伝統行事を”興行”としてカイゼンする
今年、試行的に始めた相馬野馬追の「旅行会社向けの先行販売チケット」が売り切れ(申込で満席)になったよ!
毎年赤字まっしぐらな相馬野馬追。
その収支改善プロジェクトの一環として、「ちゃんと旅行会社にも声かけよう」「プロモーションしっかりしよう」など、当たり前と言えば当たり前、だけど本腰入れてやってこなかったことを一つずつ試しています。
その成果がまず1つ出たことにホッとしつつ、次に何ができるか考えてます。
ちなみに、2022年の相馬野馬追では、旅行会社さんから申し込まれた団体席(1マス当たり5人座れるマス席)の数は70マス程度。
今年申込開始から1週間で満席になったマス数は400マス。
旅行需要・観光需要が戻ってきているということを如実に感じる数字ですね。
さて、今回の収支改善プロジェクト。
何をすればコストを下げつつ収入を確保できるか、ということに主眼を置いています。(コストには金銭だけじゃなく担当者の物理的な負担も含む)
伝統文化だ、伝統行事だ、といくら叫んでも収入に繋がる訳ではありませんし、国や自治体に補助金を求めたところで、その国や自治体が人口減、税収減で先細りなのでは「1000年後にもこの行事を残す!」という言葉に説得力なんてないでしょう。
また、「伝統行事なんだから「金だ金だ」なんて言うのはそぐわない!」というご意見もあるでしょう。行事の参加者個人個人の意見はそれで構わないと思います。伝統文化を継承してきた方々の矜持を否定するつもりはないですし、むしろ「何が何でも継承するんだ」という個々人の気持ちというか覚悟のお陰で現在があることは間違いないことです。軽い言葉になっちゃいますがリスペクトしかないですよ。
ただ、(公金入ってるし)隠す話でもないと思うので書きますが、コロナ前までの相馬野馬追は、年間予算額4000万〜5000万に対し、年間収支が概ね300万〜500万のマイナスでした。
自分が担当となった際、「あと数年でキャッシュアウトするからその改善を考えて」という引き継ぎ(?)をされ愕然としたことを覚えています。
分かりますか?
「1000年続いているとされるお祭りを担当してね。でもあと数年でお金が底をついて出来なくなるかもしれないから何とかして」
というパスを出される気持ち笑
「すいません!頑張ったんですけどお金がなくてどうしても1000年続いてきたお祭り、来年からできません」
と言わなきゃいけない記者会見とか、死んでもやりたくないですよ。
そこから、作れば作るだけ赤字だった観覧席があると聞けば販売を止め、需要>供給の構造になっている券種があれば値段を上げ、といった慎ましやかな努力をしていたところでコロナ禍に突入。
行事執行費用はかからなくなるも、地域の方々が馬を飼ったり甲冑のメンテナンスをする費用はなくなる訳でもなく、それに一部手当するためのクラウドファンディングをやるなど、とにかく足掻き続けています(今も)
そうこうしている内に、世はDX。
オンラインミーティングにAIの興盛など、伝統文化の対極にありそうなモノたちが幅を利かせるようになっています。
こんな時代だからこそ「古いものを守るんだ」というところで立ち止まるのではなく「古いものを守るために新しいものを取り入れる、うまく使うんだ」というところまで踏み込んだ試みを考えたいと思います。
例えば、去年も行ったライブ配信とか
新庄まつりさんが取り入れているGPSで山車の位置が分かるようにするサービスとか
チケットをNFT化して「●年連続で観覧した方のみ限定で買える特等席」とかを実施したりしたら面白そうだし収支改善にも役立たないかな。とか。
※これらは相馬野馬追執行委員会としての考えではなく、花岡個人の妄想です。悪しからず。
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