
友添敏之 著「トップ1%の麻雀手筋」を読んだら雀魂が楽しすぎて寝れない
友添プロの著書「トップ1%の麻雀手筋」(以下、本書)にキャッチコピーをつけるとすれば、「麻雀を打つのに少し飽きてきた人、読んで!」である。
「この捨て牌なら、こっちの待ちのほうが和了れそうだな」とか。
「この捨て牌なら、これを切っても当たらないだろうな」とか。
本書を読むと、捨て牌から得られる情報が増えて、考えるのが楽しくなり。
「この手牌なら、これだけは鳴いてこれを残せば大丈夫だな」とか。
「この手牌なら、この筋が2枚あるから安牌なくてもいけるな」とか。
本書を読むと、手牌から得られる情報が増えて、工夫するのが楽しくなり。
麻雀が、面白く感じられる。
本書では、多井隆晴プロや園田賢プロのエピソードを掴みとして、次々とトッププロの選択や思考が紹介される。
書籍全体を通して、麻雀研究会での出来事を紹介し、トッププロへの取材内容も交えつつ、友添プロが補足する。
難しいテーマが取り上げられているが、練習問題に対する解説が丁寧に記載されていて理解しやすい。
トップ1%の逆切り
トップ1%の七対子待ちどり
トップ1%の打点ばらし
トップ1%の逆切り読み
トップ1%の単騎コロコロ読み
トップ1%の七対子戦略
トップ1%の愚形固定
トップ1%のチンイツ読み
トップ1%の差し込み牌残し
トップ1%の跨ぎ筋読み
トップ1%の押し引き
トップ1%の単騎読み
本書の目次には、上記の見出しが並ぶ。
見出しだけでも興味津々である。
麻雀打ちとしてトップ1%に至る、飽くなき探求心をもった猛者たちとおこなう勉強会にて、友添プロが壁打ちをする様子が紹介されていく。
***
友添プロの魅力はたくさんあるが、私は「自分よりもお客様(読者)を優先できるところ」が素敵だと思う。
株式会社友添商店の代表取締役社長兼CEOとして、従業員を守り、企業理念である”京都をおもろくする“ために、「お客様に喜ばれること」を本気で考え続けたのだと推察する。
本書では、友添プロは脇役に徹し、恩人たちへの敬意をもって、読者がより麻雀を理解して楽しめるように丁寧に解説している。
そのような姿勢はTwitterでもたびたび見られる。麻雀の楽しさや面白さを伝えられる麻雀プロは、麻雀を長く楽しみたいと思う層には貴重な存在である。
自分たちの仕事で皆様をハッピーにして、そして自分たちのこともハッピーにする、そんな会社を僕たちは目指します。
株式会社友添商店のコーポレートサイトに記載されている1文である。
「あったらいいな、いまは京都にないけれど」と思う店をつくり、京都で暮らす人々を、そして友添プロや仲間と関係する人々をハッピーにする。
***
友添プロは、5月25日に近代麻雀noteを通じて、以下の宣言をした。
友添商店の最重要プロジェクトとして、友添敏之プロMリーガー化計画に取り組むことを決定しました。それに伴い、2005年3月1日から18年と3カ月やってきた麻雀Pottiを譲ることに決めました。
株式会社友添商店の理念である「京都をおもろくする」ために、友添プロはMリーガーになることを目標に掲げた。
友添プロはビジョンを明確にし、目標を口にすることで、実現する道を選ぶ。
小さな努力の積み重ねさえも、だれかが必ず見てくれていることを、友添プロは知っている。
そして、目標を実現させるだれかが、きっと友添プロに惚れこむ。
***
私はマーケター(マーケティングに関わる業務をする人)である。マーケティングのなかでもデジタルマーケティングを専門としている。
マーケターというと分析や戦略立案ばかりが業務内容だと思われることがあるが、私の場合はそうではない。クリエイティブ制作のディレクションや、営業・顧客折衝などもおこなう。
ここで取り上げたいのは、クリエイティブ制作である。
デジタルマーケティング領域においてはエンジニア、デザイナー、ライター・エディターなどがクリエイティブ制作にあたるが、「勉強することで得た知識」と、「フィードバックで得た視点」が、彼らの能力となる。
麻雀にも同じことがいえると思う。
本書では、麻雀に対する飽くなき探求心をもって、勉強・研究、同等の能力をもつ他者との壁打ちをおこなう麻雀プロの様子が紹介される。
麻雀においては運、マインド、思考力、記憶力など、さまざまな能力があると思うが、「雀力」においては、自分で勉強・研究すること(知識を増やす)と、研究会で壁打ちをすること(視点を増やす)をより多くおこなった人が、もっとも高いのだろう。
***
私にとって麻雀は娯楽であり、息抜きである。
しかし麻雀プロにとっては、仕事であり、人生そのものである。
「麻雀プロの真っすぐな向上心や生き方に敬意を表したい」
それが、本書を読了した際に抱いた気持ちである。
視点を増やすことは、面白さに直結する。
本書を読んだことで、雀魂が楽しくて仕方ない。
運だけではなく選択と思考が結果に結びつくことを実感できた。
優れた書籍は、読者の生活に影響を与える。
「トップ1%の麻雀手筋」は、読者の心に、麻雀の面白さと麻雀プロの魅力を残す。