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Beast In Black『From Hell with Love』(2019)

フィンランド産のメロディックパワーメタルバンドBeast In Black

もともとBattle Beast のギタリストだったAnton Kabanen がその脱退後の2015年に新たに結成した メロディック・ヘヴィメタル / パワーメタルバンド がBeast In Black で、バンドのコンセプトは引き続き三浦健太郎先生の不朽の名作漫画『ベルセルク』にちなんでいる。

2017年にNuclear Blastと契約、デビューアルバム『Berserker』をリリースし、そのキャッチーかつメタルメタルしいサウンドは母国フィンランドでは13位、他国でも軒並みチャートインを果たす。

2018年にはDrをギリシャ系フィンランド人のAtte Palokangas に変更、さらにBassをポーランド人のMáté Molnár (ex Wisdom)に変えることで一気に多国籍バンドに変貌、その後リリースされた本作『From Hell with Love』は、前回の課題だった音の軽さを解消しつつ、さらにシンセサウンドを全面に出してさらにポップになるという脅威の進化を見せた一枚。

From Hell With Love


そこに散りばめられた煌めくメロディはどれも脳に瞬間的に記憶されるようなキャッチーなもので、稀代のクサメロディメイカーとしてのAnton Kabanenの才能が遺憾無く発揮されている。

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Anton Kabanen - Guitar
Yannis Papadopoulos -vocal
Kasperi Heikkinen - Guitar
Máté Molnár - Bass
Atte Palokangas- Drum
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■Cry Out for a Hero
開幕からXametaler大歓喜の必殺メロディの洪水とやや金属的なYannisの高音Voが響き渡る。
ポップでありながらしっかりとドスドスとドラムが美旋律を下から煽りまくる熱い展開に”間違いなさ”を感じる。


■From Hell with Love
アルバムタイトルトラック。
シンセがキラキラする透明感あふれるサウンドと、正統派メロディックパワーメタルの芯の太さが合わさった硬軟自在な曲。
漢臭さが信条のパワーメタルをうまく甘いスイーツで包み込んだかのような味付けで、メロパワ初心者にもお勧めしたい良曲。

■Sweet True Lies
80年代のPoisonやW.A.S.P.よろしくLAメタルの香りが止まらない煌びやかなコマーシャルロック。

■Repentless
一転、KamelotやRhapsodyリスペクトを深く感じるシンフォニックメタル。
そういやYannisの声もロイ・カーンになんとなく似てたり。。。?
ギターソロはメロディアスかつテクさを見せてくる元Sonataのヤニ リマタイネンかHammerfallのオスカー・ドロニャックあたりの強かさが垣間見える。

■Die by the Blade
Lordi並のキャッチーさとちょい足しの暑苦しさを織り交ぜるポップな一曲。
シンセのキラりとしたリードが要因として最も大きいが、ギターの重さも意外とある事に気付く。

■Oceandeep
あれ女性Voゲスト?と聞きまごう程、絹のような儚い高音ボイスでしめやかに歌われるチューン。
メロディも美しいし、単純にYannis Papadopoulosのスキルが高すぎるだけなんだが、なんかちょっとしたキモチワルサと違和感は拭えず…
■Unlimited Sin
元気に飛び出すキーボードに続いてヒロイックに歌い回すYannisが存在感を放つ大仰なハードロック。

■True Believer
小刻みにピコリ出すシンセがポップさを誘発するが、しっかりと重いギターは健在。
「True Believer〜」シンガロングクワイヤしているメインコーラスに熱く絡みつくYannisの金切り声がどことなく80年代のハードロックの風体でもうニヤケがとまらない。
■This Is War
ミドルでズシズシ進みながら、突然柔らかな匂いのする花園に迷い込んでしまったかのような中間部を挟み、再びズシズシ展開に帰ってくるやや展開がある曲。
■Heart of Steel
イントロのキラリとしたKeyは隣国スウェーデンの大先輩Europeの影響や、ここでもHammerfallの姿が見え隠れしてしまうその世代にとってはご褒美でしかないラストチューン。
キーボードソロに続いて、ハーモニクス多めの、まるで暴れまわる大蛇を必死に抑えるようなギターソロが飛び出すのも微笑みを禁じ得ない。


■No Surrender
これは熱いメロハー。
ベースラインがとてもいい仕事してる。
アルバムの開幕曲「Cry Out for a Hero」と対を成すアップテンポでテンション直上げ必至の傑作。
いい仕事してるベース貼っておきますね。


■Killed by Death
Motorheadのカバー。レミーが憑依したかのようなハスキーでダンディーな歌い方で頑張ってます。
原曲のリスペクトをしつつも自身のストロングポイントも表現している非常にいいカバーです。

■No easy way out
お馴染みRockey4の劇中歌のカバー。
Bullet for my valentineのカバーに比べてシャウトしていてソリッドな感じ。


総合満足度 85点

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