August Burns Red 『Constellation』(2009)
米ペンシルヴェニア州出身のクリスチャンメタルコア5人組、August Burns Redの3rdフルレンスアルバム。Tooth&Nail Recordからリリース。
前作がかなり評価が高かったため、リスナーのハードルはかなり上がりきった所だったが、本作はその期待を軽く上回る出来。
Djent風のテクニカルなギター、大地を引き裂くようなブラストビートやヘヴィなブレイクダウン、エモーショナルなグロウル、そして万華鏡のように次々と美麗でキャッチーなメロディを繰り出す様は、当時も今聞いても
最高レベルのメロコア作品。
2019年には新たにリマスター&リミックスをほどこしたリリース10周年記念盤を発表したが、あえて荒々しさが残るオリジナル版の方を紹介。
—————
Jake Luhrs – lead vocals
J.B. Brubaker – lead guitar
Brent Rambler – rhythm guitar
Dustin Davidson – bass, backing vocals
Matt Greiner – drums, piano
—————-
■Thirty And Seven
J.B.の鋭利なギターが自由自在に舞い、Jakeが咆哮系のVoを所狭しと喚きちらし、
叙情的な一面が垣間見えたかと思いきや、すぐにスラッシーな場面になり、スローダウンして地に叩きつけられたかと思いきや、次の瞬間にはブラストビートで光速で飛び散る音の波に飲まれている。
複雑で、叙情的で、心地よい激音が開幕から迫ってきます。
■Existence
雄々しく踏み鳴らすバスドラとベースのビートにギターを絡ませてテンションをぶち上げてきた所で、強烈なブレイクダウンをしっかりと挟んで落としにかかる。
ギターソロは短いながらもとてもメロいし、そしてテクい。
■Ocean Of Apathy
メロコア版Iron Maidenとでも言うべき主張の強い勇壮なギターリフで始まり、すぐにDjent風味溢れるテクい展開に変化する。
途中、クリーンでブルージーなパートがあり「本当に同じ曲か?」と思うくらいの温度差を感じる。
展開が早くて複雑怪奇な高品質プログレデス。
■White Washed
Djent感を感じる疾走系メロコア。
ブラストビートは狂気を感じるくらい速く、それでいて決して雑にならないタイトなリズム隊はほんとグッジョブの一言。
疾走するぞ、疾走するぞと見せかけて急ブレーキを掛けてスローダウンするとむち打ち的に頭が振れてしまうではないか!!
■Marianas Trench
美しいクリーンギターとマンドリン(?)の調べに導かれて鋭利なギターサウンドが飛び込んでくる。
緊張感のある前半から2:10あたりで急にグルーヴの雰囲気が変わる感じが大好きです。
この煽るようなリズムと美しいギターソロ、Djentを感じるサウンドの絡みもっと聞きたいよー!!と思わせておいて、そんなのお構いなしにどんどん先にいってしまう感じ、それも大好きです。
■The Escape Artist
不穏な音作り、展開、最後のピアノで終わる感じなんかめちゃくちゃアーティスティックなのにEscape Artistっていうタイトルがメタルでまたいい。
■Indonesia
アルバム唯一のクリーンボイスが聴けるが、これはBETWEEN THE BURIED AND ME のTommyの声とのこと。
バッキングではあるが、この流れでいきなりクリーンがくるとちょっとびっくりする。
■Paradox
コンパクトながらテクいギター、ヘヴィなリズム、変態的なテンポチェンジ、哀愁メロディ、メロコアのいい所全部詰まってる曲です。
■Meridian
朝の海辺を思わせるようなおだやかでセンチメンタルな面をゆらゆらと見せるインスト曲。
激しい曲の間の箸休め的な落ち着く曲。
■Rationalist
簡潔だが、簡単に解釈することはできない複雑な展開を見せる曲。
感情揺さぶりまくるフレーズが出てきてもすぐに展開していくので、感動が追いつかない…
■Meddler
彼らを一躍有名にした伝説の曲。
様々な展開が次々に飛び出してくるのに、どこを切り取っても説得力と聴きごたえのある最高品質のメロコアです。
PVもかっこいいので、ぜひ。
■Crusades
美しいメロディ、疾走するリズム、落とす所はちゃんと落としてアグレッションを忘れない。
モダンなサウンドながら、どこか野生的な要素も感じる。
様々な二律背反要素と、温度差をきれいに並べ切ることが出来るのが彼らのアイデンティティなんだなと改めて思った。
グラミー賞ノミネートは伊達じゃない。
総合満足度 91点(一曲目から色々燃えたぎるレベル)