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【ピアノ日記】思いがけずロシア奏法の巻

以前noteにも投稿したのだが、昨秋イリヤ・イーティンさんのリサイタルを聴き、ドビュッシーの前奏曲で「何だこれは?! 魔法?」と、その音色の多彩さに度肝を抜かれた。

「私もあんな音出せるようになりたい!」と憧れ、研究していたのだが、全くあの時聴いたような音を出せず…。せいぜい強弱と、打鍵のスピードを変えてみるくらい。

そんなある日、たまに行く古本屋で、「響きに革命を起こすロシアピアニズム」(大野真嗣著)という本を見つけ、面白そうだから買って帰った。
読んでみると、「あの時のイリヤさんの演奏は、このいわゆるロシアピアニズムとやら、だったのでは…?」という内容。

ピアノ界隈で最近よく耳にする言葉、「ロシア奏法」(著書の中では「ロシアピアニズム」という名称で統一)。よく聞くけど何のことか分からず、以前は単に「ロシアの作曲家の作品を弾く時に使う技術なのかな?」ぐらいにしか思っていなかった。

しかしこの本によると、ロシア奏法は、ロシア人作曲家の曲を弾くためのものではなく、あらゆる作曲家の作品にも適用できる奏法とのこと。

さらにさらに読んでいくと、私が今受けているアレクサンダー・テクニークの先生から習う内容は、これに近いのかも?と気付いた。いつもアレクサンダーのレッスンの後に、それを応用した形でピアノの奏法のレッスンも受けているのです。その内容はと言うと、例えば肘を外に開かないようにしたり、手首を内側に寄せるやり方など。それで、レッスンの時に伺ってみたところ、やはり先生の教えは、いわゆるロシア奏法として総称されているものとのお答えだった。

どうやら、日本のピアノ教育界では、オールドファッションな(?)ドイツ・フランス式(=西欧式)がいまだに主流だが、外国ではロシア式が多いらしい(もちろん西欧式もまだあるみたいだが)。
第二次大戦中にアメリカに亡命したロシア人ピアニストも多かったので、アメリカもロシア奏法の本場で、中村紘子さんがジュリアードに留学して習ったのはこの奏法だったそう。

私も例に漏れず子供の頃から西欧式で習ったし、アレクサンダー・テクニークではなく普通のピアノのレッスンでは、今でもこちらで習っている。
西欧式の特徴は、指の上げ下げで弾くこと。指が一本一本独立していて、指さばきで弾くというイメージかな?

ただ私、指の器用さでなんとかすることの限界を、ここ最近ものすごく感じていまして。
というのも、子供の頃は脳と指が直列つなぎでリンクしていたので、指先の器用さだけで弾けたんですが、大人になって再開したらあの頃の器用さがなくなっていたんですな。それでミスタッチが怖くて自信をもって弾けないし、そもそもこのやり方だと、曲ごとに固有のフレーズを練習する時に、膨大な量の部分練習が必要になる気がしていて。
従来の指さばき方式で弾く弾き方より、アレクサンダーの先生から習う弾き方の方が、実は弾きやすくミスも少ないなと常日頃から実感してまして…。
ただ、今まで受けてきた教育とあまりにも違うので、戸惑いもあったというのは事実です。

が、これがあの世間でよく名前だけは聞いていたロシア奏法だったと分かり、自分の中で整理がついたので、なんかスッキリした。今後はロシア奏法を積極的に取り入れてみたいなと思ってます。今までの奏法と違うところは、うまく折り合いをつけつつ柔軟に…(そんなことできるのかな?)。
それに、ロシア奏法で多彩な音色も出せるようになったら、すごく嬉しい。

奏法のことでまた何か気付きがあったら、noteにも投稿していきたいと思います。
とりあえず今度の2月2日、またイリヤ・イーティンさんのリサイタルが東京文化会館であるので、あのロシアピアニズムの音に浸れるのを楽しみにしています♪

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