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AWESOME Choices Issue no.015 生命科学を経て、原体験と自分の思いに向き合った先に、病気を見つける/予防することに貢献するというキャリア

まさこさん

現在入社3年目、体外診断薬メーカーの技術開発部で、研究職をしています。
具体的には、開発したい対外診断薬の疾患項目が定まったら、それを診断するための試薬性能を満たせるように様々な条件検討を行いながら試薬を設計・開発していきます。実験が多くを占めますが、データ解析、医薬品関連の法規制の勉強、論文や特許調査なども行っています。
この仕事の面白さは、常に新たな発見があり自分がアップデートされること、仮説検証/試行錯誤を重ねながら、人の幸せを願って、より良い製品を生み出そうと進めていく過程全てです。難しさも感じますし苦労も多いですが、最初の段階でどれだけ性能良く設計できるかが、その先の開発フェーズをスムーズに進められるかを左右するので、それを意識しながら、試行錯誤を積み重ねることはスリルもあり面白いと感じています。
学生時代は、生命科学部 生命医科学科で、修士まで進みました。学部4年生からの研究は、大学の研究室に所属しながら、外部の研究機関で、がんの浸潤突起に着目した研究をしていました。

現在は体外診断薬メーカーで研究職のお仕事をされているとのことですが、高校・大学時代の進路選択の時のお話について聞かせてください

私の場合は「〇〇ができるから/得意だから」というよりは、純粋に自分が「もっと学んでみたい、知りたい」と思えるのが理系分野だったので、理系に進むことにしました。理系科目が特別できるわけではなく、テストではどちらかというと文系科目の方が点数を取ることができており、実は数学は苦手でした。ですが、元々理科の実験が楽しかったり、未知のものに出会うこと、解明すること、自分が知らないことを知ることってワクワクするな!と思っていました。「どうしてこうなるんだろう?」「これはどういう仕組みでこうなってるんだろう?」と気になり、それを知ることで自分の世界が広がる感覚も感じていたのかもしれません。

できるや得意よりも、ご自身の好奇心にフォーカスして理系という進路を選んだいうのがよくわかりました。

では、大学で生命科学部を選ばれた理由について教えてください

大学選びの際は、主に生物系、農学系の学部を見ていました。高校での科目選択では、訳あって物理と化学を選んでいたのですが、元々は漠然と「生物系」の分野に興味がありました。いろんな大学の学部や学科を調べる中で、私は生物の中でも『人』に興味があるということに気づきました。一方で、「人」に限らず、生命現象全般にも興味があり、ミクロ/マクロ両面の視点から学んでみたいと思い、この学部を選びました。

選択科目ありきではなく、ご自身の生物への関心をもう一段掘り下げて「人」への興味があることから生命科学部という進路を選んだいうことがよくわかりました。

では、現在のお仕事を選ばれた理由について教えてください

物心ついた時から「周りの人を笑顔にしたい」「世界中の人々を幸せにしたい」という想いがあったところから、様々な経験を経て「人の健康に貢献する仕事がしたい」という思いを抱くようになりました。

私が小学生の時に祖母が癌で亡くなり、中学の時には母が癌で入院するという出来事があり、病気一つによってこんなにも力を落としてしまう姿を目の当たりして、幼いながらにショックを受けました。

しかし、母は早期に見つかったので5年以上経った今も元気で、このことから「早期に気づくことの大切さ」を痛感し、自分は「病気を治す」ところよりも「病気を見つける、予防する」という観点から携わりたいなと思うようになりました。これが、今の仕事を選んだ大きな理由の一つです。もう少し補足するとすれば、大学時代の人との出会いや経験、学びから、単に「身体に病気がないこと=健康」でもないし、「肉体が健康=幸せ」でもないことに気づきました。とは言え、まずは「元気な身体」があってこそという面もあるので、「そこに対して何か力になれる仕事」ということも、今の仕事を選ぶきっかけになりました。

