大阪都構想住民投票で、大阪ではこんな声があがっていた。
2020年10月31日(土)に大阪市中央公会堂において開催された「マツリゴト OSAKA 2020 The Forum」についてのレポートをお届けします。
このイベントは一般社団法人UMFが主催し、いわゆる大阪都構想(大阪市廃止・特別区設置)住民投票の投票率を向上を目指し、開催されました。
本セッションでは「わたしと都構想」と題し、前日に迫ったいわゆる"大阪都構想住民投票"の論点を整理したり、ジャーナリストの堀潤さんや若者登壇者たちとともに政治のギモンについて対話を深めるセッションです。(モデレーター:一般社団法人UMF 代表理事 高村治輝)
なお、オンライン配信のアーカイブもありますので、ラジオ感覚で聞きたい方はぜひこちらからご覧ください。
この記事のPoint!
・いわゆる大阪都構想住民投票で住民からどんな声があがっているのかがわかる
・政治の抱える問題点が理解できる
・政治を見る時のポイントを掴める
ぜんじろう)
次のテーマですね「わたしと都構想」というテーマですね。
角野天音)
いよいよ前日に迫った大阪構想住民投票を前に論点をはじめ、そもそもの政治参加の意義をこれからの社会・大阪を担う若者達と一緒に考えます。
ぜんじろう)
はい、いかがでございますか?考えておりますか?
角野天音)
私はですね、この場のMCを依頼していただいた時に「あ、都構想についてか」ということでちょっと勉強させていただいたんですけど。それでいざ勉強して、よし投票行こう!と思ったら、私あの大阪市民ではなかったので行けないってなって、残念。
ぜんじろう)
まあそれも1つ考えることですからね。
角野天音)
まあね、知らないよりは知っておいて。
ぜんじろう)
もっと言うと知らないっていうことを自覚することも主権者の1人ですから、政治は何かというと政治家が主役でなくて、我々、市民だったり国民が主役なんでね。そういうこと一個一個考えていくことが必要。しかもそれをまたエンターテイメントにしていると素晴らしい理念を掲げたこのイベントなんです。
この対談もですね、進行役・モデレーターを致しますのは本公演の主催者であります一般社団法人UMF代表理事の高村治輝、こちらの方が担当致します。じゃあまたちょっと遠くなりますけどもまあオンラインで観てる方も会場で見ている方もしっかりですね楽しんでいただきたいですね。
角野天音)
そうですね。都構想についてね、色々考えてほしいなって。やっぱりなんだろう私の周りの人とかにも「都構想どう思う?って言ってもあんまり考えてなかったり。大学生の人でも「あんまりわかんない。大阪がなくなるのは寂しいけどなぁ」みたいな感じなんですよ。
ぜんじろう)
大丈夫ですよ。松井市長もそんな考えてないんですから(笑)雨合羽松井なんて僕はちょっと言ったりするんですけど(笑)
角野天音)
大丈夫ですかそれ(笑)
ぜんじろう)
大丈夫です。シャレなんで、社会風刺としては。びっくりでございます。自分の市やのにも関わらず大阪市無くしましょうみたいなことをね。これはびっくりですよ、社長になったのに社長が分社化しましょうみたいな。ここもおいおい、こんなことも言っていったり考えたりするのも1つですからね。僕は職業としてシャレを言わせていただいたということでございますけどね。どういった対談が飛び出すか楽しみですけれども、それではよろしくお願いいたします。
高村)
はい、ということでですね。第2部、今回は「わたしと都構想」と言うところでですね。皆さん明日、住民投票が行われるというところで、今回は論点の整理であったりとか、あとはそもそも政治ってなんなんだろう?というところを向き合っていけたらなと思っていますのでこのセッションも是非皆さんで盛り上がっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ありがとうございます。ということで今回もね、豪華パネリストが来ております。というところでメインの登壇者としてこの人をお呼びさせて頂きます。ジャーナリストの堀潤さんです。ではこちらのVTRをご覧ください。
それではご登場いただきましょう堀潤さんです、どうぞ!
