「AVPN Global Conference 2024」 開催ルポ
こんにちは!AVPNマネージャーの伊藤です。本記事では、4月23日〜25日に開催された、AVPNの年次カンファレンスの様子をお届けいたします。
AVPN Global Conference 2024開催概要
日時:2024年4月23日(火)~25日(木)
会場:アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ
対象:資金及びリソース提供者
2024年のテーマ:“One Asia, One Future “
AVPN初のUAEでの開催、Global Conference 2024が凄まじかった!
AVPN市場過去最大のカンファレンスとなった今年の開催国は、アラブ首長国連邦(以降、UAE)の首都、アブダビ。「アジア最西国」UAEで初の開催となった本カンファレンスは、UAE連邦政府および国際人道慈善評議会会長シェイク・テヤブ・ビン・モハメド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下後援の下、壮大に執り行われました。
UAEとインドネシアの政府代表団をはじめ、金融、研究、開発などの分野で46の市場から1500人以上の代表団が集まりました(日本からも総勢22名が参加)。
AVPNは本カンファレンスのテーマとして「One Asia, One Future」(和訳:一つのアジアが未来を紡ぐ)を掲げ、北アジア、南アジア、東アジア、西アジアの架け橋となるとともに、広範な提携を結ぶ機会も提供し、これまでで最も包括的な会議となりました。
開催前・開催中・開催後、また、会場の雰囲気・熱気まで、本カンファレンスの「凄さ」を余す所なくルポいたします!
会場の雰囲気をお伝えするのに、まずは以下のダイジェスト動画をご覧ください。
凄さその①:ネットワーキングの熱量
カンファレンスでは専用アプリを活用し、活発なネットワーキングが行われていました。数々のセッションが行われるさなか、ネットワーキング専用の部屋は常に満室、会場の至る所で、様々な協業の機会が同時多発的に構築されていました。日本からの代表団も、活動理念や共鳴するプロジェクトを展開するアジア各国の団体との打ち合わせに挑みます。
先の専用アプリを活用し構築されたネットワークだけでも12,400件。その数からも、会場の参加者のみなさんの熱量が伺えます。それもそのはず、本カンファレンスは年に一度だけアジア各国からインパクト投資をはじめ、社会的な活動への資金提供者が集う場。各国、各団体のベストプラクティスから学び、協業をスタートさせるチャンスの宝庫なのです。
凄さその②:開催期間中に発動したイニシアチブのスケール
会期中に様々なイニシアチブの発表が行われました。代表的な項目をいくつかご紹介します。
1.AVPNの「宗教等の信念に基づく価値観が寄付を形作る方法」レポートの発表
アジアにおける宗教等の信念に基づく価値観に沿った寄付の潜在力を探求したレポートを発表。本レポートは、アジアで最も深刻な社会問題に対処するための宗教等の信念に基づく価値観に沿った寄付の役割を強調することを目的としています。また、地域内の信仰に基づく慈善家や投資家のベストプラクティスを解説し、アジアにおける影響をもたらすための共同行動を促進することを目指しています。
レポートのダウンロード(英語)
2. AVPNのImpactCollabの初期フェーズの導入
シンガポール金融庁の支援を受けたアジア初の成果型社会投資システム初期フェーズの導入を発表。社会的アウトカムプラットフォームの導入を含む本プラットフォームは、検証可能なデータ駆動型の成果に基づくインパクト評価によって資本を配分し、社会的投資の方法を変革することを目指しています。
3. AVPNとUAEの社会貢献庁(Ma'an)との覚書(MoU)の締結
既存の公共部門、民間部門、市民社会の戦略的パートナーシップを強化することを目的として締結されました。アブダビ首長国内で社会的課題に対する革新的な解決策を開発することを目指しています。
4. AVPNとUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)との覚書(MoU)の締結
アジア全域で強制移住コミュニティのレジリエンスを促進し、生計の見通しを向上させるための革新的なファイナンス*の可能性を探ることを目的として締結されました。*伝統的な寄付者に基づく人道支援を超えた金融取引のこと
それぞれのイニシアチブの今後の展開が楽しみです。
凄さその③:カンファレンス開催日前日(Day0)に開催されたプレイベントのクオリティ
カンファレンス前日の4月22日(月)にはアブダビ各地で地元パートナーとの協力による招待者限定のイベントが開催されました。
1. Climate Pathfinder Day: Adapting Today for a Sustainable Tomorrow
場所:ニューヨーク大学アブダビ校
70名以上のAVPNメンバーとパートナーが集まり、気候適応への先進的なアプローチを開発しました。本フレームワークでは、気候変動対策と社会経済発展の間の誤った理解や選択に対する活発な議論が行われました。