ご自身の原体験に加え、大学で生命科学を学んだことが重なり今のお仕事を選択されたということがとても良くわかりました。

では、お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じたことがあれば、是非教えてください

やはり「なぜ?」とすぐ分析してしまうところは、理系が出ているなと感じる部分かなと思います。この「なぜ」を解き明かすために、自分が納得できるまで調べたり実験したりすることが苦になりません。そして常に、「仮説立て→実験→考察・検証→仮説立て」の繰り返しで主体的にタスクに取り組むことができるのも、理系の強みの一つかなと思います。実験がうまくいかなかった時に、表面的に対処して進めるのではなく、根本的に何が・どこがおかしいのか、どこが間違っていたのかを考え抜くところも、より良い製品を生み出すことに繋がっているかなと思います。

「なぜ?」と問いかけ、それを検証していくために自ら掘り下げていくことができるところは、理系で培われるスキルですね。そのためか、どんな状況下でも主体的に取り組むことができる方が理系の女性には多いような気がしています。

では、「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてもらえますか?

大学時代に自分が「理系」だと言うと、「難しそう」「忙しそう」「大変そう」など、ネガティブなイメージを持たれることが多いなと感じていました。文系の人からは「自分とは違う」というように一線を引かれてしまう感覚もありました。そして、自分が「理系」だと言うと、それだけで「すごいね」という言葉が返ってくることも多く、違和感を感じたり、そのような声から影響を受けた自分の感情も多くありました。しかし今では、自分の心に正直に、純粋に自分自身がワクワクできるこの分野に進めてよかったなと思っています。もし「周りがこんな風に言うから」「こんな目で見られるから」という理由で自分の進む道を決めていたら、きっと後悔していただろうし、自分で選択した道だからこそ、その先に何か困難なできごとや壁にぶつかったとしても、誰かのせいにするのではなく自分の選択に責任を持って乗り越えてこれたなと今、実感しています。

私は元々(そして今も)、結構感覚的な部分もありますし、自分で「あまり理系っぽくないな」と思うところも正直あります。だからこそ、理系の勉強を通して論理的に考える力や深掘って考える力が鍛えられて良かったなと思っています。論理的に考えることも大事ですし、時には理屈ではなく直感が大事になることもありますし、その両方が必要だなと思うので、私の場合はそういう意味でも、理系の勉強をしたことで、その辺りのバランスが良くなったのではないかとも感じます。

「自分であの選択をしたから今がある」というのは、理系の道を選んできた理系女性の多くが実感している部分だと思います。そして理系を学んだことで、感覚派な面と理論派な面の両方を併せ持つことができたというのは、新たな理系の魅力を教えてもらえた気がしています。

では最後に、これからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします。

進路選択、悩みますよね...!(私も次のステップに向けて絶賛悩み中です笑)

でも、ここでどれだけ自分と向き合い、本当の自分を知ることができるかによって、その後の人生が大きく変わると思うので、とことん悩んだら良いと思います。悩むことは決して悪いことではなく、それだけあなたには、いろんな可能性が溢れているということ。何かを選択する時、点数や成績が良いかどうか、周りの人が何と言うか、どう思われるか、など、自分の外にあるものを基準にして選ぶのではなく、自分自身の奥深くにある本当の自分の心を大事にしてみてほしいです。あとは、これも理系っぽさなのか、私は何事に対しても、その根本から解決したいと願う心があって。私の場合で言えば、「みんなを幸せにしたい」という漠然とした夢に対して、「そのためには?」「そもそも『幸せ』ってなんだ?」などと考え始めたところから、自分の生き方や進路選択のヒントを得られるようになっていったので、このようにじっくり深掘って考えてみても良いかもしれません。(一人では難しかったらお手伝いします^ ^)

そして今、理系学部で学んでいる人たちへ。同じ分野に進んだとしても、その中で何に興味を持つか、何にワクワクするかは人それぞれだと思います。時には、自分の興味が少数派で、変わった人扱いを受けることもあるかもしれません(笑)でも、それこそあなたの個性が光る一歩になると思うし、これだ!と思うものが見つかることも当たり前ではないし、恥ずかしがることもなく、とことん追いかけてみてくださいね。応援しています!

最後に

ご自身の興味だけでなく原体験にも向き合い、理系という道を選び今のキャリアを歩まれているということがよくわかりました。またこれまでの中でいろいろと悩まれたからこそ伝えたい思いというのが、一つ一つの言葉からあふれていましたね。まさこさんの更なる活躍を応援しています!貴重なお話、ありがとうございました。

あとがき

いかがでしたか?
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