私の愛する映画館たち
本格的に映画館に通うようになって分かるようになってきたのは、
映画館とは単なる映画を映すだけの箱ではなくて、その一つ一つに性格があるということである。
私が映画館に通うきっかけになったのは、
6月に中国映画の名作「さらば我が愛、覇王別姫」の日本での上映権が切れることに伴い、映画館で観る最後のチャンスという宣伝を見かけて、
元々この映画が大好きなので、テアトル梅田に足を運んだことだった。
一度レンタルDVDで借りていてみたことがあった作品だったのだが、
その日テアトル梅田のスクリーンに映ったレスリーチャンのなんと鮮やかだったこと。
3時間ある大作が1時間ちょっとに思えるほど濃密な時間があっという間に流れていった。
その当時の遠距離の恋人と四六時中LINEでつながり続けていた私は、ずーっとスマホを機にする生活をしていて、でも映画館に入るとスマホは手放さなければいけなくなり、私はスマホも何も持たないままに近代中国の世界に3時間近くただただ揺蕩っていたのである。
1時に映画館に入って、出ていた時には4時を超えていた。
その日は胸の中がスッキリして、頭の中の空気が入れ替わったような気がした。
それから、家に帰ってサブスクで映画を見てみようと思ったりもしたけれど、やはり生活の雑音が気になり、スマホの電源を切ってみてもどうしてもあの映画館で映画を見た時の没入感やすーっと映画の世界に入っていく感覚を味わうことはできなかった。
そこで、とりあえずなんでもいいから映画館に行ってみよう、とおもい一番家から近いシネマート心斎橋に足を運んだところから私は大阪にある8つの映画館に出会った。
ミニシアターからTOHOシネマまで、
見たい映画が待っている映画館へチケットを買って出かけて行った。
チケットを握りしめて、映画館の中に入る瞬間が大好きになった。
映画館施設や、会員カードの告知が終わった後に、ぐっと照明が暗くなり予告編が始まるあの瞬間のときめきは何度味わっても足りない。
今日は、私が大好きで大切な居場所にしている映画館達を完全なる私の独断と偏見で書いていきたいと思う。
本来であれば、「この映画館は〇〇系列だから△△系の映画を上映していてね…」なーんて言えればいいのだろうけれど、
私は映画に関しては完全に勉強中の超超初心者なので、そんなことはわからないから、
今日の記事は私の一つ一つの映画館の思い出を語るだけの記事になる。
それでは、はじまりはじまりー。
その① シネマート心斎橋
もう、まずはこの映画館から始めなきゃいけない。
なんと言っても、2022年7月から半年間だけで映画館で50本映画を鑑賞した私がそのうちの21本を見ていたのがこちらのシネマート心斎橋なのだ。
心斎橋のアメ村の真ん中にあって、
こんな不思議な作りの商業施設の中にしれっと入ってる映画館。
なので、私は最初行った時めちゃくちゃ道に迷って辿り着いた。
この映画館はなんと言っても、
「アジア映画!」に尽きる。
特に韓国映画の充実度は大阪で右に出るところはないと思う。
あと、この映画館の楽しいのは後悔してる映画のいろんな場面とかフライヤーを壁にベタベタ貼り付けてあるんだけど、それも毎回見てて楽しい。
映画を見終わった後こんな素敵な壁アートをバシャバシャ写真を撮ってみたり眺めたりして余韻に浸る時間は至福そのもの!
あと、シネマートが入ってるファッションビルのイルミネーションも季節感があって楽しい。
なんかこのビルを登ってシネマートに辿り着く過程もすごく非日常感があって好き。
特に仕事帰りとかふらっと見に行くと本当に仕事のことが頭から吹っ飛んでくれるので映画を見に行くまでに頭を映画モードに切り替えられるのもすごくいい!