堀潤)
皆さんこんにちは、よろしくお願いします。いい会場ですよね。めちゃくちゃ歴史ある建物で。
高村)
そうですね、重要文化財として本当に多くのイベントを、大阪市を見てきた存在の歴史的な建物ですね。
堀潤)
僕も生まれは兵庫県神戸でその後ずっと箕面市に高校に行くまでいまして、で箕面市から見ると大阪の発展というのは箕面市にとっても死活問題でした。だから今回も僕も関西の番組にも出させていただくようになって、すごく注目して大阪都構想を見ているんですけれども。やっぱり今日も各賛成・反対それぞれの現場の皆さんの声を聞きいっていました。
寄って立つ数字によって全然見え方も変わってくるし、どちらかというと互いが互いにそれは違うと言いあっている中で、「僕はどっちでもないんだけど、どっちがいいのかなって。本当のこと知りたいんだけど」と思って現場に聞きに来ている聴衆の方もいらっしゃったりして。
今日はだからやっぱり政治の問題って、ある意味こうプロパガンダ的なね、「これが正しい!そうだろうみんな!」と呼びかけじゃなくて何をみんなで考えなきゃいけないのかなー?っていうようなね、そういう時間を直前ですけども作れたらいいのかなと思って参加させてもらいました。
高村)
ありがとうございます、よろしくお願いします。はい、というところでですね、自己紹介も含めてですね、今されている取り組みのところちょっとお伺いしたいなと思います。
堀潤)
ありがとうございます。いま、元NHKアナウンサーなんて書いていただきましたけれど、元々NHKにおりまして2001年の入局で、2013年までおりました。初任地は岡山放送局。5年間やった後に東京に転勤して『ニュースウォッチ9』という番組を立ち上げをして、その後、夜の経済ニュースの番組のキャスターを2年間やりました。
で、その頃ちょうど東日本大震災原発事故もあって、それこそニュースの現場って100人いれば100通りなんですね。ところがニュースの現場って新聞社とかテレビ局の人が選んだ現場がニュースになっていて、100人いればその内の1か2ぐらいしか伝えられてないんじゃないかという思いもあり、ですから僕はちょっと外に出て100人いれば100通り。でも2人しか伝えられていないんだったら98の皆さんと一緒にニュースを伝えたいということで、誰もが発信できるニュースサイトっていうのを立ち上げてですね、そういった活動を中心に皆さんと一緒に発信していこうという取り組みをやってきました。
ワークショップを開いたりして発信したいことがあるんだけれども、どうやって撮影すればいいですかとか。ちょこちょこ撮ったりはしているんですけれどもこれ編集して出すにはどうすればいいんですかとか。いや、堀さん、わたし動画撮って出してるんですけれどもyoutubeってあのすごい世界に通じるって言ってた割には一生懸命作っても再生回数が5とかどういうことなんですか?そういう皆さんと一緒になってじゃあ発信しましょうと。
なので僕は今テレビもやったりラジオもやったりしますけれども、みんなと一緒にじゃあその映像やその情報をほかのメディアにも流していこうと。テレビでもやろう、ラジオでもやろう、映画にもしよう、インターネットでも出そうと。
ですからもしインターネットでご覧いただいている皆さんや会場にいらっしゃる皆さんで堀とあれを伝えたい、これ一緒にやりたいっていうのがあれば我々の方に連絡いただければ「じゃあ一緒になって出しましょうか」っていうことが可能になっています。
災害の時には自分のLINEのIDとかを公開してですね、「あの堀さんここに取材に来てください」とか、「なんでメディアここを取り上げてくれないんですか」そういうのがあったら僕の LINEに連絡ください。一緒になって発信して行きましょうというようなこともずっと続けてきました。
高村)
素晴らしいです。もうそのジャーナリスト精神のところだけでももう1時間、2時間話せるくらい。
堀潤)
これはね本当にメディアが変わらなきゃいけないですよ。あのう政治が云々ってね、メディア上の中でいろんな人たちがいろんなコメンテーターもいろんなジャーナリストたちも言いますけれども。おそらく観ている方は政治もあれだけどもメディア、あなたたちも変わらなきゃいけないんじゃないかな?そう思われている方、結構多いんじゃないでしょうかね。
