【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】コロナ禍の企業のキャリア教育から紡ぐ、これからの教育支援〜経済産業省キャリア教育事業調査より〜
経済産業省より、キャリア教育事業調査
「コロナ禍でも学びを止めない!キャリア教育レポート
~キャリア教育アワード受賞企業・団体がみた2020年~」
が公開されました。
この調査は、過去のキャリア教育アワード受賞の企業・団体の
2020年の取り組み状況を調査したものです。
(私も調査設計・レポートまとめのお手伝いさせていただきました)
今回は、この調査レポートについて、
ほんの少しですが、「見どころ解説」をしたいと思います
といっても。
結論から言えば、私は、
この2020年の企業・団体のトライ&エラーは、
賞賛に値する価値あるものだと感じています。
結果が充分でなかった部分もあるとは思いますが、
試行錯誤があったからこそ、
「これから」がより良いものになるはず。
このレポートからは、
今後に役立つノウハウが学べると考えています。
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●コロナ禍でも活動を止めることはなかった、が・・・?
調査結果からまずわかるのは、ほとんどの企業が、
コロナ禍であったとしても、
教育支援活動・取り組みを「止めなかった」ということです。
その一方で、活動を継続させるにあたっては、
感染症対策という大きな壁にぶつかっています。
結果として、
約8割が「コロナ以前より取り組みが減った」と回答し、
また、7割が「学校や教員からの要望に変化があった」と回答。
外部人材が入る授業ができない、人数を制限したい、
授業の実施時期がなかなか決められない、
時期だけでなく内容が変更になる、など、
たくさんの制約条件があったことがわかります。
「変えざるを得ない」状況に直面する中での
企業のリアルな「苦悩」が見え隠れしています。
●「提供すべき価値」とあらためて向き合う
レポートからは、さまざまな「試行錯誤」が見えてきます。
通常、新しい教育ログラムを開発する際は、
時間をかけて準備し、テスト実施などを行って・・・
というプロセスを経ることが一般的です。
ですが、2020年は、それまで準備してきたプログラムを
どのように実施しうるか、短い時間の中で判断し、
とにかくやってみるしかなかったのだと考えられます。
ゆえに、充分な手応えが得られなかった部分もあったはずです。
アンケート結果を見ると、
約半分の企業でオンラインと対面の「併用」とありますが、
フリーアンサーや取り組み事例からは、
対面でやっていた授業をそのまま「オンライン化」することの
むずかしさも見えてきます。
中には「オンラインで実施することは困難だと判断した」
という企業もありました。
「対面でやるべきこととはなんなのか」など、
教育プログラムを通して提供する「価値」について真剣に考え、
再構築することを迫られているといえます。
●「次」につながるノウハウが満載!
特に大きく取り上げている10社の取り組みからは、
オンラインでのコミュニケーションのポイントや
授業コンテンツの作り方のポイントなどの
ノウハウを学ぶことができます。
「テレビ番組のように絵コンテと台本を用意した」
などの事例からも、
これからの授業・教育プログラムには
テレビ業界のノウハウも重要なのではないかと
感じる部分がありました。
また、オンラインの活用によって、
遠隔地での実施が可能になったり、
オンラインだからできる支援など、
新しい可能性が生まれてきています。
またコロナ禍といういまだからできるテーマなど、
学びの機会へ転換できる可能性も見えてきています。
この1年で小中学校では1人1台PCの整備が進みました。
環境は整った。
とすれば、これから必要になるのは、
その環境を活用してどんな学びを展開していくのか、です。
そこでは、企業もノウハウ研究・新規コンテンツ開発が求められます。
2020年のトライ&エラーは、その材料となるはず。
今回の調査レポートは、その第一歩になるのではないでしょうか。
松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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