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わたしの美しい庭 / 凪良ゆう

ここ数ヵ月、日常生活を送るのに精一杯で本を読めていなかった。
でも最近はだいぶ落ち着いて読書をする時間をつくれるようになったので以前から気になっていた凪良ゆうさんの【わたしの美しい庭】を読んだ。

【あらすじ】
小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるが――

わたしの美しい庭/凪良ゆう

【読んだ感想】

・優しくてふわふわの毛布で包み込んでくれるような文体に癒される。
・登場人物の心の内面が繊細に描かれていて、感情移入しやすい。
・大切にしたいものや、人を形容する褒め言葉の軸が増える。
・表面的な思いやりや「普通」の押し付け、社会の大抵の人が感じているであろう閉塞感を綺麗に言語化されている。
・縁切り神社という特殊な舞台を活かして三者三様の閉塞感から立ち直る過程がドラマチックに描かれている。
・登場人物のセリフにハッとさせられることが多い。名言製造機。

装丁まで美しくて見惚れてしまう一冊

その中でも口に出したくなるような名言と言ってもいいくらいのフレーズが何個か出てくる。頭の中で何度も反芻してゆっくり咀嚼したくなるくらい考えさせられるものだったのでいくつかあったので紹介していこうと思う。

「わたしの中には、たった一度の雷鳴が今も響いている。
たった一度の恋が、永遠になってもいいじゃない。
誰かに証す必要なんてなく、わたしはわたしを生きていけばいい。」

わたしの美しい庭/凪良ゆう

「根本的な解決にはなっていないけれど、生きていく中でなにかが根っこから解決するなんてこと滅多にない。しんどい。つらい。それでも明日も仕事に行かなくてはいけない。だからとりあえず明日がんばるための小さな愉しみを拾い集めていくことが優先される。」

わたしの美しい庭/凪良ゆう

「理解できないならできないでしかたない。
だったら黙って通りすぎればいいんだ。
なのにわざわざ声かけて、言い訳して、路有に許されることで自分たちが安心したいんだろう。けど良心の呵責はおまえらの荷物だよ。
人を傷つけるなら、それくらいは自分で持て。

わたしの美しい庭/凪良ゆう

他にも、
「幸せに決まった形なんてない」

「誰かに明かす必要なんてなく、私は私を生きていけばいい」

「善い行いも悪い行いも、全部自分に返って来る」

「何も持ってないのは哀れかもしれないけど、気楽でいい場合もあるよ」

「どんなに素晴らしい主義主張も人の心を縛る権利はない」

「失うことや持ってないことで得られるものもある」

「嫌な思いをすることも、まるっきり無駄ではない」

「事実というものは存在しない、存在するのは解釈だけ」

「手を取り合ってはいけない人なんていないし、誰とでも助け合えばいい。それは世界を豊かにするひとつの手段」

など自分はどうだ?本当にこの登場人物たちのように生きているか?と自問自答させられるような言葉がたくさん出てくる。もし自分の在り方に行き詰ってる方・「普通」や「当たり前」に疑問を抱いている方は読んだ後心がスッと晴れるような感覚になるかもしれないのでぜひ読んでみてほしい…。

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