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AWESOME Choices Issue no.01 「リケジョからテレビ局」というキャリア


小竹聡美さん

現在入社6年目、編成企画部に所属しています。業務としては、提供する番組の内容を制作現場や各部局の方たちと共に、視聴率や世の中のトレンドを見ながら、どのような番組構成に落とし込んでいくかを取りまとめ、タイムテーブルにまで落とし込んでいく部分に関わっています。外からはなかなか見えない部分ですが、番組を作っていく上で核の部分になる部署だと思っています。今の部署に異動する前は、営業やイベント事業にも関わっていました。 大学時代は、京都大学農学研究科でタンパク質の構造分析について研究していました。農学部と言っても物理の研究室と協業体制を取りながら進めていました。

綱田実紀さん

現在入社2年目、入社後から現在の総合編成部に所属しています。主に、予算や視聴率などをもとにどのような番組を編成していくか、大きな枠を決めていく部分に関わっています。番組の打ち切りや新番組の導入等にも関わってくる部署というと、少し分かりやすいかもしれません。 大学時代は、広島大学情報科学部情報科学科を専攻し、ネットワークプロトコルの性能についての研究をしていました。

現在、テレビ局で番組制作に関わられているお二人ですが、学生時代に理系の道に進もうと思った理由について教えてください

小竹さん暗記よりも問題を解いて答えを導き出すことの方が好きだったので、自然と理系を選んでいたかなと思います

綱田さん:実は、私は数学が得意だったのですが高校1年生の夏の文理選択の時に、友人からの「数学ができて文系に行ったら無双だよね」という言葉に「それ、かっこいい!」という理由で文系に進んでいたのです。いざ高2になり、はじめて「自分は理系の方が好きだ」という事に気づいたものの、時すでに遅し・・・。大学は絶対に理系に行こうと、高校時代は隠れ理系で努力し、大学から理系に進みました。

まさか、そんな壮絶なエピソードがあったとは!隠れ理系で見事に理系学部に進まれたというのは、本当に偉業だと思います!

では、お二人がそれぞれの学部を選んだ理由についても教えてください

小竹さん:環境に携わることをやりたいけれど、都市計画・デザインにも興味があるという私の幅広いニーズにぴったりだったのが、京都大学農学部の森林科学科だけだったので、ここ一択で選びました。

綱田さん:私はとにかく文系から理系に進みたかったので、センターテスト(現:大学入学共通テスト)で物理や生物の配点があまり大きくない学部ということで選びました。もともと、テレビ局で仕事したいという夢があり、採用条件に学部を選ばないという事が書いてあり、学部については大きなこだわりはなく、ただただ理系に進みたかったという部分が強かったです。

お二人それぞれの理由から学部を選ばれていたのですね。

現在、テレビ局でお勤めということで、理系職種ではない分野かと思います。なぜ、今のお仕事を選ばれたのか教えてください

小竹さん:もともと話をしたり、動いたりすることが好きだったので、就職活動中もTHE理系職というよりか、理系の知識が活かせる技術営業の仕事をメインに探していました。実際、インターンシップでは理系職種で色々なメーカー企業にも行きました。一方で、子どもの頃からテレビが好きで、親からも小さい時に「テレビが好きで、良く動くんだったら、ADとか向いているんじゃない?」と言われたこともあり、テレビ業界も合わせて就職活動をしていました。最終どちらにするかという時に、自分の「好き」な部分が最大限生かせ、勤務地が魅力的という理由から、毎日放送を選びました。私のような選択は結構レアで、同じ学部の同級生の8割近くは理系の仕事をしていますね。

綱田さん:私は院に進む予定でしたが、コロナ禍になりリモートになったので、後々の練習も兼ねてと、もともと希望していたテレビ局を受け、有難いことに内定をいただき、院には進まずに毎日放送に就職することになりました。システムエンジニア(SE)などのインターンシップも申し込んで受ける予定でしたが、マスコミ関係は他の業界よりも時期が早く、先に内定を頂いたので、結局インターンシップには参加せず、院にも進まずに就職しました。

理系ということだけに囚われず、ご自身の「好き」を大切にお仕事を選ばれたんですね。

現在、周りには理系出身の方は多くないかと思います。そんな中でご自身が「理系が出ているな」と感じることはありますか?

