マガジンのカバー画像

朗読

13
オリジナルの朗読脚本です。使用の希望があればメールかツイッターのDMでご連絡ください。
運営しているクリエイター

2018年12月の記事一覧

『きみのいない街』

『きみのいない街』

汽車が、揺れる。
どこまでいくかわからない。
だけど、私は乗っていた。

旅支度は簡単に。
荷物は最小限に。
身一つで飛び乗った。

窓から見える冬の街。
白いシーツのように柔らかい景色を見ながら
私は、深緑色の椅子に背中を預けた。

汽車の中は、静かだった。
乗客はふたりがけの椅子に
みな、ひとりしか座っていない。
かく言う私もそうである。
みな、ひとりだった。
だから話すこともない。

ジュー

もっとみる