あと、シネマート心斎橋の素敵なところはもう一つあって、映画館による企画とかプレゼントがすごく素敵なこと。
ウォンカーウァイ五作品一挙公開の際はスタンプカードに五作品鑑賞スタンプを押してもらうとポスターがもらえたり、韓国映画の場合現地で配ってるハングルのフライヤーがもらえたり、
一番びっくりしたのはランユーという映画を見に行った時まあまあ大きめのポスターを配ってたり、もちろん毎回じゃないし極々偶になんだけどそういうプチサプライズもあって楽しい映画館です。
一般料金だとたしか一般1900円とかだけど、
TCCメンバーズカードという会員に入れば1300円で見れるようになるのでかなりお得。
そしてこのメンバーズカードは系列のシネ・リーブル梅田でも使えるので大阪で映画館に通うなら必携のカードだと思う。
私にとっては、ウォンカーウァイはじめとする香港映画の面白さや韓国映画の面白さを教えてくれた映画館。
電影祭、という週に1回土曜日に中国の映画を上映していたりなかなか他の映画館では出会えないディープなアジア映画との出会いの場をたくさんたくさん落としてくれるありがたい場所でもある。
その② シネ・ヌーヴォ
26年の歴史を有するミニシアター。
70席くらいあるシアター1つと、シネ・ヌーヴォXという30席くらいの小さなシアターの2つだけある映画館。
九条駅の近くで、松島新地と近いディープすぎる空気の中にある映画館で最初行く時は勇気がいるけど、本当に素晴らしい映画館。
シネマート心斎橋でひとしきりアジア映画の魅力を履修した後に、シネマート心斎橋だけでは足りなくなり、手をつけた映画館。
ここはとにかく、シネマート心斎橋より更にニッチな映画をやってくれる映画館で、
香港映画祭やインド大映画祭などの企画で他の映画館で見られないような新しい外国映画や小規模公開の外国映画を公開してくれる。
また、この映画館の素晴らしいと思うことは他の映画館と比べて比較的映画の送り手との距離を近く感じる機会を多く提供してくださるところである。
香港映画祭では、一作品ごとにそれを撮った監督の方に質問できたり、サインをもらったりするような場があったり、
大阪を拠点に映画を撮っているリムカーヴァイ監督の大阪三部作のクリスマス公開ではリムカーヴァイ監督ご本人が映画が終わったあとスクリーン前に登場して映画について語ってくださったり質問や感想を受け付けてくださったり。
パンフレットにサインをもらえたり。
チケットを買う時「座談会付き」の回を選ぶとそういう場がついてくるんだけど、
映画ってどうしても特に1人で見に行くと見終わって1人で映画の中身を受け止めっぱなしで帰ることが多くなる中でこういう場があると、
映画が終わったあとそれを作って送り出してきた方々とほっと一息つけたり、笑い合えるっていうのは体験したことがある人にしかわからない幸福感と安心感を味わえるところだと思うので、
ぜひ一度は足を運んでみて欲しい。
鑑賞料金は、一般客だと1800円。
会員になると1100円ということで会員が圧倒的にお得。
さらにこの会員カードは後で出てくるもう一つの映画館「第七藝術劇場」という映画館でも割引を受けられるというおまけ付きなので本当に持っていてもいいカードだと思う。
10回見ると一本タダなんていう素敵なおまけまでついてくるしね!
そしてこのシアターがまた素敵なんだよ。
天井のアートとか、歴史の深さとか。
ここに行くだけでなんだか教養のある文化人になったような気持ちになれる。
送り手との距離を近くに感じられる。
ここでしかみられない映画に出会える。
ミニシアターの真骨頂を体現する素晴らしい映画館。
愛しています。
③シネ・リーブル梅田
昨年夏に閉館したテアトル梅田の後輩であり、後継者でもあるような映画館。
スクリーンは4つもあってミニシアターにしては大きいです。
空中庭園を有する梅田スカイビルに身を置いている映画館で、結構ジャンルも幅広くいろんな映画を上映してる。
THE 都会の映画館
って感じで、客層も仕事帰りのインテリサラリーマンとか、芦屋から来たのかしらと思うほどの優雅なマダムも多い。
12ヶ月のシネマリレーっていう、旧作の名作を月毎に一作品ずつ公開していく企画とか、
チャップリンの一挙公開企画とか
海外映画の旧作の上映にも力を入れている映画館で、ここに通ってここの企画に乗っかっていくと知らない間にクラシック映画にも詳しくなれる映画館。
あと、紹介してきた映画館の中ではダントツでヨーロッパ映画が充実してて、
ヨーロッパ映画でニッチなのが見たい時によくお世話になっている。
あと、地味におすすめしたいのは、
ここのマンゴーラッシーが本当に美味しい。
えげつない回数映画館に行くので、
毎回飲み物買ってたら破産するのであんまり映画館で飲み物って買わないんだけど、
金曜日の夜にシネ・リーブル梅田に行ける時は、
絶対に1週間の自分の頑張りを労うべくこのマンゴーラッシーを片手に映画を観ると決めている。
私の精神的な癒しに多大に貢献してるこのマンゴーラッシーをどうかシネ・リーブル梅田さんは売り続けて欲しい。お願いします。(突然のお願い)
梅田の駅から歩く場合ビルの間を縫うようにして映画館にたどり着くので、その道中の景色がすごく素敵でよくバシャバシャ写真を撮っている。
再開発真っ只中の大阪キタのど真ん中を横切れば、なんだか「都会のイケてる女気分」のようなものが味わえて楽しい。
ここでも、最初に紹介したシネマート心斎橋と共通の会員カードを使うと会員は1300円で見れるのですごくリーズナブルに映画が楽しめるよ!
