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「2.5~3日目 焼き納豆」~おいしい山形(+宮城)旅行日記~

2021年11月。友人と一緒に4泊5日の山形旅行に行ってきた。山形は、評判にたがわず「おいしい」県だった。今回は、そんな山形旅行のお話だ。

※こちらの記事の続編になります。


二日目午後、蔵王温泉へ

バスに乗りまどろむ。がたん。揺れが止まった。目が開く。そこに広がっていたのは――

天国。じゃなくて現実の絶景だ。

さて、今日のホテルは蔵王の山の上。バスを降り、足を坂道へ。肌寒い。リュックを下ろし一枚羽織る。

15分ほど歩いてホテルに到着。友人と合流し部屋に入る。時間は16時。まだ夕食は先か。となると、やることは一つだ。

Q. ここはどこ?
A. ここは温泉!

じゃあ入るしかないよねと。

誰もいない温泉。ヒノキ薫る浴槽。つるつるになっていく肌。何も考えずに時間だけが静かにすぎていく。邪魔するものはなにもない。ここに来てよかったなあ。

白く濁る湯舟。徐々に暗くなる山々。ここには時計もない。あったまったら足だけ浸かる。肌を撫でる風がもっとここにいていいよと誘っている。冷えてきたらまた湯舟にぽちゃり。

こんなぜいたくな時間の使いかたこそ、旅行の醍醐味だ。
気づいたら1時間すぎてた。


山形をいただく!

風呂を上がり牛乳をぐびり。極楽。もう思い残すことはないよ。

ぐー。

訂正。旅館に来たんだから夕食を食べないと死ねないよ。さあ、今日はどんなおいしい山形が待ってるかな。スキップしたい気持ちを抑え食堂に向かう。

あっこれ本気のやつだ。

そこに佇んでいたのは「山形」だった。

口の中で旨味が爆発しとろける山形牛。

そして芋煮。肉の脂と里芋のねばりが奏でる絶妙なハーモニーよ。さらにとどめに食後のフルーツ。山形、なめてたわ。


街歩きに山形グルメ、濃厚な1日だった。布団に入り目を閉じる。

しかし、このときの自分はまだ知らない。明日にさらなる衝撃が来ることを。


三日目、おいしい朝食

自然と目が開く。三日目の今日は宮城方面に行く予定。その前に朝食だ。昨日はなかなかおいしくて量が多かったから、ちょっとさっぱりしたものを食べたい気分。眠気を振り払いながら食堂へ。

もしかして、心読まれた?

さっぱりした魚に野菜多めのおかず。「今こういうものが食べたい」を画像にしたらこれになると思う。いや、嘘ついた。ここまでちょうどいい料理を想像するのは無理だ。

そんな中、一つちょっと予想できないものがあった。

これは何?

これはひきわり焼き納豆とでも言うのだろうか。山形と納豆か。調べてみると、納豆の購入額で山形は2位らしい。ほほう。僕も毎週納豆を食べる程度には納豆が好きだ。さあ山形、実力拝見だ。

納豆がぱちぱちと爆ぜていく。焼けるのをながめながらおいしい漬物とご飯を合わせ、海苔で包んで食べる幸せな時間。

納豆が焼けた。ご飯に乗せて醤油をちょこっと。いただきます。

目の前に絶景が広がった。

なにこれ。焼いたことによって納豆の臭みがなくなり、代わりに加わったのはわずかばかりの香ばしさ。香りがそよ風のように鼻を抜けていく。心地よい素朴な味。納豆はいつも食べてるはずなのに、完全に別物。いい素材と一工夫でここまで良くなるとは。しかも、昨日のいい物を食べたあとにこれ。

いかにもなグルメに舌鼓を打つのもいいけど、こういう普段から活躍している食材が新たな一面を見せてくれる。こういう展開に弱いんだよ。「おいしい山形」、深いぞ。


観光に行こう

さて、今日の予定は宮城方向に観光して、別の温泉で宿泊だ。でも頭の中は朝の納豆の余韻がずっと尾を引いている。いや、糸を引いている。なのでダイジェストでお送ります。

苅田岳。絶景以上にカービィと写真を撮っている人が気になった。何者だったんだろう。
蔵王キツネ村。キツネ好きの天国がここにある。尻尾のモフモフっぷりがここまでだとは……!
あと説明書きの女の子がかわいい。
本日のお宿、鎌先温泉に到着。
温泉に喫茶店があった。紅茶とチーズケーキおいしい。木の内装で落ち着くお店でした。
夕食。天ぷらにたたきにそうめん。う~んたまらぬ。

夕食もおいしかった。でも、ちょっと変なことを考えてしまった。割と想定内の食事だったなと。朝の納豆みたいに予想外の物を食べてみたい。

でも、そんな贅沢な考えは正直持つべきじゃない。人間、傲慢になるときはあっという間だ。職場でいばっていれば老害と呼ばれてしまうし、友達の前で自分勝手にふるまえば人が離れていく。


おやすみなさい

そんな自戒の念をこめながら布団に身体を滑り込ませる。明日も旅は続く。贅沢に慣れてしまったこの身体。満足できる食事に出逢えるだろうか。大丈夫かな。

期待と不安を抱えながら、現実と夢の境界が溶けていった。

(「4日目 菊の花」へ続く)

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