静かにととのえられた時間~映画「PERFECT DAYS」を観て
ヴィム・ヴェンダース監督の映画が出る。
しかも、役所広司さん主演で。
何気なく通った地下鉄の看板で、新作が出ることを知ったとき
あ、絶対見なきゃ、と思った。
20代の頃、「ベルリン・天使の詩」が大好き過ぎて
ひとつひとつの言葉がうつくしく整っていて、DVDを買って、台詞を全部書き起こしたことを思い出した。
今思うと、我ながらちょっと病気だな、とは思うけど笑
それくらい、大好きな映画の監督の新作。
映画とかドラマなどの作品は
観たあと、しばらく身体のなかに残ってしまうので
ここ数年は、観るものをかなり選ぶようにしていたんだけど、これは即決だった。
☪︎*。꙳
役所広司さん演じる平山という初老の無口な男性。
トイレ掃除という、一見忌み嫌われやすい、でも無くてはならない大切な仕事を行っている。
誰に褒められるでもなく、自作のトイレ掃除用具を使い、丁寧にトイレ掃除を行う。
トイレ掃除中に、トイレを使いたい人が駆け込んでくる。
平山は黙ってトイレを出て、席を空ける。
トイレの白い壁に映る、木々の影が風に揺れる様子に、嬉しそうに目を細める。
平山の眼に、うつくしい光がともる。
その瞬間に、ハッと、息をのんだ。
ああ、この人は「丁寧に生きる」と決めている人だ。
そう、強く感じた。
平山が愛を感じたときの、嬉しそうに目を細める姿が好きだ。
朝、玄関を開けた瞬間見上げた空。
公園にいるパフォーマー。
愚痴ばっかりの同僚に懐く知的障害を持っているであろう男の子とのやり取り。
木の根っこにある木の赤ちゃんをそっと持ち帰るときの手つき。
ささやかで、どれもうつくしいものたち。
心を込められたものは、とてもうつくしい。
平山は、おそらくそのことを潜在的に知っていたんだと思う。
だからこそ、人が忌み嫌う仕事のなかにも、うつくしさや面白さを見出すことができていたし
自分のなかで、それにそぐわないと感じるものに対しては、沈黙を守っていた。
平山は、とても無口な男性だけれど
とてもたくさんのものを感じ、見つめていたんだろうなと感じる。
おそらく、人のなかに存在している醜悪さや理不尽さ、矛盾も。
それを知った上で、己にできることを淡々と、丁寧に生きている人がいる。
それは、私のなかで、大きな励みになった。
フィクションと言えば、それまでではあるけれど
それでも、私たちがすれ違っている人たちのなかに、平山のように生きている人がいるかもしれない。
そう思えると、ひとつひとつのことが、とても愛おしく感じられるし
私も、自分にできることをやろう、と、背筋が伸びるような気持ちになる。
今日も、わたしにできることを、丁寧にやっていこう。
【あわゆき】
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