- 運営しているクリエイター
#短歌
口語にとって韻律とはなにか ――『短詩型文学論』を再読する――
1. はじめに
平成二十七年版の「短歌年鑑」(KADOKAWA)を読んでいてとても驚いた箇所がある。特別座談会「短歌は世代を超えられるか」の小島ゆかりの発言である。
小島 五島さんの「鍋つかみ」の歌も、一字アケを使って字余りまでしているんだから、もっとリズムで読ませてって思う。
ここで言及されている歌は、以下に引用する短歌のことだ。
くもりびのすべてがここにあつまってくる 鍋つかみ両手
句またがりのこととかだらだら考える
昨夜、後輩の小林通天閣さんと句またがりについてTwitterのリプライで話していたら、「(句またがりによる句と句の)溶接のメリット」は何でしょう、とたずねられました。
そもそも句またがりについて「句の溶接」ということを定義したのは小池光なので、立ち返って彼の「句の溶接技術」という評論を読み直してみました。(砂子屋書房の現代短歌文庫、『小池光歌集』に収録されています)
「句の溶接技術」で、小池は