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422 無彩色の世界に色を見る

422. 無彩色の世界に色を見る

空の色、雲の色。ほのかに塗られる色がこんなにも美しいと感じるのは、その少し前の、色が見えなかった時間を過ごしているからだろうか。「明るくなる」というのはただ明るさが変わるというだけでなく、それによって生まれるものがあるのだということを実感する。

昨日、awaiのウェブサイトの変更を行った。一番大きな変化は無彩色にしたことだ。まだ一部は色を使っているところもあるが、今日も調整を進め、モノクロの世界にしていきたい。なぜそうしようと思ったのだったろうか。「あわい」の世界観を、もっとしなやかに強く表現していきたいと、ずっと思ってきたのだと思う。優しく穏やかで、心休まる時間。それは私が世界に届けていきたいことの一つだがそれだけではない。どんなに厳しく、険しく、心穏やかでない時間の中でも、自ら平静をつくり出せるということも伝えていきたい。色があるところに色を見るのは、簡単にできることかもしれない。色のないところに色を見出すことこそが、人間のたくましさであり、美しさなのではないか。心の風景にどんな色がつくかは、そのときどき、人それぞれだ。それを自分自身でも、規定も固定もせず、他者に対しても想像の余白を残す。それが、色を消すということだった。色を消すと言っても、色がなくなったわけではない。もともと色がついていたのだ。普段、目の前に見える世界の色に気づいていなかったならば、モノクロの写真はモノクロにしか見えないかもしれない。しかし普段、目の前にある世界の色を感じていたなら、モノクロの写真にも色のついた世界を見ることができるだろう。モノクロを見ることは、強烈に色を見ることでもある。

そういえば、先日まで日本に滞在していた友人が展覧会に足を運んだという画家の小松美羽さんは、今は爆発するような色の世界を表現しているが、当初は色を使わずに表現していたという。

世界は、色にも言葉にも溢れている。その中で、敢えて、無彩色の世界、無音の世界を感じることで、様々な音色が入り混じった世界の中で、真にエネルギーを持つ音色に気づくことができるのではないか。

これまで表現してきた色のついたものをしまっていくのは少し惜しい気もする。しかしそれは、全くなくなるわけではなく、既に栄養となって、足元の土に染み込んでいる。大切にしていることは、サイトの中だけでなく、言葉や表現の一つ一つにも染み込んでいるはずだ。

向かいの家の屋根の、かつては煙突として使われていたであろう排気口から、蒸気を含んだ煙が立ち上った。今日も世界には鮮やかに色が塗られていく。2019.10.24 Thu 8:06 Den Haag

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awai Sou / 佐藤 草 自然(わたし)にかえろう🌿ともにいのちを生きる
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