2. Asia Gender Network Day - A Women's Economic Empowerment Gathering
場所:サーディヤット・ロタナ・リゾート&ヴィラズホテル
主にAGN会員向けに企画されたこの特別イベントは、アジアにおける女性の経済的エンパワーメントに関する会話と知識の共有を促進しました。当日は、午前中にAlghadeer Emirati Crafts を見学した後、午後のセッションでは、ロタナ・ホテルズ&リゾーツ・グループのシャイカ・アル・ノウェイス氏による刺激的な講演が行われました。
3. Connect and Learn: Impact Investing
場所: ハブ71
アブダビ・ゼネラル・マーケット(ADGM)ビル内にあるHub71のオフィスで開催されたこのイベントは、アブダビの機関投資家、国際的な金融専門家、インパクト・ファンドのつながりを促進することを目的に、120名以上の参加者が集いました。ディスカッションでは、インパクト投資、社会的インパクト、テクノロジーの重要な交差点について探求し、地域およびグローバルなイノベーションを推進するための相乗効果を引き出すことの重要性を強調しました。
凄さその④:カンファレンス2日目のセッションは「IMPACT INVESTING DAY」
インパクト投資の促進に注力するAVPNは、今回のカンファレンスの2日目を「IMPACT INVESTING DAY」とし、「インパクト投資」に焦点を当てたセッションをお届けました。
•COP28後の必要性:気候ファイナンスの迅速化
•インパクト投資における忍耐資本の重要性
•社会変革の促進:イスラム金融の役割
•新興経済国におけるMSMEs向けのインパクト投資
•目的志向の利益を追求する:SDGs向けのプライベートエクイティインパクト投資
•インパクト投資における女性リーダーシップの推進
•インパクトの測定と管理:SDGsの達成に向けた優位性の獲得
凄さその⑤:7つの喫緊の社会課題を網羅したセッションの数々
3日間のカンファレンスでは、2つの会場で、「気候変動」「ヘルス」「若者のエンパワメント」「女性の経済性エンパワメント」「持続可能な生活」「テクノロジー」「地域」の7トピックが網羅されました。各セッションではそれぞれのテーマの戦略的エキスパートたちが登壇し、それぞれの資源を用いたインパクト創出に向けた議論が展開されました。
凄さその⑥:日本や韓国からの参加者同志の交流や現地視察
上述の通り、今回のカンファレンスには日本からも総勢22名の代表団が参加し、交流を深めました。また、韓国代表団とのランチも開催、双方の取り組みの共有や協業の可能性を探りました。
3日間のカンファレンス終了後には、今回AVPNがMoUを締結したUAEの社会貢献庁、Ma'anにも訪れ、日本と同じく高齢化が進むアブダビのコミュニティ介入の事例や国を挙げての取り組みに至る背景を学びました。
AVPNのYoutubeチャンネルでは、3日間の様子の動画を配信しています。
いかがでしたか?
少しでもカンファレンスの熱量・スケール・また会場の様子がお伝えできたことを祈りつつ、本記事を読んで少しでもご関心をお持ちいただけた方は、ぜひ来年度の参加をご検討ください。(開催国・開催日は決定次第、AVPNのSNSおよびこちらのnoteにてお伝えいたします。)
参加者の皆様は帰国後、各々の所属先へフィードバックを行い、会社や団体としてインパクト創出に向けた取り組みを加速するべく、各々の領域で活動を行われています。2024年5月10日に開催された日本での帰国報告会の様子は、以下をご覧ください。
AVPNについて ”Moving Capital Towards Impact”
AVPNは、シンガポールに本部を置く戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークです。AVPNには現在33の国と地域から資金提供者である600以上の財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等がメンバーとして加盟しており、アジアを中心に世界14か国に100名以上のスタッフが所属しています。アジア中のあらゆる資本を動員し、社会的なインパクトを生み出していきます。
メンバーの皆様には、アジア最大のインパクト投資カンファレンス「AVPN Global Conference」への割引参加、年に一度の「AVPN Social Investment Forum Japan(ご報告)」のご招待、定例の「TOKYO Visionaries' Gathering」等の特典があります。
AVPNメンバーには、資金提供者である財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等のみが加盟できます。ご関心がある資金提供者の方は、以下までご連絡ください。
お問い合わせ先(日本語・英語での対応)
japan@avpn.asia
日本語でのお知らせは、以下でも発信しています。
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