まあ、そういう不満もあった。僕はNHK時代にそういう声を聞いて、で先輩!とか上司!とかね。上司!とは言わないか(笑) 何とか部長!とか言った時に、やっぱりね本気でねメディア不信なんてどこにあるんだって返された事もありました。
やっぱりこうあの狭い業界の中にいて、いくら現場主義だと言っても自分が伝えたいニュースの現場ばかり取材しての現場主義だったら本当にそこからはじかれてしまっている人たちの声って届いてないんだなということを実感しまして、ですからまさにこうやって対話を続けながらね、いろんな現場の人たちの声を聞きながら発信して行くような「使えるメディア」っていうのが必要なんだろうなあって思っています。
高村)
はい ありがとうございます。僕もすごく大好きな人の1人で、今回の政治、大阪都構想住民投票に関してもやっぱりこう政治となると主語がかなり大きくなっちゃいますね。
その中で結局まあ賛成・反対の意見もわかるけれども、それが自分にとっての当事者性というのを感じづらくなるし、問題の論点の先にある「人」って誰なんだっけ?誰が言ってるんだっけ?というところを見失いがちな中で、1人1人の生き方だったりとか考え方に当てはめて考えていくっていうのは本当に政治を語る上ではすごく大事だと思っていますし、今回、僕らは賛成反対のそういう応援・批判するという立場ではなくてね、中立的に行わせていけたらなと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。
高村)
ということでまあ今回ね、見てる人たちもね、何を語るんだというところが気になっていると思いますが都構想、どうですか?大阪を見てみて。
堀潤)
そうですね、これはね大阪の話に止まるのはもったいないと思いながらいつも聞いてます。逆にあの大阪の皆さんは、大阪でこの都構想の問題に関心を持っている皆さんは ほかの自治体の皆さんよりも行政の仕組みってこうなんだとか、予算ってこういう風に使っていて予算ってこんなふうに決められるんだとか、そういうことをより実感を持って体感されていると思うんですね。
でも、こういうことこそ本当は全国の各自治体で考えるべき。というのが今、選択の岐路に立たされているんですよ。例えば、経済効率を重視する皆さんからはもう地方なんてほっといて、もう廃れていくだけなんだから。もう住む場所も全部集約してコンパクトシティで移り住んで頂いて駅に近い都市部に人口を集めて効率よくやっていきましょうって。そうだそうだそういう改革が必要だという声もあります。
高村)
なるほど。
堀潤)
でも一方で、いやいやちょっと待ってくださいと。慣れ親しんだふるさとをじゃあ捨てるんですかと。大事にここまで守ってきたものがあるじゃないですか。そうした地域の暮らしや文化を大切にして、たとえ少人数であってもあぁここに生まれてよかったねそういうやり方だってあるんじゃないですか?って。こういう考え方もありますよね。
どういう未来を選択するのかっていう、ビジョンが今、選択が必要なときで。なので今まさに大阪で起きているこの都構想。もしくは大阪市の廃止の問題に関してはどういう街づくりを未来にするのか。
それは自由化をどんどん進めて成長して行くというモデルなのか。それとも足場を見ながら暮らしを見ながら成長を目指すのか。そういう選択。これはもう本当に全国の自治体を抱えている悩みそのものですよ。それは東京も本当はそうですよね。ですからあの大阪の話だけじゃないですよというようなことはなるべく僕は言うようにしています。
高村)
今回でいうと大阪都構想、大阪市廃止・特別区設置の大きな論点としては二重行政そして住民サービスの拡充というところが上がっていますが、それに対するアプローチの違いが、リターンを重視して行っていくのか、リスクを懸念して地を固めていくのかというところが大きく賛成・反対派で分かれるかと思うんですけれども。やっぱ基本的な思いとしては変わることにはまあ賛成というか、良くしていこうという気持ちはすごく皆さん持ってはるなと言うところは感じてまして。
