決定的に重要な少数とは【エッセンシャル思考】
今回紹介するのは、
「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」です!
2013年に出版されたものの、今もなお書店の店頭に並ぶほどのベストセラー。情報にあふれ、仕事でも人間関係でも選択肢が多すぎる現代だからこそ、表紙にある「99%の無駄を捨て1%に集中する」という文句に惹かれて手に取る人が多いのでしょう。
「最小の時間で成果を最大にする」の文言から予想できる通り、書店では「仕事術」コーナーにありました。しかし、仕事術以上に、自己啓発、暮らし術に近い印象です。
「仕事で毎日忙しくて余裕がない」「何かに常に追われている」と感じている人はもちろん、「人間関係に悩んでいる」という方も一度読んでみることをお勧めします。
それでは本文を個人的解釈のもと、少しだけ紹介します!
ほとんどのあらゆるものは、徹底的に無価値である
経済学で有名な「80VS20の法則(パレートの法則)」は成果の80%は20%の努力に起因するという法則です。1896年に提唱されたこの法則は今でもコンサルタントの現場で用いられるほど支持されています。
悲しいことに努力量に比例して成果が伸びるという神話を信じてきた私には衝撃的でしたが、多くの学者がいうのであれば間違いないでしょう。
この法則から導かれることは、大事なことは全体の20%にすぎないということです。テストのための勉強も、営業成績を伸ばすための施策も、80%は結果につながらない傾向があります。
現代では、80VS20の法則は拡張され、あるリーダーシップ論の権威は「ほとんどのあらゆるものは、徹底的に無価値である」と述べています。成果につながらない80%に価値がないとは思いませんが、それほど決定的に重要な少数が存在することを主張しています。
エッセンシャル思考は、20%の努力を特定し、いかに効率よく成果を出すかに焦点を当てています。
ノーと言える人は仕事ができる
「マネジメント」の発明者である、ピーター・ドラッガーは、「ノー」を言う天才だったと紹介されています。
「ノー」を禁止することで人生が好転していく様を描く「イエスマン ”YES”は人生のパスワード」という映画が有名ですが、エッセンシャル思考では、すべてにイエスで応えることは許されません。
(映画ではイエスを言うことで前向きな思考につながっていたことが成功の要因だと感じました。つまり、大切なのはイエスを言うことではなく、前向きな思考であり、少し論点がずれそうなので追って言及はしません。)
とはいえ、何か頼まれごとをされたら、イエスと言いたくなってしまうのが私の性分です。
「依頼を断った時に相手の期待を裏切ってしまう怖さ」がいつも頭にあった私ですが、「関係性の問題」から切り離して考えることが重要だと本書から学びました。
依頼を断られたら相手はがっかりすることは事実ですが、敬意を伝えることはできます。ただ、「できません。」で終わらせるのではなく、理由を添えたり、引き受けたい意思を示したり、いつなら引き受けられそうかの代案を提示したり、です。
例えば、友達に「〇日あいてない?ご飯行こうよ」と誘ったとして、「ごめん、空いてない。」と返信されると「行きたくないのかな」とやや冷たい印象を受けますが、「ごめん、行きたいんだけど、用事があって空いてないんだ。〇日なら空いてるけどどう?」と返信されるとどうでしょう。また誘いたくなるものです。
大切なのは相手に好印象を与えることだけではなく、敬意を伝えることのようです。
逆プロトタイプで考える
途中でやめることの難しさに直面することは誰しもあると思います。「サンクコストの誤謬」と呼ばれる心理的バイアスがかかるからです。
今まで自分が払ってきた時間やお金が無駄になってしまうという不安から起きるバイアスによるものです。所有物に価値を感じやすく、なかなか物が捨てられなかったり、恋人と別れられなかったりします。
エッセンシャル思考でこのバイアスを解くには逆プロトタイプを用いることが勧められています。
プロトタイプとは、大まかなモデルを作成し、本格的に取り組む価値があるかどうか試してみるという手法です。新しいことを始めるときに用いるプロトタイプですが、逆プロトタイプは、やめるかどうか判断する際に有効です。
やり方は簡単で、手放すか迷っているものを実際にやめてみればいいのです。物だったら目につかないところに置いておくとか、恋人だったら連絡をとるのをやめてみるとか(笑)。もう一度その物にお金を払えるかフラットな気持ちの状態で考えることでバイアスを解くことができるでしょう。
仕事でも同じで、これ意味あるのかな?という業務も一度やめてみると、業務の必要性が見えてくるかもしれません。
おわりに
科学技術が加速度的に発展する中で、10年後の世界ですら予測することは困難だと言われています。
常に新しい情報が飛び込んできて、インターネット上でつながる人間関係も増えて、私たちが処理できるキャパはとっくにオーバーしています。
成果につながらないから無駄ということは決してありませんし、無駄なものもあって然るべきだと思いますが、重要な決断を迫られたときに判断できるような思考や余裕を持っておきたいものです。
本書を読み直していたら、部屋に捨てるか迷っているものあったな~と思い出して整理したくなったので今日はこのぐらいにしておきます(笑)!
ではまた!