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ストック/フローの間にある漫画の楽しみ

あなたは漫画をどう楽しんでいるだろうか?
雑誌派?新刊派?それともアニメと並行して見比べるだろうか?

マンガの味わい方には、両極端の性質がある。
その部分をこの記事で書いてみたい。
きっと、作品と自分の距離感をとらえなおすことができると思う。

私には、最近まで「マンガの迷い」があった。

以前は毎週のように近所のマンガ喫茶に通い、
興味のある作品を30本ほど同時フォローする
「ヘビーリーダー」だった。

しかし、その漫画喫茶が閉店してしまい、
別の店まで車で25分もかかるようになった。
これが、マンガを読む習慣に悩むきっかけになったのだ。

1冊読むのに30分、コストは150円程度。
フォローする作品が増えたり、発刊までの間隔が空いたりすると、
前巻の内容を思い出すために読み直す必要が出てきて、
時間がどんどん減っていく。

自分は一体、マンガにどれほど時間とお金を費やすつもりなのだろうか。
そう冷静になり、マンガ喫茶から足が遠のいた。

人気作で完結したものを、まとめてレンタルで読むようになった。
だが、これにも欠点がある。
一気読みは重い腰を上げる必要があるし、
新刊を追うときの「新鮮さ」も薄い。
面白そうな作品を無造作に手に取る楽しさも、どこか制限されてしまう。

この悩みは2年ほど続いた。

その間、「いっそ散財して、欲しいだけマンガを買えばいいのでは?」
という衝動に駆られたこともある。
しかし、それでは日常生活に支障が出てしまう。

マンガには、アニメという別の形で楽しめる作品も増えた。
だが、原作がすべて動画化されるわけではないし、
アニメだけで完結するのかもわからない。
今はマンガよりもアニメの方がコストも安くなっている。

これはフロースタイルとストックスタイルの対立だ。

新刊や雑誌連載を追う「フロースタイル」は、
「今」の新鮮さや熱中を得られる。
その「今」はすぐに過ぎ去ってしまい、
いろんなものを消費し、時には忘れてしまう。

一方、完結した作品を読む「ストックスタイル」では、
より確実なコスト感覚と満足感が得られるものの、新鮮さは薄い。
興味ある作品の「完結」を待つまでは時間や忍耐も必要だ。

「作品の確実な楽しみ」を求めることは思ったよりしんどいことだ。

ただ、最近結論を出した。こう考えることにした。

「1人の人間がフォローできる作品には限りがある。
作品は無限に生まれ続ける。ならば、どう楽しみたいのか?」

なんだか人生論に繋がりそうな問いかけだ。

今すぐ読みたい作品もあれば、じっくりまとめて読みたい作品もある。
読み返したい作品や、放置したままの作品もあるし、
原作よりアニメの方が印象的なものだってある。
それらを、全部一緒くたに特定の型にはめるのではなく、
柔軟に楽しめばいいのだ。

ストックか、フローか。両極端に走る必要はない。
作品が面白ければ、
あとは「時間」と「お金」と「楽しみ方」の相談になる。

タイパやコスパは大切な指標だ。
「自分がどれだけ楽しんでいるか」は、それだけでは測れない。

フローで熱中しても忘れるし、ストックしても新鮮さは風化する。
結局、「今を味わい、余韻に浸ること」が大事なのではないか。

製品テストのように、「完璧な楽しみ」を求める強迫観念は捨て、
もっと無骨に、気ままに読んでもいい。

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Avo
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