AWESOME Choices Issue no.03「リケジョから自動車メーカーで技術系総合職」というキャリア
おかゆさん
現在自動車メーカーの品質保証部で活躍中とのことですが、学生時代に理系の道に進もうと思った理由について教えてください
家族の影響が大きかったです。父も兄も理系の道を進んでいたので、自分も自然と理系の道を選びました。そして、大学の進路を考えていた時、「工学部が他学部に対して将来への選択肢が多い」と、アドバイスをもらったことが理由です。
高校2、3年生の頃に行った地元である東海地方の各大学オープンキャンパスにて出逢った大学生・大学院生・先生方に「工学部(特に機械分野)は、ものづくりの“基本”を学ぶ学問なので、ものごとの仕組みを学べる」と全員にアドバイスをもらったためです。
そして、父と兄からも「実務として働いている中で、工学部の機械分野や電気分野は、ものづくりで起きた困りごとを解決するために必要な知識を学ぶには最適だと思う」と実体験の中での気づきをもらいました。この二つが大きな要因となり、工学部機械工学科を進路に選びました。
では、今のお仕事を選ばれた理由を教えてください
学生時代のアルバイト経験で、 お客様に喜んでもらうにはお客様が欲しい・困っていることを解決することだと気づきました。
そこで,どうしたら「欲しい・困っている」というお客様のニーズを察した上で商品を届けることができるのか?と試行錯誤している中で、「商品を届けるのは“人”だから、その“人”が魅力的であれば一人でも多くの人に届くのでは?」と 仮説を立て、お客様満足度といわれるアンケートの評価が高いお店へ視察しに行きました。 アンケート評価が高いお店は、働いている“人”がお客様のために自ら考えて夢中になって働いており、「働いている人たちを突き動かしているのは何か?」と分析した結果、 「働いている人が自分の存在価値を高められるような”仕組み”になっている」ことと自分の中で結論づけました。
一人ひとりが、自分の可能性に気づいてその才能を開花できれば、 もっと多くの人の「欲しい・困っている」を解決できると考えました。 働く人たちにとって最適な「仕組み」を構築するために、まずは「仕組みを制定する部署」で 働くことを念頭に就職活動をして、今の部署で日々学びながら働かせてもらっています。
お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じることなどはありますか?
事実に対する背景をとことん確認するところかなと思います。
私の仕事は法規を扱っているため、「法規のどの項に、言葉の定義と技術要件○○が記載されているか」と、自分の目できちんと確認するようにしています。また法規は「人間」が作成しているので、「作成者の意図」が必ずあります。実際にその作成者やその過程を知っている方に「技術要件○○が追加された意図は何ですか?」と事実確認をして、社内における法規に基づいた工場体制整備を関係者と構築することを心がけていますね。
では「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてもらえますか?
大学時代、理系の中でも特に女性が少ない研究室だったこともあり、周りの先輩や同期からの風当たりがきつく、何気ない一言でひどく傷ついた経験があります。そんな中でも、泣いたり投げ出したりすることなく、身の回りのことから研究までやるべきことをやり、周囲の信頼を少しずつ集めながら研究室生活を過ごしてきました。辛い環境だったことは事実ですが、そんな中でも自己分析をしながら「何が私にできるのか?」「どうしたら自分が望む関係を築いていくことができるか?」と、自分との対話をするキッカケを持つことができ、人として進化できるチャンスを他の人より何倍も速く手にすることができたと思っています。マイノリティーだからこそ、得た経験であり同時に人の痛みを知ることができたので、人として強く優しくなれたと思います。
そして、今私がこのキャリアを選んでいる理由の一つに、アルバイトでの経験から得た学びや、研究室での辛い経験を通して、人が人に対して傷つけることも大切に思うこともでき、人だからこそ「愛・嬉しさ・課題解決」ができるのだと感じています。
そのためには、一人ひとりが自分自身を認められるような環境・仕組みをつくることで、「愛・嬉しさ・課題解決」を育む社会を実現させたいので、現在の「体制整備」という仕事を選びました。
では最後に、これからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします
「理系」という道はあくまでも将来への「手段」だと私は思っています。
皆さんが「この道で良かった」と思える選択肢や、夢中になれることの選択肢に「理系」があるとうれしいなと思います。あくまでも私の経験からですが、「理系」という選択肢を選ぶことで将来への道は文系選択者に比べると多いなと感じています。
私自身、色々な経験がありましたが、私が選んだ「この道」を誇りに思っています。その理由は、理系の中で培った理系マインドと学生時代の実体験から得た気づきが日々の仕事の中で活かすことができているからです。
具体的には、現在の法規に基づいた社内体制整備の仕事を通して多くの人と関わる中で、相手が困っていることを察して「私の方で何ができますか?」など相手の思いに寄り添い、円滑かつ確実に業務を進める場面で活かすことができています。
手段としての理系の意義もありますが、もう一つの意義は「自分が関わった製品で世の中の人に幸せを届けることができること」だと思います。
私が扱っている製品は自動車なので、法規を満たしていない限り、お客様に販売することはできません。法規=成果と言っても過言ではないと思っています。法規を満たすために、「どうしたらみんなにとって嬉しいことか?」と提案したことでみんなに喜んでもらい、そしてその製品がお客様の手元に届いて製品を愛用してもらっているのを見たときや、販売店で直接お客様から「ありがとう」という言葉をかけてもらった時に一番、「理系を選んで、この仕事に関わることができてよかった」と喜びを感じ、お客様のしあわせの量産に貢献できていると、やりがいを感じています。
これからのキャリアを考えている中高生や理系で学んでいる学生さんにとって「この道で良かった」と思えるように何かお手伝いできることがあれば、お声かけくださいね。
最後に
お話を通して、大学編入や研究室での辛い経験など多くの壁を乗り越えてきたことと同時に、理系を選んだからこそ得られる仕事の醍醐味について、リアルな声を聞かせていただきました。同時に、おかゆさんのような思いを持つ方が扱う自動車を選びたいなと思いました。貴重なお話ありがとうございました。おかゆさんの更なる活躍を応援しています!
あとがき
いかがでしたか?
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