことを失敗から学んでいる
早いが中身がない返事をしたこともあれば
中身を重視しすぎて遅すぎると
厳しい言葉をもらったこともある
そういった試行錯誤の末に
スピードと的確さの
ベストバランスを発見したのだ
一連の行為の後に
そんなことを語り出した彼だったが
早いとも遅いとも言えず
的確にアレをついているかと言えば
そうでもない男であった
ミスター中途半端と名付けられた彼だが
3日後には今日のことも名前も
全てのことを忘れるだろう
中途半端なのであれば
MIKOSURIHANの方がマシだわ
女はそう吐き捨てて
枕元のウイスキーを一気飲みするのだった
つまりナニが悪いのである
グッバイ!