スナック社会科横浜映画祭#2「特集:飯山由貴」に向けて③
次のスナック社会科は2年ぶり2回めの「スナック社会科横浜映画祭」です。チケットは下記にて販売中⬇
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当日まで、ぽつぽつ書いていくnote、第3回。今回は上映作品の補足資料になるような飯山由貴さんが今まで取材を受けた記事などの紹介を。
全作品、全人類に観てほしい作品たちではあるのですが、トリガーワーニングもあるので、ご参加される方の事前判断にも役立つかなと思います(無理禁物)。
■医学史と社会の対話 2020.2.05
【精神疾患とアート その3 飯山由貴さんのインタビュー<前編>/鈴木 晃仁(慶応義塾大学)・飯山 由貴(アーチスト)】https://igakushitosyakai.jp/interview/post-2115/
「hidden names」にも登場する鈴木晃仁氏によるインタビュー記事。飯山さんだけでなく、ギャラリー側、キュレーションをする側の方にも取材されていて、また医学史の先生による記事なので視点も語りも普段目にするインタビュー記事からは一風変わっているので新鮮でした。インタビューを取材者のモノローグとして文章にしている形式もびっくりしました。が、結構突っ込んだ内容でヘビーなところもあるので、当人の語りを第三者の文章で語り換えることで伝わり方がやわらぐ気もしました。
■美術手帖web 2022.9.11
【DVやジェンダー格差をめぐる飯山由貴の応答。森美術館での展示から見えてきたものとは】
こちらは一昨年、森美術館での展示「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(森美術館、東京)にて飯山さんが出展された《影のかたち:親密なパートナーシップ間で起こる力と支配について》についてのインタビュー記事。この展示の中で、今回上映する「家父長制を食べる」が公開されました。
作品の紹介とともに、展示までの経緯とどういう思いで作ったか、どういうケアやフォローが必要だと思ったか、舞台裏を知るとともにアーティストのあり方や親密圏で起こる暴力にさらされている人や、身近に暴力を受けている人がいてどうにかしたい人にも、励みや参考になるような記事。
私は自身の過去の経験から「行ったらしんどくなるかもしれない」と思って、躊躇してるうちに本展示が終わってしまって見れずじまいというヘタレっぷりだったので、この記事を読めて良かったし、制作した飯山さんだけでなく、作品に参加された方、実際に足を運んで想いをポストに寄せた方々もリスペクト。ヘタレな自分も、同じように回避された方々もリスペクト。またこうして出会うことも、出会い直すこともできる。
■yahooニュースオーサー記事
【内面化された忖度で守られる弱き権力者たち――「アートと『検閲』」 飯山由貴×イ・ラン×FUNI(上)】韓東賢 2023.3.25
【差別に向き合うため、言葉を集め使う練習を――「アートと『検閲』」飯山由貴×イ・ラン×FUNI(下)】韓東賢 2023.3.27
こちらは、日本映画大学ハン・トンヒョン「映画で学ぶ歴史と社会4〈ネイションとエスニシティ〉」特別公開授業/大阪公立大学明戸隆浩研究室ジョイント企画として開催されたシンポジウムの主催者である韓東賢氏による記事。
同じように検閲を受けることになった韓国のミュージシャン、イ・ラン氏を交えて、日韓で起きた検閲事件それぞれの事情やアーティストと言っても三者三様な戦い方と想い、それぞれへの質問と応答などエキサイティングな内容でした。検閲自体は起きてはいけないことだけれども、その問題を軸にこうして海を超えて連帯することもできる。という希望もありました。またそれを架橋した韓東賢氏の力量も凄い凄いと仰ぎ見る感じ。当日は配信視聴で参加していたのですが、語られる内容とは裏腹に和やかな雰囲気で進行していたのも印象的でした。
■この国(近代日本)の芸術〈日本美術史〉を脱帝国化する
第3章 脱帝国の美術史Ⅱ エスニック・マイノリティ、障害、クィア
飯山由貴インタビュー 誰のための人権?
こちらは書籍なので、買うか借りるかしていただきたいのですが(当日会場に閲覧用においておきますね)。注釈、資料も含めて40ページ超に渡るロングインタビュー。この書籍が編まれるきっかけとなった飯山由貴作品への国際交流基金とその後の東京都による二度に渡る検閲を軸に話は進みますが、国際交流基金の検閲の方はあまり知られていないし、私もこれを読んで初めて知ったことも多かったので、東京都の検閲事件で知った方は飯山さんたちがあそこで何故強く立ち上がらなければいけなかったかが見えてくると思います。
またインタビュアーを務める編著者がお二人共アーティストでもあり、突っ込みどころが一般メディアとは違うので、事件だけでなく作品の背景や制作の姿勢についても理解が広がると思います。飯山さんが特別強いからでも、元来運動家だったわけでもなく、立ち上がらざるを得なかった状況があって、その中で戦い方を模索していった過程は、いつどこで誰が理由もわからずBANされるような現在(それは過去の帝国時代の日本がしてきたことでもあるのですが)に重要なヒントやシェアできる武器(比喩)があると思いました。
また、同書に収められている小泉明郎氏のインタビューを併せて読むと、めっちゃ「政治的」なこの国のアートに関わる状況というものが立体的に見えてくると思います。
ここまででもボリュームがあるので、とりあえず以上。
あと2週間を切りました。どうぞ宜しくお願い致します。今日は原爆が広島に落とされた日。平和を希求する式典にイスラエル首脳がやってくる日。平和というものは現状維持や事勿れで得られるものではないと強く思いながら。