④なんばパークスシネマ
なんばパークスというおしゃれなショッピングビルに入ってる映画館。
意外にもシネマート心斎橋やシネ・リーブル梅田でやってないような中国映画や、ナワリヌイのドキュメンタリー映画などなど他の映画館ではやってないマイナーな映画もしっかり上映してくださる映画館。
ここは私は会員になれてないんだけど、
20時以降の上映作品はレイトという扱いで1400円で見せてくれるというサラリーマンにはありがた過ぎる制度により私は主にレイトで通っております。
スクリーンがしっかり段差になってて、
単純に見やすさでは私が通ってる映画館の中では一番見やすくて座り心地がいいと思っている。
なんだかんだで月に1回はお世話になっている映画館で、ラインナップも流行や王道はしっかり上映しつつもTOHOシネマとは違って、
しっかり外国映画やアイドル映画ではない骨太な邦画などなど面白そうな映画をやってるので、
いっつもお目当ての作品を見に行くと予告の中で一つか二つは見たい作品が出てきて、
それ目当てでまたなんばパークスシネマに足を運ぶ羽目になるということを繰り返している。
最近このビル全体でイルミネーションをやっていて、このようにとっても綺麗なのでこの機会にぜひなんばパークスシネマのレイトショーで夜景も映画もダブルで楽しむオシャレすぎる夜はどうでしょうか?!
というか、そろそろ会員になろうかなあ
なんて考えてる今日この頃です。(多分来週には会員になってる気がする)
⑤ TOHOシネマズ なんば
邦画を見に何回か行った映画館。
上映作品は壁ドン映画か、アメコミ実写化とかのド派手ハリウッド映画かアニメかで予告見るだけで疲れる。
あと、あんまり映画館に通ってる人は来ない映画館なので、
フツーにスマホいじる人やらスマートウォッチが光ったりやらでマナーがない人も他の映画館と比べて多いイメージ。
マジで他に選択肢がない時だけ歯を食いしばりながら頼ってる映画館。
お金がある大手の映画館らしく、作りはとにかく豪華。
これ以上書くと多分ボロが出るし、
なんかイヤな映画オタク感が出てしまうのでこの辺でやめとこう。
ただ、シートはふかふか。
邦画も売り出し物なら上映回数やレイトも多いのでサラリーマンには助かる。
こちらもレイトだと料金は1400円でお得に見れる。
会員になる予定は今のところない。
⑥第七藝術劇場
十三にあるこれまたディープな映画館。
通称ナナゲイ。
元になった映画館は1946年に始まり、
そこから名前を変え、経営悪化で閉館も経験して復活してみたり、歴史の荒波を潜り抜けてきたミニシアターの猛者。
面白い映画をたくさん上映していて、
やっぱりここでしか見れない映画もたくさん上映している。
上映中の映画やほかの映画に関する書籍も充実していて、シネヌーヴォの会員カードがあると割引で映画が見れるのでこちらもちょこちょこ行ってる。
中央アジア映画祭、なんていう他の映画館では絶対できない面白い企画もちょこちょこあってめちゃくちゃ楽しい。
反ワクチン映画や、山上徹也を題材にして問題になったrevolution+1などの、
まあまあ過激な映画も上映しているピリッと思想も強めの映画館なので、
ホームページを見るとギョッとするかもしれないけれど、映画館の中は至ってふわりとした時間が流れていて平和そのものなので見たい映画があればぜひトライしてみて欲しい映画館。
劇場名の由来はイタリアの理論家が映画というものが単なる大衆娯楽として低級な物として扱われていた時代に、映画は第七の芸術だ、という映画は芸術だということを宣言したことにちなんだものらしい。
そんなめちゃくちゃお洒落なお名前とクセのある性格にヒヤリとしながらも良質でディープな映画に出会いたい人におすすめの映画館。
私もこれからもっともっと通っていきたいと考えている、2023年蒼子的強化指定映画館でございます。
⑦イオンシネマシアタス心斎橋
心斎橋のパルコの13階にある映画館。
近くにシネマート心斎橋があるので、あんまり行かないけどごく稀に取りこぼした映画をレイトで回収する為に行っている。
(ここも20時以降はレイト扱いで、1300円で見せてくれるよ!)
