ズボラ人間が自炊を始めたら仕事の効率があがるという話
正直なところ、家事全般があまり得意ではない。
多少ホコリが積もっていても別に気にならないし、必要最低限の洗濯はするけれど、そもそもアイロンかけ不要な服しか持ってない。インテリアやカトラリーにも興味がないので、食器は「パンのおまけ」だらけだったりする。もちろん料理には全く興味がない。お菓子をつくるなんてありえない。レシピに「30分寝かす」とかかいてある時点で、待てないタイプ。どちらかというと、ズボラなダメ人間に分類されるはずだ。
しかし、2年前の緊急事態宣言の「おうち時間」以降、夕飯だけは自炊をするようになった。自炊をし始めると、外食よりも身体が楽だということがわかってきた。外食だと油が多かったり野菜が少なかったりして、ちょっとしんどかったのだ。というわけで、コロナ禍以降も、夕飯だけはできる限り自炊を続けるようになった。
料理は短時間で完遂できて結果がすぐわかるマルチタスク
ご飯+味噌汁に加えて、野菜多めのおかずを3品くらい作るようにしている。3品とはいえ、そもそも料理は好きではないので、凝ったものはつくれないし、つくりたいわけでもない。そしてのんびり時間をかけて料理を楽しみたいわけでもない。できる限り短時間でサクッと終わらせたいところだ。
炊飯器をセットするところから、味噌汁をつくり、メニューにあわせて、材料を切る、調理する、片付けるまで、所要時間はおよそ40分前後。
おかず3品ということは、3つの異なるタスクを同時に遂行するということ。できる限り効率的にできるように手順を組み立てるところは、まさに仕事と全く同じなのだ。どんな順で作業するかを考えて、あとは手を動かすだけ。その上、おいしいかどうかという結果もすぐにわかる。実際の仕事よりも短時間で簡単に成果が確認できるので、ひきずってストレスになるようなこともない。
仕事の合間で料理をするっていうのは、仕事と全く同じ頭の使い方をするにもかかわらず、短時間で終わり、かつその瞬間は仕事と全く違うことを考えるので、かなりいい気分転換になるということがわかってきたのだった。仕事がはかどるようになって、さらに人間が生きる上で必要な栄養が確保できるなら、一石二鳥!これは、いい!
苦手な部分・不便な部分はコストをかけても外注化する
しかし、いくつか不便な点があきらかになってくる。
緊急事態宣言があけ、完全在宅ではなく、在宅の日と外仕事の日とが不定期に発生するようになると、食材の買い出しに行くタイミングがうまく確保できなくなったのだ。自炊をする時間は取れたのに冷蔵庫になにもない、という状況が生まれることに。
さらに、メニューの問題。私の食材の買い出しは、特にメニューを考えず、適当に野菜と肉または魚を買い込んでおき、冷蔵庫にあるものでその日のメニューを考えていた。となると、バリエーションが広がらないがゆえに飽きてくるという。
そこで、いろいろ試した結果、宅配サービスの導入に至った。1日ごとにメニューが決まっており、必要な食材が届くというやつだ。自分で買い出しをするよりも配送料の分の費用がかかるが、メニューを考えなくていい、自分では考えないメニューも登場する、買い出しに行かなくていいという、もろもろの問題が解決することとなった。苦手や不便はコストをかけて外注化してしまえばいいのだ。こういうところも、お仕事と限りなく似ている。
・・・と、少し前では考えられないような自炊生活が継続できている。思わぬところでコロナ陽性による自宅待機もあり、宅配食材の導入で本当に助かった!なんてこともあった。ただ、料理という家事だけでも仕事をしながらなんとかしようとすると、ちょっとしたパズルになるということは、これに子育てという要素が加わると大変なことになるのは想像に難くない(残念ながら子どもがいない私の生活は独身男性のそれに限りなく近いのだろう)。家事の思考はビジネスで役立つはずなのだ。