短歌:あいすべし
黒目がちのまんまるの月みたいな目 わたしはきみの夜になりたい
きみはまだ「愛して」どころか愛されたいひとの名前さえ呼べないんだね
おとなになろうとしてる 不器用に妹を撫でつつ唇を噛んで
泣いてもいいよ抱き上げてひそひそと子守唄歌うよ 愛しているよ
ただずっと愛とか幸せとか期待で満たされていてね むねもおなかも
ちぐはぐな祈りのかたち小さな手 神も仏もみえてるんだね
たいたがる君のお陰で思い出す 今日の向こうの向こうがあること
無邪気さでひとを傷つけるたやすさを知らなくていい ピアスを外す
君を抱く腕のしびれを知らぬままひとりでも生きていけるけど
指切りなんかしなくてもきみを愛するひとだらけ 世界をまわせ