コーディネーター的機能がなぜ必要なのか?【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】
8月の1週目、博物館実習に行っていました。
(学芸員資格の取り直しのためです)
実習テーマのひとつに「博物館教育」がありまして、
博物館が収蔵する資料(文化財など)を活用した
教育プログラムを考えるワークもありました。
博物館も学校外資源。
学校外資源を活用した教育プログラムの開発は、
キャリア教育コーディネーターの仕事・・・
なので、学芸員も似たような動きをするんだな、
と思うのと同時に、
学芸員という非常に専門性の高い人たちが
この動きをするのは、厳しいのではないか、
とも思いました。
※学芸員は文化財などの資料のスペシャリスト。
歴史、考古、自然科学などそれぞれの領域の
深い専門性を持った人たちです。
博物館、特に公立の博物館は
予算が限られていることもあり、
すべての業務を学芸員が担わざるを得ないという
構造的な課題も存在していることもあるのですが…
とはいえ・・・
「コーディネーター的機能」は
やはり必要なのではないかと強く感じました。
そしてこの必然性がなかなか認識されずらいことも、
あらためて認識したように思います。
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キャリア教育コーディネーターも然り、
「コーディネーター的機能」に最も求められるのは
「翻訳作業」のような部分だと思っています。
翻訳の結果に出てくるアウトプットは
教育プログラムであったり、
イベントであったり、経営計画であったりと、
おかれた状況によって異なると多いますが、
おそらく基本は同じです。
「翻訳」は、誰かと誰かという、
2つの何かのあいだに存在しています。
例えば、博物館が舞台であれば、
博物館の資料と子どもたちのあいだ、みたいな感じ。
両者のあいだにあって「翻訳」を行うには、
両者の「重なり」を見つけることが必要になります。
そこで大切なのが
「両者にとって”意味のある重なり”を見つけること」
単なる重なりではダメなのです。
意味ある重なりというのは、
そこにある最も大切な価値が明確に伝わり、かつ、
伝わった結果の「成果」を最大化できるものということ。
企業などの外部資源を活用した授業づくりであれば、
その企業の存在意義や大切にしていることが
授業プログラムの中で伝わると同時に、
子どもたちの学習効果がより大きい、ということです。
これが、キャリア教育コーディネーターが
あいだに入って教育プログラム開発を行うことで
提供できる価値のひとつだと思っています。
では、意味ある重なりを見つけるためには、
どうしたらいいのか。
私は以下のようなスキルが必要だと思っています。
(1)両者の状況・ニーズを深く理解・分析する力
(そのための情報収集・研究などの行動)
(2)両者の視点を往還しながら考える力
(3)全体を俯瞰して最善の解を構築できる力
これらのスキルって、
誰でもできることではなくて、
それなりのトレーニングは必要だと考えています。
もちろん、向き・不向きもありますし。
ゆえに、学芸員がこれを「できなければならない」
となると、なかなかに厳しいのでは・・・と。
キャリア教育コーディネーターも含めた
「コーディネーター的機能」の専門性は
こういうところにあるのだと思います。
世の中一般的には
職種名を明確にした「分業制」なのかもしれませんが、
であれば、そこで抜け落ちていってしまう
コーディネーター的機能という専門性も、
必要になってくるのではないでしょうか。
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余談ですが、
職種名が明確な方が、わかりやすいんですよねー・・・
同級会で自分の現在仕事を説明しずらいというか、
説明が長くなるのは、どうにも仕方ないと思っています。
それでもきちんと伝えるのも、仕事のひとつです。