対話者としての自分自身を深めるということ 道なき道を自らあゆむ探究者たちの挑戦
ともに未来をつくるために必要な対話とは
一年前と数ヶ月前、こんな記事を書きました。
現在わたしたちが直面する地球規模の課題を乗り越えていくため、また、ひとりひとりが日々の中で自分自身の命にしっかりとつながって生きていくためには、お互いの考えや欲求の背景にあるものを知り、さらに新しいアイディアをつくっていくような、共感型・生成型・共創型のコミュニケーションが必要なのではないかと、そんなことを考えていました。
この共創型のコミュニケーション(生成的な対話・共創的な対話)というのは、決まった型を使えるようになりさらにいくつもの型やフローをクライアントに合わせて自由に活用できるようになった先にコーチが発揮する探究的・相互学習的な関わりとも共通したものがあるように感じています。
好奇心を原動力に実践する、体験から学ぶ
では、共創型のコミュニケーションとはどのように発揮されていくのでしょうか。
これまで10年にわたってコーチとして、またコーチングスキルのトレーナーとしてさまざまな方や組織・チームと携わってきた経験を通じて実感しているのは「わたしたちは現在の力では乗り越えることが困難な現実(課題)と直面したときに新たな力や視点が発揮される」ということです。
どんなに書籍を読んでも講座に参加していても、自分自身が現実の暮らしや仕事の中でそのテーマに直面していなければ、「なるほどそうなのか」「知って良かったな」で終わってしまうことになるでしょう。
学びが血肉になっていくためには、真剣に向き合わざるを得ない現実がそこにあるということが必要です。
そもそも生成的・共創的な対話というのはスキルや型を学んだり、書籍を読んだり、一方的に講義を聞いたりして身に付くものではありません。
実際に歩んできた道や価値観、視点が違う人たちと対話を重ねることによって「違いの出どころを捉える視点」や「未来をともに紡ぐ力」は段々と発揮されていくようになります。
もともとわたしたちは「体験から学ぶ」という力を持っています。
理論として整理されていることの多くは、わたしたちが普段体験していることが紐解かれたものであり(ときに体験や実感・直感に反するものもありますが)わたしたちは、そのときの自分に必要な学びの種に日々出会っているのです。
さらに、関心や好奇心を原動力にすれば、無理矢理がんばろう・学ぼうとしなくてもどんどんと自分で実践と探究を続けていくことができます。
しかし今はさまざまな情報に簡単にアクセスできるようになったこともあり、「自分が本当に関心があることはどんなことなんだろう?」「その奥にはどんな想いや願いがあるんだろう?」と自分自身に問いかけることなく、自分の外側にある情報に手を伸ばし続けるということが起こってしまっています。
気づけばいつまで経っても「正しいとされていることを教えてもらう側」「誰かが発信していることを受け取る側」で居続け、「まだ足りないような気がする」という焦りに駆られ続けるということも起きているかもしれません。
対話者として自らを深めるために
コンテンツの消費者としての学びではなく、日々を生きることと直接つながりをつくり、さらに学びから何かが生まれるような生成的な学びの場や関係性をつくることはできないだろうか。
生成的・共創的な対話を対象として学ぶのではなく、自然と生成的・共創的な対話が生まれるような場や関係性をつくることはできないだろうか。
そんな想いから、対話者としての自分自身を深めるために、自らテーマを設定し、仲間とともに実践と探究する取り組み「CO-INQUIRY for Authentic Professional -Integration-対話者としての自己を深める・さまざまな自己を統合する」を開催することにしました。
これは、2021年の1月から開催してきた「CO-INQUIRY for Authentic Professional」の締めくくりであり、さまざまな自己を統合する統合ステージでもあります。
実践探究者のみなさんの探究テーマとこれまでの旅路
この取り組みは、これまであゆんで来られた道のりも、現在のお仕事や想いもさまざまな6名の方とご一緒しています。
取り組みが始まって約2ヶ月、「探究テーマを自ら決める」という、みなさんとの実践と学びの時間から、それぞれの方にとって大切なものにつながり、深めるような体験が生まれていることを感じています。
前置きが長くなりましたが、ともに実践と探究に取り組んでいる実践探究者のみなさんの取り組みを今日はたっぷりご紹介します!
(お写真)
(綴られているものや取り組み)
Miyuki Sutoさんの日々の言葉たち
つぶやき(Twitter):日々の表現 / ビジネス感覚と宇宙感覚の共存
リフレクションジャーナル(note):
AyaさんのLinktree(SNSやPodcastなど)はこちら
嶋浦顕嶺さんの取り組みはこちら
『yoritoco七芽の羊』
「灯りで安心な場をつくり、対話で自分を知っていく」
自身の2つの活動である、「灯りのものづくりと対話の探求」を合わせた取り組みです。
岡部友理子さんのつぶやき(Twitter)はこちら
ともに学び、問いを更新し続ける
「自らテーマを設定し、実践し、探究を続ける」というのは、テーマや情報を与えられることに慣れているわたしたちにとって決して簡単なことではありません。
しかし同時に実は、とても創造的でわたしたちの命が喜ぶ取り組みでもあります。
ともに実践をし、探究をする仲間がいることで自然と「わたし」という存在や感性のユニークさが立ち現れてきて、さらに「わたし」や「わたしたち」の境界がゆらぐ。
それは自分自身や世界を見つめる視点が更新されることであり、生きるプロセスで身につけてきた囚われからの解放と、さまざまな違いを持つ他者との調和が起こっていく、そんな体験を探究者のみなさんとともにしているように感じています。
実践と探究の旅路は折り返しにやってきたところ。
そしてこの取り組みが終わってもずっと続いていくことでしょう。
これからもこの、奇跡のようなご縁でご一緒しているみなさんとともに学び、問いを更新し続けていければと思っています。
最終回を終えての実践者の皆さんの声や取り組みのデザインについてはこちら▼