大衆向けのアニメとか実写化映画がほとんどの中でたまに、
「ええ。それやってくれんのかい!」
みたいなマイナーな映画をやってくれることもあるので油断できない映画館。
この映画館はなんか知らんけど、
感染対策に関しては一番力を入れている映画館で、
このように座席一つ一つにパーテーションが設けられていて、隣の人との間にいちいち壁が作ってあって隣の人の姿が視界に入らないようになっている。
最初は変な感じに感じるけど慣れると、
完全に一対一で映画を楽しんでいるような気分になるし隣の人も気にならないのでこれはこれでいいんじゃないかなあとも思う。
(全部の映画館がそうなるのは絶対にイヤだけどね)
⑧大阪ステーションシネマ
梅田のルクアのビルに入ってる映画館。
ラインナップはアニメも多くて大衆的。
子連れの姿も多く見られる。
スクリーンは段差になっててみやすくていいなあと思った。
ここはまだ一回しか行ったことないけど、
レイト料金は会員限定なので会員にならないとまあまあお高い1900円払ってみなきゃいけなくなるのでお財布には痛い映画館。
会員になるかはどうか考え中。
…というわけで!
(一回しか行ったことないところもあるけど)がいつも通ってる8つの映画館について今日は書いてみた。
映画ってお高い娯楽に思えるかもしれないけど、
会員料金やレイトをうまく使えば結構お安く楽しむこともできるので、気になった映画があれば劇場へ。
劇場が難しいなら映画館のホームページに入ってみて「お?これ面白そうだな」っていうのがあればぜひ劇場へ。
大阪は個性豊かな映画館がすごく多くて、
みれる映画の種類も量も本当に多い全国にはなかなかない映画を見る好条件が揃いも揃ってるところだと思う。
これが地方ならミニシアターなんてないところもあるし、イオンに入ってる映画館以外はない!なんてところもある。
映画館一つ一つに得意なところがある。
映画館一つ一つに個性がある。
ちょっと老朽化してても長く重厚な歴史を持ってる映画館もあれば、
ピカピカしていてどこよりも立派なスクリーンを持っているのに、流行作品を繰り返し流し続けることしかできない映画館もある。
アジア映画が得意な映画館もあれば、
ヨーロッパ映画が得意な映画館もある。
映画館は本当に人間と同じで行けば行くほど会えば会うほど愛が深まり、楽しい物なので、
「この映画見てみたいな」と思った時は「サブスクのほうがコスパいいしな…」なんで理性の声に蓋をして、映画館に行ってみましょうよ。
そこには涙と笑顔との出会いがあり、
次の一本との出会いもあるかも。
私自身も、この環境を精一杯に楽しんで魂に脂肪をつけるべく明日からも映画館に通いまくる。
関西にはまだまだ面白そうな映画館がたくさんあるので、今年は少し足を伸ばして京都や神戸のミニシアターも行ってみたい。
そして、2023年が終わる時に、
大阪だけでなく、今回の記事の関西版をつくるのが密かな野望なのである。
おしまーい。
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