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全てのノミネート作品が、いつでも視聴できる映画祭。

多くの映画祭では、期間中のみ会場で作品が上映されます。
映画祭に応募されている作品は公開前の作品も多いので、その場合は映画祭だけの特別公開となります。
そうした映画祭では一般的に、Web上に誰でも見れるスタイルで全編掲載することは困難です。
その後、配給会社が決定してはじめて映画館での公開に繋がります。


話題になった映画は見たいけれど、機会を逃してしまうと見れないこともある。

映画祭で様々な賞を受賞したニュースはSNSなどにも流れてくるので、関係者でなくてもそうした情報を目にする機会は増えました。そうなると気になる作品も沢山出てきます。

日本で開催されている映画祭であれば、日程と時間さえ合わせれば見ることが出来ます。映画祭の規模が大きくなれば、数日に渡って上映されたり、複数のスクリーンで上映されることもありますし、チケットを取ることもそれほど難しくはありません。

後に配給会社が決まれば、映画館での一般公開に繋がり、その鑑賞機会は更に増えることになります。ですが・・・、残念ながらニュースに掲載される全ての作品が映画館での一般公開に繋がるわけではありません。

海外の映画祭でどんなに評価を受けた作品であっても、配給会社の事情で日本で上映されず視聴が困難になることもあります。
もちろん上映期間中に現地に足を運ぶことが出来れば可能ですが、それは多くの人にとって簡単なことではありません。

また時間が経ってしまうと、大きな映画祭で受賞し評価された作品でも(日本で配給された作品であっても)、新しい作品に押されて、上映される映画館はなくなってしまいます。

DVDやサブスクサービス、Web上の様々な動画プラットフォームを通しても、見ることが難しい作品もあります。その場合、映画の視聴を望む立場としては、悔しい思いをすることも少なくありません。

作品を目にする機会は、いつでも誰にでも開かれていることが良いと思う。

世代的なものなのかもしれないけれど、TVの深夜帯にたまたま流れていた映画に出会い、その魅力にハマった経験があります。そして、数十年後に見た作品をふと思い出し、記憶の断片から検索することもあります。

今では、「この作品が良かった」「好きな作品を見つけた」とSNSで紹介したり、情報を見つけたり。場所は変わりつつも作品に出会う機会は増えていると思います。

ただ、そうした偶然性も含めて、いつでも誰にとっても作品にアクセス出来る状況をつくることは、多くの人に作品を知ってもらえたり、ファン獲得の機会を増やすなどに繋がると考えています。

「YouTubeへの掲載」それを許可することを応募条件にしています。

International Auto Film Festaでは、受賞作品を含むノミネート作品は全てWeb上で視聴が出来るようにしています。
これは映画祭をスタートさせる時に決めたことでもありました。

こうした考え方も最近では少なくなく、主にオンラインで開催される映画祭では、有料無料様々ながら、Web上で全編閲覧可能な映画祭も出てきました。

『映画祭の期間だけスクリーンで見れる』よりも、『いつでもどこでも見れる』ということが、作品にとっても視聴者にとっても、良いコミュニケーションを生み出しやすいと考えています。

その条件が応募者のハードルになることもある。

映画祭に出品する際、複数の映画祭に応募するのが一般的です。
そのとき「web上を含め未上映作品であること」が条件になる映画祭は少なくなく、我々の映画祭でノミネートされると応募が出来なくなります。

また、既にYouTubeチャンネルを持ち、作品を公開しているクリエイターにとっては、視聴回数を奪い合ってしまう可能性も懸念されました。
(実際にはクリエイター側が先行して公開していることや、チャンネルユーザー層の違いから、現状では奪い合う状況は避けられています。)

そういった部分も把握した上で、我々の映画祭としてはWeb上で公開するメリットを、理解頂くコミュニケーションを大切にしています。

全てのノミネート作品を公開する、もうひとつのメリット。

全ての受賞候補となるノミネート作品を公開することで、審査の透明化にも繋がると考えています。
International Auto Film Festaでは、「ノミネート作品 = 受賞候補作品」であり、ノミネート作品の中から各受賞作品が選ばれます。

映画に興味ある人にとっては、受賞候補となったノミネート作品の全てを見てみたいと思うことは自然な欲求だと思います。(私は見たい!)

可能であれば、応募作品全てを掲載することが、よりクリアな映画祭の透明化に繋げられるのかもしれませんが、ノミネートを外れた時点で応募を取り下げるクリエイターもおり、今のところ運営的にもノミネート作品だけに留めるのが現実的です。

【作品の保管】という考え方。

美術館に作品を収蔵する様に、作品をお預かりしていつでも誰でも鑑賞出来るようにすること。そういった意識で対応をしています。
作品の取り扱いについては、クリエイターとのコミュニケーションを含めて、過去様々な美術作品を取り扱ってきた経験を基にしています。

美術館の機能は常に適切に鑑賞できる状態を保つという点があります。
例えYouTubeというプラットフォームが消滅したとしても、代わる手段によって鑑賞できる環境を整えることが我々の映画祭の使命と考えています。

更に、時間の経過が大きくなるほどクルマの映像は時代のカルチャーを表す資料にもなり、その時々の評価と合わせて残すことで、作品は「時代の記録」にもなると考えています。

単純に視聴者側の思いとしては、作品は時が経っても何度も見たい。
出会いから時間が経って再度触れることで、また違った感想を持つことがあります。音楽アルバムで例えるならば、入手時に気にしていなかったカップリング曲の魅力に時間を経て気づく様な感覚もあります。

いずれ、過去の名作も完璧な状態でお預かり出来るような信頼関係を、世界各所と築くことを目指しています。

手元の画面で見ることと映画館で見ることは、全く異なる体験です。

Web上で誰もが見れる環境をつくることは、映画館での上映を拒否したり否定する考えではありません。

パソコンモニターやTV、スマホの画面と、映画館にある巨大なスクリーンに映し出される大画面で見る体験とは全く異なります。
我々の映画祭でも、機会があれば映画館でのスクリーン上映を実現したいと考えています。

出来るだけ多くの方々に応援してもらえると嬉しいです。

International Auto Film Festa (Official Site)

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