小竹さん:大きく2つあるかなと思います。1つ目が「着地点を見据えて話を進める」所です。行動する前に、ある程度のゴールを自分の中で描いておいたうえで、事前に確認をしておいたり、落としどころを想定しておくようにしています。2つ目が「結論を先に言う」という部分は、目的を明確にしておきたいという理系の部分かなと思います。

綱田さん:私も2つあります。1つ目が「この作業は自動化できるのではないか」という部分については、関係する部門の方と相談して最適化する方法を探る所かなと思います。視聴率などをはじめ、日々膨大な数字を扱っているので、手計算ではなかなか処理できません。「これは●●部に相談すると自動化できるのでは?」というのが自然とわかるのは、理系で数字やデータを扱っていたことで備わったスキルかなと思います。もう1つは、エクセルを使うのが人よりも長けているところかなと思います。

お話を聞いていると、THE理系のお仕事でなくても、要所要所で培ってきた理系のスキルを活かして日々お仕事で活躍されている姿を想像することができました。

理系を学んで、理系以外のお仕事を選んだことで感じたメリットやその逆などもあれば、是非教えてください

小竹さん:メリットの部分で言うと、思い込みをせずに冷静に対応できる部分かなと思います。仮説を立てて実験をしても、うまくいかないことはよくあります。その時にまた、その結果を検証し、仮説を立てて進めていくというのが染みついているので、今の仕事をしている中で、予想通りにうまく行かないことがあっても、広い視野で判断・行動できるのはメリットだと思います。逆に、様々なデータを元に、効果検証をする際(例えば、●●番組の視聴率の良し悪しに起因した要素を特定するなど)、どの要素が一番影響を与えているかを見るには、番組内容や出演者、裏番組の内容からその日の天候などさまざまな要素のうち、どれかを固定して見るべきだと思うのですが、そのあたりの特定が本当に難しく、再現性を見つけるのに苦労しています。ここは番組制作に携わる人間にとって向き合い続けないといけない課題の一つだなと感じています。

綱田さん:その苦労は私も本当によくわかります!私のメリットの面で言うと、大学時代にプログラミングをしっかりやってきていたので、DX関係の部署の方との話でやっていこうとしている話が分かる部分はメリットかなと思います。

理系ならではのメリットや苦労もあるのですね。

では、「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてください

小竹さん:多くの方が、数字や数学へのアレルギーを持っていると感じています。私は理系を学んできたからこそ数字と向き合うことに抵抗はなく、グラフや分析データなどから客観的に判断し、どの情報が信頼できるか読み取ることができる部分は自分の強みの一つだなと思っています。

あと、これは私の場合の話ですが、院に進んでから理系以外で就職したこともあり、周りの同期(多くは学部卒で入社)よりも歳を重ねていることから、年齢的な面で個人的なプレッシャーを感じている部分もちょっとあったりしますね。

綱田さん:理系に進んだ女性だけ「リケジョ」と呼ぶことに違和感が少しありますね。文系の女性は「ブンジョ」と言わないじゃないですか。リケジョと言わなくてもいいくらいに、理系に進むことが当たり前になったらいいなと思います。

私たちも「リケジョ」が死語になるくらい、理系を選ぶことが当たり前になってほしいなと思っています。

では最後に、理系を目指す女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします

小竹さん:私は、子どもの頃美容師になりたいと思っていました。今、もう一度なりたいと思ったら、専門学校に通うことでなることができると思います。ですが、もし最初の時点で選択肢を絞ってしまっていたとしたら、あとから広げるのは非常に難しい。特に、理系の仕事は本当に難しいのではないでしょうか。もし今、はっきりとなりたいものがないのであれば、無理に決めてしまうのではなく、なりたいものが見つかったときにそれが選べるように可能性は広げておいた方がいいということを伝えたいです。そして、理系を選んだことが、その可能性をさらに広げてくれたので、そんな理由で理系を選んでも私はいいと思います。

綱田さん高校受験や高校の文理選択など、まだ将来の事などはっきりとわからない中高生の時に選択しないといけない。正直まだなにも考えていない状態で選ばないといけないのに、実はこの選択がその後の人生に大きく関わって来るという現実があるということを今、改めて感じています。
「何となく雰囲気で」や、成績・偏差値などで安易に文系・専門を決めてしまうのは自分の経験からも「もう一度考えてみて!」と伝えたい
です。小竹さんもお話されていたように、やりたい事が見つかるまではどんなことでも選ぶことのできる道を選んでおく、その中でも理系を選ぶことは、その選択肢を広げておく1つの手段なのではないかなと思います。「なんとなく」選ぶなら、「文系」ではなくて「理系」を選んでほしいですね。

最後に

「やりたいことが見つかったときに選択することができるために理系を選ぶ」というポイントは新鮮ながらもまさにその通りだなと感じました。そして、一見理系とは関係ないようなお仕事の中でも、様々な部分で理系マインドを活かして活躍されているお話、とても参考になりました。

小谷さん、綱田さん、貴重なお話をありがとうございました。お二人の更なるご活躍を心より応援しています。

あとがき

いかがでしたか?
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