ただ今このコロナの情勢で行政が1番大変な時にまた負担をかけて、コストを掛けてやるべきなのか。それとも万博が控えてるから、そこからもっともっと勢い乗せて第2の首都を作ろうじゃないかという思いもあったりと。
いうところでこうして聴いていくと反対派・賛成派両方とも思いがあるんですけどだいぶ主語が大きいですよね。その中で実際に町の人たち、政治家の人の話でもいいんですけれどもどんな声が上がっていたかというところがあれば教えてほしいですね。
堀潤)
例えば、「コロナで大変な時に何をやってるんですか。こんな時こそ住民の暮らしを今どう支えるのかということにやってほしい。」そんな声は実を言うと今日僕は生野の方にいまして、地元の生野の商店街連合会だったりとか地域の町内会などの有志の皆さんが私たちは反対ですという立場で街頭に立って、しかもゲリラ的に。
その地域内の各地を回って人がいそうなところに行っては演説をするというのをやってらっしゃる。まさに今、お話しされたような「他にやることがあるんじゃないんですか?私たちの暮らしの苦労・苦境届いてますか?」そういう訴えですよね。
でも一方で、今度は大阪都構想は賛成・推進ですと。今日は天王寺駅前で吉村さん含む維新のみなさんが演説をやっていて、そこでやっぱり出てきたのは「コロナだし、コロナだからこそというか、落ち込んでしまう経済をこれから立て直して行くというかさらに成長させるために今必要なんです」と。
今度はこういう訴えになってくるわけですよね。これはじゃあどっちかが大きな間違いでどちらが正解かと問われると、それがなかなか難しいですよね?鶏と卵どっちかと。
でも一番、僕は政治家に求めるのは、どういう山の登り口をするにしても大前提、情報が公開されていて参加者が自由に出入りできるような開かれた場であること。で、フェアであること。
それはどっちを先にやるかっていう話をするのにある人には情報が与えられない、ある人は情報を握っている。こういう状況は嫌ですよね?ちゃんと判断できないからね。で、見極めが今度は必要になってくるわけです。双方の立場から言うとやっぱり自分たちが理する情報から発信します。それは双方そうです。
ただその時にもし「それ違うんじゃないですか?」という声が上がった時に、どんな姿勢で耳を傾ける人たちなのかなあということはね、よく見てるんですよ。
高村)
なるほどなるほど。
堀潤)
僕なんかでもですね、普段「こうした方がいいと思っています」っていうじゃないですか。そしたらツイッターとか見ててもやはり「堀、それは違う」「何言ってんだ」っていっぱいきます。
で余裕がなかった頃。「いや、それは違うんです。そんなこと言わないでください。いや違う。」って言ってました。で、余裕が出てきてからは「あっ、そうか」と。1回受け止められるようになりました。「どういうことですか?もうちょっと聞かせてもらえませんか?」って。
僕はやっぱりいろんな人と対話をすることの大切さというのは、決める前の対話はお互いのカードをまず差し出し合ってみようかと。僕このカードも全部持っています。今までだったらここにジョーカーがあるのは絶言いませんだったんだけど。「今日は対話ですから言いましょう」とフェアに。ジョーカー持ってます、これをいつ切るかが僕のこの後の勝負どころですと。
こういう会話ってのは1回持っているカード全部開いてみて、じゃあここからどういうルール作りするかと。それが対話。でも一足飛びいきなり決める議論。「どっちが正しいのか証明しよう!」ということからはじめると、もう途端に、もう手の打ちが見せたらもうそれで負けということになってしまうじゃないですか。
政治の選択こそ、本当は1回カードを開くっていうやっぱり場が必要で、だから今日はこのあと先ほど打ち合わせの時にも実際どうですか?と聞いてみると「ああ、もうよく知っています」というこもいれば、「いや。まだこれからなんです」というこもいれば、「全く関わることがなかったんです」ってこもいたし、それぞれの立場から今どんなことを思っているのか、どうしたいのかというのをカードさらけ出す時間を作りたいなと。
高村)
そうですね。